時代はAIだ、IoTだと騒がしい。そしてこれらの技術革新が不動産の世界にも及ぶだろうということで最近では「不動産テック」なる造語まで登場してメディアを賑わせている。

 こうした議論が起こると必ず面白おかしく取り上げられるのが、その業界で生きている人たちの仕事が消滅し、大量の失業者が生じるというネガティブな話だ。銀行員はそのほとんどが業務を失い、リストラされる、あるいは税理士業務のほとんどはAIにとってかわられるだろうなど世の中は物騒な話でいっぱいだ。

度胸のある体育系が重宝されきた不動産業界

 さて不動産の世界では何が起こるのだろうか。不動産という商品はこれまで「グローバル化」とか「技術革新」といった世界とは全く無縁の存在だった。また不動産は読んで字のごとく「動かせない」商品であることから、常にドメスティックな存在であり、国内の多くの業界が直面したグローバル化の波からも一歩距離を置くことができていた。

「グローバル化」という言葉に縁のないシーラカンス的存在だった不動産業界 ©iStock.com © 文春オンライン 「グローバル化」という言葉に縁のないシーラカンス的存在だった不動産業界 ©iStock.com

 私が不動産業界に入ったころは、不動産会社に入る学生はおおむね「算数できない、英語できない」というのが通り相場だった。つまり不動産を扱うにはごちゃごちゃ理屈を並べるのではなく、必要なものは度胸とドタ勘だけ。不動産はいわば「とったもの勝ち」で、不動産価格は勝手に右肩上がりで上昇するものであるから体育会でみっちり鍛えられた、力があって勝負勘の強い学生が珍重されたのである。

 だが、このシーラカンスのような存在だった不動産業界にも2つの大きな流れがやってきた。ひとつが不動産の証券化による金融マーケットとのつながりであり、もうひとつがAIやIoTに代表される技術革新だ。

「算数できない、英語できない」でもOKだったのも今は昔

 不動産の証券化は、不動産を金融という技術を使ってペーパー(証券)化することによって、不動産をよく知らない素人でも扱うことができる金融商品に仕立て上げることに成功した。不動産はそれまでは完全な玄人マーケットだったのである。つまり、一部の不動産会社やたまたま広い土地を所有していた地主が金融機関からおカネを借りてビルやマンションを建設し、テナントに貸し出すというのがビジネスモデルだったのだ。

 ところがこれを金融商品にすることによって、世界中の投資家のおカネを集めてきて中古の不動産に投資をさせる、開発して新しいビルやマンションを建設するための資金を調達することが可能となったのだ。またREITに代表されるように多くの不動産が証券化されて、一口数万円で誰でもが不動産オーナーになる道が開けたのである。

 こうした革命を通じて、これまで不動産業界人は「算数できない、英語できない」人間でも勤まったのが、緻密な収支計算のもとで利回りを算出して投資家に配当しなければならなくなり、外国人投資家には英語で彼らが興味を示す不動産の説明をしなければならなくなったのだ。

旧態依然とした業界にも不動産テックの荒波が押し寄せる

 金融マーケットという日々変動するマーケットに翻弄され続けてきた不動産業界に、さて次なる革命の波が襲いかかってきている。不動産テックの波である。

 不動産取引においては売買する場合でも賃貸する場合でも、不動産会社には重要事項説明という行為が必要になる。重要事項説明とは取引に際して重要と思われる項目について、宅地建物取引士の資格を持つ者が、関係者の面前で説明をしなければならないもので、取引する人が遠隔地に住んでいても実際に足を運んで説明する必要があった。

 スカイプなどが発達した現代においてこうしたシーラカンスのような業界のルールは、とりわけ日本の不動産を外国人が買い求めるようになると取引上での大きな障害として指摘されるようになった。

 国もようやく昨年の10月から賃貸仲介に限ってネット上での説明を認めるように法律の一部を改正したが、売買についてはまだ慎重な姿勢を崩していない。

ヤフーやソニーが業界に殴り込み

 またネットを通じて不動産を売りたい人、買いたい人をマッチングさせる動きも活発になってきた。ヤフー不動産やソニー不動産などはマンション取引を主体に売主の仲介手数料ゼロを売り文句に不動産業界に蔓延る手数料主義、売り手と買い手を同時に囲い込む両手取引に殴り込みをかけてきている。

 不動産は「二つとして同じものが存在しない」という特殊な商品であることから取引も複雑であり、こうしたネット上のマッチングを含め、ネット取引全般に対して否定的な見方をする人もあるが、私は不動産テックが今後不動産取引を活発化させることにおおいに役立つのではないかと期待している。

 とりわけマンションの中古流通はネットに馴染みやすい。マンションの部屋は戸建て住宅などと違って、間取りも単純で住戸内の設備仕様を点数化しやすい。また同じ棟であれば建物としての条件がほぼ同じであるため、価格付けが容易である。大規模マンションであれば常に複数の住戸が流通マーケットで取引されていることからすでに相場も形成されていることもネットに馴染みやすい理由のひとつだ。

都内の主要マンションすべてをAIで診断しようとするネット業者

 先日、私の事務所を訪れたネット業者の相談には仰天した。彼らの構想は都内の主要マンションのすべてを、AIを使って診断し、住戸別に勝手に値付けして公表しようというものだった。これまでの中古市場は間にたつ不動産業者が経験と勘を頼りに勝手に値付けして取引相場を作ってきた。それに対してAI診断マーケットでは、自分が住むマンションの現在価格が毎日株価ボードのように掲示され、それを見た買い手が所有者にアプローチできるというのが彼らの考えた仕組みである。

 マンション相場が上昇期であれば、毎日自宅の含み益が上がるのをニンマリ眺めて楽しむこともできるが、下がっているときにはさぞかし気分が悪いだろうと当初はこのアイデアにはあまり賛同できなかったが、どうだろうか。意外と多くの人が実は自分が住んでいる自宅の本当の資産価値を知らないのが現実だ。上がっているときも下がっているときも常に冷静に自らが持つ不動産の価値を目にすることができれば、売買や賃貸もスムースに決断できるのではないだろうか。また診断技術が上がれば、自宅にしっかりとお金をかけてリニューアルを行うことでお隣の住戸よりも高く評価されることを実感できるかもしれない。不動産テックが不動産の流通市場をおおいに活性化させることにつながるかもしれないのだ。

今度は金融マンがAIに追いつめられる

 さて、不動産の証券化の進展で「算数できない、英語しゃべれない」不動産社員を追いやり金融マンが席巻した不動産業界で、今度は彼らがAIに追いつめられることになる。

 将来不動産業界を闊歩するのは、金ぴかブレスレットに派手なラメ入りのスーツを着た地上げ親父でも、眼鏡をかけた、痩せて神経質そうな金融マンでもなく、理科系ネットオタクで日本語もしゃべれるのか怪しいような種族が開発したAIになっているのかもしれない。不動産新時代の到来である。

© atomixmedia,inc 提供 PCユーザーにとって悩ましいのがパスワードの管理だ。その煩雑さを解決し、セキュリティを高める手段として登場したのが指紋認証や顔認証だが、富士通がさらに一歩進んだ認証方法を実現した。

