貴親方、角界から事実上の「絶縁」か
横綱日馬富士(33)の暴行で負傷した平幕貴ノ岩(27)の師匠、貴乃花親方(45)の言動をめぐり、日本相撲協会評議員会の池坊保子議長(75)が夕刊フジの取材に答え、不快感を表明した。協会理事や巡業部長としての職務を怠っていたと評議員会が認定すれば理事を解任される可能性もある。池坊氏は秋場所終了後の週明けにも評議員会を開く意向を示しており、日馬富士への処分と同時に、貴乃花親方も角界から事実上の「絶縁」を突きつけられる事態となりかねない。
「若貴時代を築いた前途ある親方なのだから、今回のことに関しては大変残念に思う」
池坊氏は夕刊フジの取材の冒頭、貴乃花親方にこう苦言を呈した。
華道家元池坊専永氏夫人で、衆院議員を5期務め、文科政務官や文科副大臣を歴任、2014年に公益財団法人化した協会の評議員会議長を務める池坊氏が問題視するのは、秋巡業の責任者である巡業部長としての貴乃花親方の対応だ。
鳥取市内での宴席で日馬富士に暴行を受けた貴ノ岩は当初、「階段から落ちた」などと言い、暴行の翌日の巡業の際には日馬富士と握手する姿も目撃されていた。その後、けがの原因が日馬富士の暴行だったことを知って激怒したという貴乃花親方は、10月29日に鳥取県警に被害届を出す一方、協会には報告していなかった。警察から連絡を受けた協会が11月3日に貴乃花親方に事情を尋ねた際も「分かりません」などと詳細を明かさなかった。
池坊氏は「公益財団法人の定款の中に、理事は何か問題があったら報告する義務があると書かれている。相撲道を極めたいと思うならば、そして貴乃花親方が思うように(暴行問題が)うやむやにされたというのであれば、順序を踏んで、協会に報告してから県警に報告をすべきだった」と指摘。理事や巡業部長としての義務を怠っていたとの認識を示した。
評議員会は現在、池坊氏をはじめ外部の有識者4人と力士出身者3人で構成されており、過半数による決議で理事の選任や解任の権限を持つ。
協会の定款32条では理事の解任の要件として、《職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき》と記載されている。
今回の貴乃花親方の行動は「義務違反」または「職務怠慢」に相当するのか。池坊氏に見解を問うと、「皆さま方と評議しながら、相談しながら今後を考えていく」と慎重に答えた。
貴乃花親方は、協会の危機管理委員会による貴ノ岩の聴取実施への協力を完全拒否している。「なんとか協力をお願いできないか」とする八角理事長(元横綱北勝海、54)に対し、貴乃花親方は「それはできない。お断りします」と言い切り、険悪な空気が流れたという。貴乃花親方は「(貴ノ岩の)状態がよくない。体調が悪い」と答えたほか、「頭が切れてるんですよ! 頭が!」と声を荒らげる場面もあったという。
協会は力士の暴行死や野球賭博問題、薬物問題、八百長疑惑など数々の不祥事を経て公益財団法人化した経緯もあり、池坊氏は「過去の事件も踏まえて私たちは自助努力してきた。これからも力士みずから自分の置かれた立場をわきまえて励んでほしい」と述べた。
池坊氏は24日のフジテレビ系「とくダネ!」に出演し、「週明けにも評議員会を開きたい」との意向を示した。
貴ノ岩の親代わりでもある貴乃花親方が、警察の捜査に委ねたこと自体は自然の流れともいえるが、問われるのは巡業部長や理事としての立場だ。角界関係者は「貴乃花親方は暴行があった直後、巡業部長として日馬富士に直接問いただすなど事後処理できた。そうすればことはすんなりと収まったはずで、自分の株を上げるチャンスだったのに逃してしまった」と話す。
今後の処分について前出の角界関係者はこう予測する。
「協会の事情聴取に当初『分からない』と答えたり、貴ノ岩の聴取を拒否したことで、巡業部長を外されたり、理事を解任されるなど責任を取らされることも考えられる。ただ、貴乃花親方もだまっていないだろうから、第三者を立てるなど徹底的に協会と闘うことになる可能性もある」