富士通の手のひら静脈認証「PalmSecure」は、その名の通り個人の静脈の形をセンサーで読み取って認証を行うもの。静脈は指紋と同様に個人によって異なっているが、指紋と比べると偽物を作るのが非常に難しい。

また、万が一静脈の模様を完全に再現できたとしても、富士通の認証デバイスは血液が流れていないと認証ができない仕様になっているという。まるでSF映画のような話だが、このPalmSecureを既に導入済みの企業もあるという。

しかも、PalmSecureを用いた認証はパソコンのログインにも対応している。富士通はマイクロソフトとパートナーシップを結び、Windows 10がPalmSecureをサポートするようになった。専用デバイスさえ取り付ければ生体認証によるログイン機能「Windows Hello」を用い、自分の静脈を登録できるのだ。

認証に用いるデバイスは1台200ドル程度で販売されている。最強のセキュリティと利便性を求める人には推薦できるツールといえる。

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 スマホやPCを数年ごとに買い換えていく人は多いが、ついついずっと使い続けてしまうのがWi-Fiルーターだ。現在主流のWi-Fi規格である“IEEE 802.11ac”は、通信の高速化が期待され、規格が正式に策定されていないドラフト期間から対応ルーターが販売されていた。もしその時にルーターを購入していたとしても、すでに5年以上経っていることになる。

 11ac対応のルーターは、規格自体もブラッシュアップされており、送受信アンテナ数を増やして分散通信するMIMO技術や、帯域幅の増加により徐々に高速化している。さらにデバイスの場所へ効率よく電波を届けるビームフォーミング技術や、複数デバイスと同時通信するMU-MIMO技術の登場など、年々新機能を搭載したルーターが登場。少しずつ進化しているのだ。

↑11acドラフト時代に発売されたASUSのWi-Fiルーター「RT-AC68U」。 © ASCII.JP 提供 ↑11acドラフト時代に発売されたASUSのWi-Fiルーター「RT-AC68U」。

 まだまだ伸びしろのある11acだが、最近は無線通信そのものを取り巻くトレンドも変化しつつある。ここ数年の大きな変化のひとつが、ネットワークに接続する製品の増加だ。近年はタブレットやゲーム機、プリンターのほか、スマートスピーカーやIoTデバイスなど、さまざまな製品がWi-Fiを利用するようになってきた。ルーター自体の性能はもちろんのこと、そういったたくさんのデバイスをどうさばき、家の隅々までWi-Fiが届く環境を構築できるかが、いまWi-Fiルーターを導入するときの重要なポイントと言える。

 そこで注目されているのが、“メッシュネットワーク”と呼ばれる考え方だ。11acで利用される5GHz帯は、2.4GHz帯に比べて遠くまでは届きにくく、壁などがあると減衰率も高い。これを克服するために、より電波の強い製品が次々と出てきているが、当然ながらそれでも限界はある。むしろ2個以上のルーターを相互につなげて網目状のネットワーク環境を構築し、データをルーティングさせることで、離れた場所でも安定した速度で通信するほうが効率的というわけだ。メッシュネットワークの利用には対応製品が必要だが、ここ一年ほどで各社から次々に対応製品がリリースされている。

↑ASUSの「RT-AC86U」。実売価格は2万2000円前後。最新製品で“AiMesh”にも対応するルーターだ © ASCII.JP 提供 ↑ASUSの「RT-AC86U」。実売価格は2万2000円前後。最新製品で“AiMesh”にも対応するルーターだ

 今回紹介するASUSの「RT-AC86U」は、ASUSが今年に入ってから発表した独自のメッシュネットワーク構築技術“AiMesh”に対応する製品の1つだ。AiMeshを利用するメリットは、元々の同社ルーター製品がパワフルなのはもちろん、よくある「対応製品の複数買い」「セット商品の購入」が必ずしも必要ではなく、場合によっては既存のルーターでもファームウェアのアップデートで対応できること。すでに持っているルーターが対応していた場合、ルーターを買い替えても古いルーターを有効活用できる。

 現在は「RT-AC86U」を含め同社製ルーターの4製品がAiMeshに対応しているが、特に人気の高かった「RT-AC68U」も対応しているのがポイント。すでに利用している人なら、新規に「RT-AC86U」だけ購入し、今まで使ってきた「RT-AC68U」をAiMeshの1台として利用すれば、余計な出費もかからずに効率の良いWi-Fi環境を構築できる。この記事では、そんなAiMeshの構築方法や気になる通信速度などをチェックしていこう。

↑今回は「RT-AC86U」(右)をメインルーター、「RT-AC68U」(左)をノード(中継地点)として利用し、“AiMesh”環境を構築する © ASCII.JP 提供 ↑今回は「RT-AC86U」(右)をメインルーター、「RT-AC68U」(左)をノード(中継地点)として利用し、“AiMesh”環境を構築する

自宅Wi-Fi環境の死角ナシ!!

 AiMeshを構築する際は、必ず手元の対応製品でいちばん性能の良い機種をメインルーターとして設定しよう。この記事では前ページで述べたとおりルーター買い替え後の状況を想定し、最新の「RT-AC86U」をメインルーター、「RT-AC68U」をノード(中継地点)として設定していく。

↑RT-AC68Uの設定画面でファームウェアのアップデート。ネットにつながっている段階で作業をしよう © ASCII.JP 提供 ↑RT-AC68Uの設定画面でファームウェアのアップデート。ネットにつながっている段階で作業をしよう

 肝心の構築方法だが、今回の「RT-AC68U」ようにノード側が古いルーターの場合、そのままではAiMesh対応のファームウェアが適用されていないため、あらかじめ設定画面からファームウェアの更新を行っておく必要がある。そのうえで、背面にあるリセットボタンを長押ししていったん工場出荷時の状態に戻しておこう。ノードのファームウェアアップデートが完了したら、メインルーターでインターネット接続設定を完了させれば、下準備は完了だ。

 続いてメッシュネットワーク構築のため、電源を入れた状態のノードをメインルーターの近くに置いておく(LANケーブルなどの接続は必要なし)。Wi-Fiが利用できる状態になっているのをLEDで確認したら、メインルーターの設定画面に入り、AiMeshのアイコンをクリックしよう。その後、右側に表示される「Search」ボタンをクリックすると、AiMeshに対応したルーター(ノード)が表示されるのでそれをクリック。あとは「適用」を押せば、AiMeshの構成が開始される。しばらくして設定が完了したら、あとはノード側のルーターを設置したい場所へ持っていこう。

↑ブラウザーから設定画面にアクセスして、AiMeshアイコンをクリック。右側に現われる「Search」をクリックしてノードとなるルーターを見つけだし登録する。 © ASCII.JP 提供 ↑ブラウザーから設定画面にアクセスして、AiMeshアイコンをクリック。右側に現われる「Search」をクリックしてノードとなるルーターを見つけだし登録する。

 ちなみに以上の方法はPCで設定画面にアクセスした場合の手順で、Androidスマートフォン/iPhone用のアプリ「ASUS Router」を使っての初期設定も可能だ。こちらで設定を行なえば、設置する際にメインルーターとの間の電波強度を確認できるため、Wi-Fiの範囲を広げるような位置を探しやすくオススメ。アプリを起動するとネットワーク接続済みのルーターが自動的に検索され、ログインすると各種情報や設定が行なえる。AiMeshを構築する際は、ホーム画面の右上にある「+」をタップし、「AiMeshノードを追加します」を選択。そのまま「AiMeshを探す」画面になるので、そこで「サーチ」を実行すれば、ノード側のルーターを見つけられるはずだ。あとはさきほどと同様、見つかったノードを選択して、構築を実行するだけ。

↑「ASUS Router」アプリ。ルーターを自動的に検索してアクセスできる。最初は設定画面へのログインが必要

↑「ASUS Router」アプリ。ルーターを自動的に検索してアクセスできる。最初は設定画面へのログインが必要 © ASCII.JP 提供

 ちなみに「RT-AC86U」をメインルーターとして初期設定するときは、2.4GHz帯と5GHz帯で同じSSIDを設定することで、デバイス側での使い分けが不要となり、ルーター任せで最適な通信が行なえるようになる。もちろんAiMeshの利用中であれば、メインルーターからノードへ通信が切り替わったあとも、2.4GHz帯と5GHz帯のどちらか最適なほうが選択される。このため、家の中を移動しながら利用しても、常に最適な電波環境で使い続けられるのだ。

↑初期設定時にSSIDとパスワードを指定する。2.4GHz帯と5GHz帯で別々のSSIDにすることも可能 © ASCII.JP 提供 ↑初期設定時にSSIDとパスワードを指定する。2.4GHz帯と5GHz帯で別々のSSIDにすることも可能

 実際に筆者の自宅(2階建て一軒家)に設置して利用してみた。まずは、メインルーターを2階に、ノードを1階に設置して、ベンチマークアプリ「iperf3」を使ってスループットを計測。「RT-AC86U」はハイエンドルーターだけあり、もともとの電波強度が強いので、AiMeshにしなくてもそこそこの数値は出るものの、AiMeshにしたほうがより速度が出ることがわかる。

↑ベンチマークアプリ「iperf3」でスループットを計測。メインルーター「RT-AC86U」のLANポートに有線接続したVAIO S11(CPU:Core i5-7200U、メモリー:16GB)とiPhone XをWi-Fiで接続している。メインルーターは2階に、ノードとなる「RT-AC68U」は1階のメインルーター直下あたりに設置。計測場所はメインルーターから約13m、ノードから約9m離れた部屋としている © ASCII.JP 提供 ↑ベンチマークアプリ「iperf3」でスループットを計測。メインルーター「RT-AC86U」のLANポートに有線接続したVAIO S11(CPU:Core i5-7200U、メモリー:16GB)とiPhone XをWi-Fiで接続している。メインルーターは2階に、ノードとなる「RT-AC68U」は1階のメインルーター直下あたりに設置。計測場所はメインルーターから約13m、ノードから約9m離れた部屋としている

 「WiFi Analyzer」アプリで電波強度も確認したが、やはり「RT-AC86U」の電波が強いため、ノードの近くでも瞬時に通信が切り替わることはなく、少し離れてメインルーターの電波強度が落ちてきたところでネットへアクセスするとノードの方へ切り替わった。2階建て住宅でもこれだけの強度を保てれば、この2台の組み合わせでほとんどの状況はカバーできるはずだ。なお、メインルーターとノード間を有線LANケーブルで接続し、AiMeshを利用することも可能。このため、すでに有線LANが家中に引き回されているならルーター同士を有線接続しておけば、さらに快適な環境を構築できるだろう。

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 実際に使ってみると、普通に使っていてもWi-Fiを意識する必要がないので、とてもラク。2階で使っても1階で使ってもデバイスによってSSIDを変える必要が無いのも非常に便利だ。AiMeshを設置する場所も、スマホアプリで確認しながら考えられるので、それほど迷うこともない。ノードの数としては、目安は1フロアー1つといったところだろうか。もちろん、使っていて電波がちょっと弱いなぁと感じたら、その近くにさらにノードを追加すればより快適になるだろう。こういった拡張性の高さも、メッシュネットワークの大きなメリットと言える。

 AiMeshに対応した製品は、今回使ってみた2製品のほかに、最強スペックの「ROG Rapture GT-AC5300」と上位モデルの「RT-AC88U」を加えた計4製品。各製品の特徴を紹介しよう。

RT-AC86U

↑ゲーミングモデルで採用されている赤色のアクセントが目を引くボディー © ASCII.JP 提供 ↑ゲーミングモデルで採用されている赤色のアクセントが目を引くボディー

 今回メインルーターとした「RT-AC86U」は、「RT-AC68U」と同様の縦型ボディーで、外付けアンテナは3本、内蔵アンテナを1本備える。2.4GHz帯は3×3、5GHz帯は4×4アンテナで、5GHz帯の11acでは最大速度2167Mbps(理論値)、2.4GHz帯の11nでは750Mbps(どちらもNitroQAM)。CPUにBroadcom 4906(1.8GHz、デュアルコア)を採用し、512MBのメモリーを搭載するため、複数のデバイスが同時接続しても、処理がもたつかないパワフルさが特徴。メインルーターとしては申し分のない性能だ。

↑外付けアンテナは3本だが、もう1本のアンテナを本体に内蔵している。アンテナは角度調整が可能だ © ASCII.JP 提供 ↑外付けアンテナは3本だが、もう1本のアンテナを本体に内蔵している。アンテナは角度調整が可能だ ↑ブーストモードは初期設定ではオフになっている © ASCII.JP 提供 ↑ブーストモードは初期設定ではオフになっている

 ゲーミング用ルーターとしての機能も備えており、通信優先度を指定する「Adaptive QoS」機能や、おなじみの「WTFast」機能を搭載。パフォーマンスを極力落とさない工夫がなされている。

 未だ対応機器は少ないが、MU-MIMOにも対応し、対応デバイスなら複数台が接続しても同時に通信が行なえる。また、電波強度を高める「RangeBoost」機能も搭載。より広い範囲での通信を可能にしているという。

↑家族を登録しデバイスを割り当てて、アクセス制限を掛けられる

↑家族を登録しデバイスを割り当てて、アクセス制限を掛けられる © ASCII.JP 提供

 さらに、トレンドマイクロの「Trend Micro Smart Home Network」技術を試用したセキュリティー機能「AiProtection」を搭載。外部からの攻撃やウイルスなどをブロック。ウイルスに感染したデバイスの検出も可能で、その際は外部へ送るデータをブロックすることで、情報漏えいも防げる。また、家族を登録して利用制限を設けるサイトブロック機能も用意されている。

↑LANポートは4つ。USBにはHDDなどを接続して簡易NASとして利用できる © ASCII.JP 提供 ↑LANポートは4つ。USBにはHDDなどを接続して簡易NASとして利用できる

 LANポートは4つ備わっていて、USB2.0が1つ、USB3.1(Gen 1)が1つあるので、プリンターをつなげてプリンターサーバーとして利用したり、外付けHDDを接続すればファイル共有機能なども利用できる。実売価格は2万2000円前後。

ROG Rapture GT-AC5300

↑アンテナ8本がそそり立つ、かなりゴツい見た目の「ROG Rapture GT-AC5300」。実売価格4万5000円前後 © ASCII.JP 提供 ↑アンテナ8本がそそり立つ、かなりゴツい見た目の「ROG Rapture GT-AC5300」。実売価格4万5000円前後

 トライバンドに対応したゲーミングルーターとして、11acの最大速度理論値が2167Mbps、2.4GHz帯の11nで1000Mbps(どちらもNitroQAM)。本体から伸びる外付けアンテナは全部で8本あり、2.4GHzと5GHzの2つのバンドそれぞれ4×4アンテナを採用。CPUはBroadcom 4908(1.8GHz、クアッドコア)を搭載し、メモリーは1GB。各種設定や詳細情報は、ゲーミングでおなじみのROGインターフェースを採用し、グラフィカルでわかりやすいUIとなっている。

 8基のギガビットLANポートを搭載し、2基のLANポートを1つにまとめて2Gbpsにするリンクアグリゲーションにも対応。USB3.0ポートは2つあり、こちらもプリンターや外付けHDDの接続が可能だ。トレンドマイクロのセキュリティー技術を採用した「Game IPS」や、最短経路で通信する「WTFast」など、最高レベルのゲーミング環境を提供するハイエンドルーターといえる。実売価格は4万5000円前後。

RT-AC88U

↑5GHzも2.4GHzも4×4アンテナの「RT-AC88U」。実売価格2万6000円前後 © ASCII.JP 提供 ↑5GHzも2.4GHzも4×4アンテナの「RT-AC88U」。実売価格2万6000円前後

 「RT-AC86U」と同じデュアルバンドゲーミングルーター。外付けアンテナを4本搭載し、2.4GHz帯、5GHz帯どちらも4×4アンテナを採用。11acの最大速度理論値は2167Mbps、2.4GHz帯の11nで1000Mbps(どちらもNitroQAM)。通信速度はGT-AC5300とスペック上は同じだが、CPUがBroadcom BCM4709C0(1.4GHz、デュアルコア)、メモリーは512MBと若干性能が抑えられている。とはいえ、ギガビットLANポートを8基備え、2つをまとめて通信するリンクアグリケーションにも対応。トレンドマイクロのセキュリティーや「WTfast」にも対応しており、メインルーターとして導入するといいだろう。実売価格は2万6000円前後。

↑LANポートが8基と余裕の仕様。リンクアグリゲーションにも対応 © ASCII.JP 提供 ↑LANポートが8基と余裕の仕様。リンクアグリゲーションにも対応

RT-AC68U

↑11acルーターのレジェンド「RT-AC68U」。最新技術は搭載されていないが、十分速いのでノードとして利用するのはあり © ASCII.JP 提供 ↑11acルーターのレジェンド「RT-AC68U」。最新技術は搭載されていないが、十分速いのでノードとして利用するのはあり

 2014年に登場した、当時は高速ルーターと騒がれたデュアルバンドルーター。後継機の「RT-AC86U」と外観は似ているが、アンテナは外付け3本のみで、11acの最大速度理論値は1300Mbps、11nが600Mbps。CPUはCortex-A9(800MHz、デュアルコア)を採用しメモリーは256MB。通信優先度を高める「Adaptive QoS」やトレンドマイクロの技術を使ったセキュリティー機能は搭載するが、「MU-MIMO」や「WTfast」には対応していない。当時購入して使っていた人は、新規に上位モデルを購入し、この製品をノードとして使うのがオススメだ。

↑背面は「RT-AC86U」とほぼ変わらない © ASCII.JP 提供 ↑背面は「RT-AC86U」とほぼ変わらない

家じゅう充実したネットワークを使いたいなら超オススメ!

 以上が、現時点でファームウェアのアップデートでAiMeshに対応した製品だ。今回は昨年11月に発売された「RT-AC86U」をメインルーターとして紹介したが、さらなる充実した環境を目指すなら、最上位モデルの「ROG Rapture GT-AC5300」をメインルーターとして備え付けたいところ。というのも、AiMesh対応ルーターのなかで唯一トリプルバンドに対応していて、ノードとの通信とデバイスとの通信で、同時に5GHz帯を利用できるからだ。ただし価格を考えると、「RT-AC86U」が実売価格2万2000円前後で、上位モデルよりは安く、機能的にも十分揃っている。ルーターを複数利用してAiMeshのシステムを組み、家中どこでも快適なネット環境を構築しよう。

提供:ASUS

© Engadget 日本版 提供 ジーンズを購入するとき、多くの人はその風合いというか、少し履き古されたような模様の具合で気に入ったものを選ぶことでしょう。このジーンズのエイジング加工には大量の化学薬剤や水が用いられ、製造過程における環境負荷が問題視されつつあります。リーバイスは、この問題を解決するためにレーザー光線の照射でエイジングを行う「Project FLX」と称するシステムを導入しました。このシステムはまず加工するジーンズを撮影し、画像処理でそれぞれに合った風合いをイラスト化、そのイラストを、レーザー光線でジーンズ表面に軽く焼き込みます。このシステムを使うことによって、これまで数分以上かかっていたジーンズ1本あたりのエイジング時間を約90秒にまで短縮、さらに使用する化学薬剤も大幅に削減できます。

お考えのとおり、このシステムはただのエイジングだけに利用されるのでなく、あらゆる絵柄をジーンズに描き込むことができます。この応用によって、従来なら数か月単位で必要だったジーンズ加工のリードタイムを数週間、または数日間にまで短縮することが可能になり、ほぼオンデマンドな生産の可能性が拡大するとのこと。

© Engadget 日本版 提供 リーバイスは現在、最終的なProject FLX導入に向けたテストを実施しており、今後2年間のあいだにサプライチェーンに段階的に導入していく計画です。もちろん、Project FLXがジーンズ生産における環境負荷をエロにするわけではないものの、これまでよりクールな風合い・デザインでなおかつ環境にもやさしいジーンズが手に入りやすくなるのは、われわれ消費者にとっても心地よいのは間違いありません。

ちなみに、レーザーでジーンズのエイジングをする機械そのものはProject FLXが最初というわけではありません。中国Golden Laser社は2014年ごろよりジーンズレーザー彫刻機を開発しているほか、個人でも国内購入可能なものとしてはX-Yプロッタ式にレーザー加工ができる卓上小型 レーザー加工機も販売されています。

© Engadget 日本版 提供  

戦場での医療従事者にとって、負傷兵の治療はいかに短時間で適切な処置ができるかを問われます。DARPAは負傷した患者の生物学的なプロセス遅らせることで、治療に「息をつく時間」をもたらそうとしています。

新しいBiostasis研究プログラムは、細胞活動をタンパク質レベルで抑制する生化学物質を用い、一時的に仮死状態に落とし込むことで治療の時間を引き伸ばします。これによって、患者の病状が致命的になる前に必要な医療が得られる時間的機会を押し広げます。

「言うは易し」という言葉があるように、これは簡単に実現できる研究ではありません。DARPAによると、この治療法を実現するには全身の細胞活動を一様に減速させなければならないとのこと。逆に一部分の活動だけを活発化することも考えられます。そして患者を正常な状態に戻すまで、あらゆる損傷を最小限に抑えなければならないのは言うまでもありません。

Biostasisプログラムはまだ日の浅い研究であり、実際のところDARPAでもさほどプライオリティの高い研究ではない模様です。そのためか、プロジェクトはまず最初の5年間でこの方法が可能であるかを机上で証明することに集中します。

ただ、もしこれが部分的にも実現可能になるならば、それは戦場だけでなくあらゆる救急医療現場において有益な結果をもたらすことが予想されます。つまり救急隊員には要救護者を病院に搬送するまでの、医者もまた生命をつなぎとめるための診断と処置のための、時間的な余裕が増えることになるはずです。

© atomixmedia,inc 提供 衛星スタートアップの「Astranis」が3月1日、1350万ドル(約14億円)のシリーズA資金を調達したと発表した。今回の調達を主導したのはアンドリーセン・ホロウィッツで、YコンビネータやRefactor Capital、Indicator Fund、そしてFifty Yearsなども参加した。ホロウィッツが民間宇宙企業に投資したのは今回が初めてだ。

「我が社としては初めてのことであり、大きな期待を抱いている。宇宙産業では大きなディスラプションが起きているのは明らかだ」とホロウィッツのゼネラルパートナーであるMartin Casadoは語る。彼はAstranisの役員に就任した。

Astranisが作る衛星はワインクーラーほどの大きさで、世界各地にブロードバンド・インターネットを提供する能力を持っている。同社はコストの問題でネットの普及が進んでいない地域へのサービス提供を狙う。

現在は世界の半分ほどの地域でインターネットへのアクセスがなく、衛星はそういった地域にサービスを提供できる可能性を秘めている。

「ヘルスケアや農業、あらゆる情報へのアクセスを提供し、人々が自分の運命を自分でコントロールできる世界にしたい。ネットでつながっている人にとって人間の英知へのアクセスは当たり前になっているが、世界にはネットを利用できない人も多い」とAstranisのCEOのJohn Gedmarkは語る。

この分野の市場規模は巨大だ。モルガンスタンレーが2017年秋に発表した報告書によると、ネットのアクセスのない地域に衛星でサービスを提供することにより、4000億ドルもの利益を得られる可能性がある。すでに複数のスタートアップが目をつけており、「スペースX」や「OneWeb」が地球低軌道に小型衛星群を形成する試みを始めている。

一方で、Astranisは重さ300キログラムの静止衛星を配置し、1基の衛星で広域にサービスを提供することを目指している。この方法の方が早くサービスを開始できるとGedmarkは言う。すでに1月にプロトタイプを打ち上げており、ブロードバンドおよびHDの動画ストリーミングが可能であることを示した。

「低軌道を利用すると数百基の衛星が必要だ。静止軌道の方がより直接的なやり方だ」とGedmarkは説明する。

また、独自のソフトウェアも強みだ。通信衛星の多くはアナログ無線を利用しているが、Astranisの衛星はデジタル信号処理が可能なソフトウェア無線を採用しているという。周波数バンドをあらかじめ組み込まずに柔軟に変更できる利点もある。

Astranisは今回の資金で衛星の打ち上げ計画を進めていく。

「すべての準備が整った。資金も、有能なエンジニアも、必要な技術も、サービスを購入したいという顧客もそろっている。ビジネスを軌道に乗せる時が来た」とGedmarkは述べた。

Photo: ヤマダユウス型, Instafly © ギズモード・ジャパン 提供 Photo: ヤマダユウス型, Instafly

ソーシャルフォトに独自の美学あり。

今や猫も杓子もインスタ映え、何がとは言いませんがインスタ映え。SNS写真の世界はどんどん独自の黄金比を追求し続けていますが、果たして我々が「インスタ映え」と呼んでいるナニガシはどういう要素なんでしょうか。彩度? 構図? それともコントラスト?

ネットに数多あふれるインスタ映えと呼ばれる写真を解析すれば、その仕組みがわかるかもしれません。エンジニアのAkihiro Inuiさんは、AIに1万5000枚の写真を学習させて、AIによるインスタ映え判定アプリ「Instafly」を開発しました。早速試してみるとしましょう。

© ギズモード・ジャパン 提供 Photo: ヤマダユウス型, Instafly © ギズモード・ジャパン 提供 Photo: ヤマダユウス型, Instafly

カメラロールから写真を選択してスタートをタップ。

Photo: ヤマダユウス型, Instafly © ギズモード・ジャパン 提供 Photo: ヤマダユウス型, Instafly

数秒で診断結果がドンと表示されます。66%、中の上くらいでしょうか。猫なら間違いないだろうという安易な下心もありましたが、スナップ的だけとインスタっぽくはないよね。

Photo: ヤマダユウス型, Instafly © ギズモード・ジャパン 提供 Photo: ヤマダユウス型, Instafly

ほかにもいくつか試してみました。こうして自分のカメラロールをひっくり返してみると、いかにインスタ映え写真が少ないのかがわかる……。Akihiro Inuiさんのブログによると、どうやら食べ物の点数の低さは、自分が作った料理に対してインスタ映えしないとタグ付けして投稿している人たちが多い事と関係しているかもしれない、とのこと。

Photo: ヤマダユウス型, Instafly © ギズモード・ジャパン 提供 Photo: ヤマダユウス型, Instafly

明るめ暗めも試してみましたが、大洗磯前神社で撮った写真がまさかの100%に! 霊験あらたかな大洗の恩恵に加え、シンメトリーであることや明るい部分と暗い部分のバランスなんかが良い感じだったのかもしれません。感覚ではわかっててもパラメーターとして意識するのは難しそう。

インスタ映え写真をポンポン生み出せる人は、そうした要素を直感で理解しているのかもしれませんね。自分のカメラロールがどれくらいインスタ映えしているのか、ぜひ皆さんもAIにチェックしてもらってみて下さい。「SNSへ投稿する前にインスタ映えてるかAIにチェックしてもらう」なんていう未来も、もしかしたらあり得る?

Photo: ヤマダユウス型, Instafly

Source: iTunes, Aki's Blog

(ヤマダユウス型)

 失明したマウスにヒトのES細胞(胚〈はい〉性幹細胞)からつくった網膜組織を移植すると、目の組織が光に反応したと、理化学研究所の万代道子・副プロジェクトリーダーらのチームが、米科学誌ステムセルリポーツに2日発表した。ヒトの細胞からつくった網膜組織の患者への移植につながる成果という。

 光は網膜組織の中の「視細胞」が感じて、脳につながる神経に信号が伝わる。例えば失明のおそれもある「網膜色素変性」は、遺伝的な原因などで視細胞が変性する病気だ。

ヒトのES細胞からつくった視細胞が成熟するイメージ © 朝日新聞 ヒトのES細胞からつくった視細胞が成熟するイメージ

 研究チームは、ヒトのES細胞からつくった未熟な視細胞を、視細胞がほぼなくなったマウスに移植。移植の約20週後、移植した細胞が目の中で成熟し、本来の層構造になった。マウス8匹から網膜の組織を取り出したところ、3匹でヒト由来の視細胞とマウスの神経がつながり、光で信号が流れることを確認した。

 チームは過去に、マウスのiPS細胞からつくった視細胞を、失明したマウスに移植し、光に反応することを確認していた。今後、ヒトのiPS細胞からつくった網膜組織を患者に移植する臨床研究を予定し、2018年度中の申請を目指すという。万代さんは「網膜色素変性の根本的な治療法は確立していない。移植により、視細胞の変性を遅らせることができるのではないか」と話す。(後藤一也)

Image: © Art Gallery of Ontario (AGO) © ギズモード・ジャパン 提供 Image: © Art Gallery of Ontario (AGO)

科学の力で、難解なアートも丸裸に。

パブロ・ピカソの芸術作品に秘められた謎を紐解くべく、X線を用いて分析を行なったのは、ノースウェスタン大学の科学者たち。

この研究結果からいくつか新たに発見されたことがあります。そのひとつは、ピカソの青の時代の「La Misereuse Accroupie」に隠された絵画があったこと。

Image: Pablo Picasso. La Miséreuse accroupie, 1902. Oil on canvas, 101.3 x 66 cm (39 7/8 x 26 in.). Art Gallery of Ontario. Anonymous gift, 1963. © Picasso Estate. © ギズモード・ジャパン 提供 Image: Pablo Picasso. La Miséreuse accroupie, 1902. Oil on canvas, 101.3 x 66 cm (39 7/8 x 26 in.). Art Gallery of Ontario. Anonymous gift, 1963. © Picasso Estate.

ピカソが「La Misereuse Accroupie」を描いたのは1902年のことで、現在はカナダのアートギャラリー・オブ・オンタリオに展示されています。

研究者らが絵画の分析のために用いたのは、作品には無害なX線蛍光分光法とよばれる手法。

これにより「La Misereuse Accroupie」の下には、もともと風景画が描かれていたことがわかりました。さらに、この風景画の曲線を用いて女性の姿を描いたことも明らかになっています。左に90度傾けて見ると、なんとなく風景画のようなものが見えます。

またこの画にはもともとは女性の腕が描かれていて、途中で上からマントを描き足されたことも示唆されています。

絵画表面下にあるレイヤーごとの顔料塗布の特徴 Image: © Northwestern University/Art Institute of Chicago Center for Scientific Studies in the Arts (NU-ACCESS) © ギズモード・ジャパン 提供 絵画表面下にあるレイヤーごとの顔料塗布の特徴 Image: © Northwestern University/Art Institute of Chicago Center for Scientific Studies in the Arts (NU-ACCESS)

さらに、同じ手法を用いてピカソの彫刻作品に焦点を当てたのは、ピカソ美術館とノースウェスタン大学NU-ACCESSの研究チーム。

彼らは今まで謎に包まれていた、刻印のない鋳造物はどこのものかを調べるために、5つのブロンズ作品から金属の組成を分析。ピカソのコラボレーターであったEmile Robecchiの西フランスにある鋳造工場のものであることを明らかにしました。

1940年代パリで鋳造所の刻印なしに鋳造された「Head of a Woman, in Profile」はピカソのコラボレーターであるÉmile Robecchiの鋳造工場で1941年につくられたものだと、ピカソ美術館とNU-ACCESSの研究者らが発見 Image: Pablo Picasso, Tête de femme de profil (Marie­-Thérèse), Boisgeloup, 1931, bronze, sculpture, Musée national Picasso - Paris, (C) RMN-Grand Palais (Musée national Picasso-Paris), (C) Succession Picasso 2018 © ギズモード・ジャパン 提供 1940年代パリで鋳造所の刻印なしに鋳造された「Head of a Woman, in Profile」はピカソのコラボレーターであるÉmile Robecchiの鋳造工場で1941年につくられたものだと、ピカソ美術館とNU-ACCESSの研究者らが発見 Image: Pablo Picasso, Tête de femme de profil (Marie­-Thérèse), Boisgeloup, 1931, bronze, sculpture, Musée national Picasso - Paris, (C) RMN-Grand Palais (Musée national Picasso-Paris), (C) Succession Picasso 2018

この研究結果から考えさせられることがふたつあります。

ひとつは、一見アートとは対極にありそうな素粒子物理学が、芸術分野に役立つということ。今回の件でいえば、ピカソからしたら自分の作品がこんなかたちで丸裸にされる時代がくるとは思ってもいなかったでしょうに...!

シカゴ美術館で保存科学のエグゼクティブディレクターを務めるFrancesca Casadio氏は「科学の力で芸術の歴史をもっと明らかにできる」と、テキサスで行なわれたAAAS 2018で語っています。またBBCによれば、ルーヴル美術館でさえ粒子加速器を作品分析に活用しているといいます。

もうひとつは、改めて芸術家としてのピカソの人生がいかに興味深いかについて。

ピカソがいかに機転のきく芸術家であったかを指摘するのは、ノースウエスタン大学マコーミック工学院のJulio Ottino学部長。大戦状況下の芸術活動もそうですが、今回の分析によって風景画を女性の姿に変えて描いたことが明らかになり「芸術家たちは制約との向き合い方を知っていて、心の向くままにすべての素材を使うことができる」という視点を共有しています。

Image: © Art Gallery of Ontario (AGO), © Picasso Estate, © Northwestern University/Art Institute of Chicago Center for Scientific Studies in the Arts (NU-ACCESS), (C) Succession Picasso 2018

Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文]

(Rina Fukazu)

© NIKKEI STYLE

 前回はスマートスピーカー単体の機能や使い勝手を紹介した。今回は「テレビをつけて」「部屋を暖めて」「掃除をして」など、スマートスピーカーと家電の連係を見ていこう。音声アシスタントの「アマゾン アレクサ」や「グーグルアシスタント」に対応した最新機器を駆使すれば、家中の家電を声だけで操れる未来が待っている。すべてをストレスなく操作できるようになるのはまだ先のことだが、今何ができ、生活はどう便利になるのか。その実用度をチェックしてみた。

◇  ◇  ◇

グーグルの「Chromecast Ultra」。HDMI端子につなぐだけでテレビにWi-Fi機能を追加できる端末。Google Homeと連係すれば、テレビのオン・オフが声で指示できる。YouTubeやネットフリックスの動画を声で呼び出したりすることも可能 © NIKKEI STYLE グーグルの「Chromecast Ultra」。HDMI端子につなぐだけでテレビにWi-Fi機能を追加できる端末。Google Homeと連係すれば、テレビのオン・オフが声で指示できる。YouTubeやネットフリックスの動画を声で呼び出したりすることも可能

 まず、手軽に試せるうえに使い勝手が良かったのが、グーグルの「クロームキャスト」だ。手のひらサイズの小型端末ながら、HDMI端子に差し込むだけでテレビがWi─Fi対応のスマート家電に変身。グーグルアシスタントと連係することで、声で操作できるようになる。

 例えば、グーグルホームに「テレビをオンにして」と言えばテレビの電源が入る。さらに、「ユーチューブ」の動画再生にも対応。「猫の動画を見せて」というように、キーワードを指定すれば関連動画を一発で呼び出すことが可能。文字を打ち込む手間が省けるのでラクだ。一時停止や次の動画への移動、再生音量の調節などさまざまな操作が声の指示だけで済む。動画配信サービス「ネットフリックス」のユーザーなら、映画やドラマのタイトルを指定して再生することもできる。

 それだけではない。写真共有サービス「グーグルフォト」に写真をアップロードしておけば、テレビの大画面で楽しめる。グーグルフォトには、撮影地や被写体の種類などで写真を自動分類する機能があり、「海の写真を見せて」などと話すと、該当写真を瞬時に呼び出せるのは驚き。テレビのチャンネル変更などはできなかったが、オンラインサービスを活用する人には最適だ。

 グーグルと同様に、アマゾンにもテレビをスマート化できる「Fire TV Stick」があるが、現時点で、日本国内ではアレクサによる音声操作に対応していない。米国では対応済みのため、今後実装される可能性は高い。

Wi-Fi環境があれば対応家電との連係は簡単 © NIKKEI STYLE Wi-Fi環境があれば対応家電との連係は簡単

■白物家電のアレクサ連係が加速

 白物家電もスマートスピーカー対応が急激に進んでいる。なかでも注目は、人気ロボット掃除機の「ルンバ」(アイロボットジャパン)。上位モデルはWi─Fi機能を備え、アレクサとグーグルアシスタントのどちらとも連係が可能。「掃除の開始」「一時停止」「再開」「ホームベースに戻る」といった各種操作が一声で済む。寝る前や家を出る際に「ルンバを使って掃除をして」と言えば、勝手に掃除をしておいてくれる。

「YouTubeストーリー」にAI採用でグリーンバック不要の背景合成機能 © ITmedia NEWS 提供 「YouTubeストーリー」にAI採用でグリーンバック不要の背景合成機能

 米Google傘下のYouTubeは3月1日(現地時間)、一部のクリエイター向けに現在β提供している「YouTubeストーリー」に、AI採用の背景合成機能を追加したと発表した。

 YouTubeストーリーは、米SnapのSnapchatや米Facebook傘下のInstagramやWhatsAppにある「ストーリー」のように、複数の画像や短い動画をまとめたカード状のコンテンツを表示する機能。動画はモバイル端末でのみ撮影可能だ。日本では「ショートクリップ」という名称だったが、最近「YouTubeストーリー」に改称された。

 InstagramのARマスクのように、動画内の人物をリアルタイムで検知し、実際の背景を用意された背景画像と差し替える。

 米Appleの「iPhone X」のような高度な深度センサーなしでリアルタイムでこの機能を実現するために、Googleは「畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network、CNN)」という人工知能の技術を採用した。

 教師用のデータとして、数万件の背景付き人物画像をアノテーションし、それを使って画像セグメンテーションできるよう訓練した。アノテーションは、毛髪、眼鏡、首、肌、唇などの前景要素のピクセル精度の位置と、IoU(Intersection-Over-Union)98%の背景ラベルで構成される。

 テストでは、「iPhone 7」ではフレームレートが100以上、Googleの「Pixel 2」では40以上の動画で、IoU94.8%の精度で背景の差し替えができたという。技術的な説明は公式ブログを参照のこと。

 Googleは、このセグメンテーション技術をさらに改善し、同社の様々なAR(拡張現実)サービスに統合していくとしている。

 英語にまつわるテクノロジーの進化が目覚ましい。ポケットサイズの翻訳機や、グーグル翻訳に勝るとも劣らない純国産の翻訳エンジン「VoiceTra(ボイストラ)」も登場。こうなってくると、もはや英語の勉強は必要なのでは、とも思えてくるが……。

*  *  *

 ならば、もう私たちは英語を勉強しなくてもいいのでは? そんな考えが浮かぶが、全く勉強しなくてもよくなるわけではないらしい。

「機械が正しく翻訳できているかどうかは、基礎的な知識がないと判断できません。間違っていたらそれを修正できる程度の英語力は今後も必要です」(VoiceTraを開発した国立研究開発法人「情報通信研究機構」(NICT)の隅田英一郎さん)

 ただし、隅田さんは「外交官や国際ビジネスの最前線に立つような一部の人は別として、ビジネスパーソン全員がTOEIC800点を目指す必要はなくなるかもしれない」と指摘する。

 アメリカで行われた調査によれば、英語ネイティブが日本語をマスターするために要する時間は2200時間。おそらく日本人が英語をマスターするにも同じくらいの時間が必要だ。

 ちなみにいま日本の中学高校での英語授業は計910時間。隅田さん曰く、

「正しい日本語さえ書ければ、機械が正確に訳してくれる時代がくるとすると、膨大な時間をかけて英語を習得する必要があるのか。機械にできることを、人間が無理してやることはないと開き直って、英語以外の勉強に力を入れるというのも、選択肢の一つでしょう」

 電卓ができたことによって、「そろばん」は必須のスキルではなくなった。英語もそろばん化するということか。海外で営業などを行う太洋物産の山本大哉さん(30)さんは、どちらかといえば、それを是とする。

「僕は自分の娘と息子には、英語を頑張らせるつもりはありません。それよりプログラミングとか設計とかのスキルをつけたほうがいいかなと。僕自身も今後は、製品のことをよりよく理解し改善のアイデアも出せるように、物理とか理系の勉強をしたいと思っています」(山本さん)

 もちろん、今後必要とされる英語力は対面コミュニケーションの必要性にもよるだろう。例えばソフトウェア・エンジニアの世界では、世界中のエンジニアと協力しながら開発していくオープンソースプロジェクトが盛んだが、隅田さんによれば、英語でプログラムの説明書を読み書きする能力さえあれば、十分に活躍できる。リスニングやスピーキング力はなくても構わないし、読み書きは、自動翻訳でかなりの程度カバーできる。

 でも、せっかく時間も労力もコストもかけて英語を勉強してきたのに、手放すのは惜しい。絶対できたほうがいいはず。そう信じるのなら、テクノロジーをうまく使いこなし、ラクして生産性と英語力アップを目指せばいい。囲碁や将棋の世界ではAIが人間をしのぐ力をつけ、そのAIと対局することで人間も強くなっている。あらゆる最新技術を使い倒せば、今まで絶対無理だったネイティブレベルを狙える可能性だってあるはず。「英語カースト」の上位層──つまり翻訳者レベルの人たちの世界も今後は変化にさらされるという。自動翻訳は人間の翻訳者にとって脅威にもなり得るが、逆にうまく下訳に使えば生産性向上にもつながる。

言葉の壁をなくすお助けサービス(AERA 2018年3月5日号より) © dot. 言葉の壁をなくすお助けサービス(AERA 2018年3月5日号より)

 結局、テクノロジーの発達によって問われているのは、そもそもなんのために英語を勉強するのか、ということだ。

 アエラのアンケートでも、「仕事や研究のための英語学習は必要なくなるだろうが、映画や音楽の原作を楽しみたいとか、旅をするために人は学び続ける」「語学を学ぶのは、その国の文化を理解することにつながるから。深いコミュニケーションをするために、外国語を学び続ける意味はある」という意見があった。前出の隅田さんは、「多様性を身につけるには、世界が相対的だということを知ることが大事。語学の勉強がその入り口になるのは確かだ」と話す。(編集部・石臥薫子、高橋有紀)

※AERA 2018年3月5日号より抜粋

Image: ESO/M. Kornmesser © ギズモード・ジャパン 提供 Image: ESO/M. Kornmesser

ハワイの言葉で「遠くからはじめて来たメッセンジャー」。

オウムアムアがマウイ島にあるパンスターズPS1望遠鏡で観測されたのは、2017年10月19日のこと。人類がはじめて観測した恒星間天体、つまり太陽系の外からやってきた小惑星でした。

オウムアムアを観測できたのはほんのつかの間でしたが、その余波はじわじわと通説をくつがえしつつあります。太陽系に飛んでくるオウムアムアのような恒星間天体の数は、今まで思われていたよりもずっと多いことがわかり、したがって恒星間天体が地球に生命の起源を運んできたとするパンスペルミア説も現実味を帯びてきました。

もし太陽系に飛来する恒星間天体のどれかに微生物の芽胞が付着していて、それが地球の生命の起源となったとしたら? 地球外生命体の考え方を根本的に揺るがしかねない新展開です。

せっかちなメッセンジャー

まずは、オウムアムアについてもう少し詳しく。

去年10月、あまりに唐突に飛んできたオウムアムアに誰もがあっけにとられました。葉巻のようなとがった形、赤っぽい色、いままでにない軌道。NASAによれば直径400m未満の比較的小さな天体だと推定され、そのスピードは秒速25.5kmというものすごい速さでした。いままで観測されてきたどんな天体ともあきらかに違う特徴の数々は、オウムアムアが太陽系の外から飛んできたことを物語っていました。

オウムアムアの軌道 © NASA/JPL-Caltech オウムアムアの軌道

それ以来、科学者たちはオウムアムアがどこからきてどこへ向かっているのか、どんな物質で構成されているのか、そして太陽系外の宇宙を知る手がかりにならないかを一斉に調べています。もしかしたら、宇宙船か探査機のようなものだったのでは?と考える科学者もいましたが、その可能性は低いようです。

オウムアムアの出現以前、理論上の恒星間天体はおよそ彗星のような姿をしていると考えられていました。ところが実際のオウムアムアは、太陽に接近しても彗星のような尾を引かなかったため、これまでの恒星間天体のイメージを塗り替えたのです。いままで、いくら恒星間天体を探しても見つからなかったのは、そもそも探していたものが見当違いだったからなのかもしれません。

結果、太陽系内の恒星間天体の数は今まで考えられていたより、はるかに多いことがわかりました。

星の網

実際どれぐらい多いのでしょう? 数千個にのぼる恒星間天体が今も太陽系のどこかに存在している、との説もあります。ハーバード大学のManasvi Lingamさんとハーバード・スミソニアン天体物理学センターのApaham Loebさんは、大幅に上方修正された恒星間天体の数密度をもとに、太陽系がいままでどれぐらいの恒星間天体を引き寄せてきたかをコンピューターモデルを使って計算しました。太陽系においては太陽と木星の巨大な重力が時空間をゆがめ、いわば恒星間天体をキャッチする「漁網」のような役割を果たしていると考えられるそうです。

計算の結果、太陽系内には常に何千もの恒星間天体が存在しており、大きいものは直径数10kmにも及ぶと推測されました。お隣の恒星アルファケンタウリA星とB星についても調べたところ、こちらはもっと強力で、地球サイズの天体をもキャッチできる計算結果だったんだとか。

さらにLingamさん達は、太陽系に引き寄せられた恒星間天体が今まで地球に衝突した割り合いも調べて、驚くべき数字を導き出しました。地球に生命が誕生する38億年前までに、直径約100mの天体が400個、そして直径1kmにも及ぶ天体が10個も衝突していたというのです。生命が誕生する前の地球は恒星間天体のなだれ打ちに合ってボッコボコにやられていたわけです。太陽系内から飛んでくるほかの隕石や彗星も含めたら、もっとひどかったかもしれません。

でも、ボッコボコにされるだけではなかったかもしれません。恒星間天体の多さ、そしてそれらが地球に衝突したことは、太陽系の外からやってきた天体が地球に生命を運んできたとするリソパンスペルミア説の可能性を広げる結果だとLingamさんは結論づけています。

石の船

なんらかの理由で砕け散った惑星のかけらが、太陽系、もしくはその外から飛んできて地球にぶつかり、地球に生命のたねをもたらしたのではないか? それがリソパンスペルミア説です。「生命のたね」とはDNAやRNAなどの遺伝子情報や、極限状態でも生きられる微生物、もしくは生命が誕生するのに必要な条件を整える有機的、生化学的な物質の存在などが挙げられます。

隕石の船に乗ってやってきた生命のたねが、はたして生きたまま地表に到達できるのかという点について、主任研究者のLingamさんは米ギズにこのように語っています。

リソパンスペルミアには2種類あって、直接隕石が地球に落ちて生命のたねを植えつけたか、あるいは隕石が太陽系内のほかの惑星や微惑星と衝突してそこから生命のたねが長い時間をかけて地球に到達したか(グラシオパンスペルミア)、そのいずれかの可能性が指摘されている。

「生命のたね」が隕石や氷の充分奥深くにもぐりこんでいれば、地球に衝突しても岩石や氷の盾に守られて生き延びただろう。

隕石に運ばれた生命が何千万年もかけて惑星間を移動したり、何十億年もかけて恒星間を移動する可能性は、すでにほかの科学実験の結果からもうかがえる

宇宙人の探し方

パンスペルミア説の可能性を広げるだけではなく、今回の研究結果はまったく新しい地球外生命体の探し方も示唆しています。望遠鏡をのぞいて遠くの星を探すかわりに、太陽系がキャッチした恒星間天体を調べればいいのだとLingamさんとLoebさんは提案しています。

これまで地球外生命体を探す方法はふたつありました。望遠鏡で遠くの惑星を観測するか、あるいは星間飛行できる探査機を遠い遠い宇宙へ送り込むか。前者は技術的には可能だけどなかなか結果に結びつかず、後者はいまのテクノロジーでは不可能でした。

でも発想の逆転で、太陽系に飛んできた恒星間天体を見つけ出してそこに探査機を送る方法なら、現代の技術でも充分可能だとLingamさんは話しています。問題は、どうやって恒星間天体を嗅ぎ出すか。

一番簡単な方法は、天体が太陽に近づいたときに見せる彗星のような尾を高分解能分析して、その水蒸気に含まれている酸素のアイソトープの存在比を調べればいいそうです。それ以外にも、たとえば比較的近くにある天体であれば太陽のひかりの反射を利用して天体の存在をつかむとか、逆に遠方の天体であれば熱を帯びたものを探すとか、やり方はあるのだとか。

そしていざ恒星間天体だとわかれば、そこに探査機を送って生命の痕跡を調べればいいとLoebさんは言いいます。JAXAのはやぶさ号が小惑星イトカワの表面から物質のサンプルリターンを取ってきたようなかんじでしょうか。

小惑星探知機の活躍に期待

もちろん、LingamさんとLoebさんの研究はまだ推論の域を出ていません。恒星間天体について人類が知らないことはあまりに多すぎますし、いままで確認できた恒星間天体はオウムアムアたったひとつだけですし、どれだけたくさんの恒星間天体が太陽系内に潜んでいるのかも正確なところは誰もわかりません。パンスペルミア説が妥当かどうかも実証するのは難しいですよね。そもそも地球上の生命は自然発祥したことを否定する理由がひとつもありません。

でも…、隕石の船に乗って生命のたねがやってきたなんて、壮大なロマンを感じます。

たとえば今後、イーロン・マスクさんが有言実行して本当に火星に住んじゃうとしたら、それも新たなパンスペルミアですよね? もしかしたらスターマンが生命のたねを運んじゃったり……? 想像は尽きません。

ちょうど2018年はJAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウに接近、着陸してサンプルを採取してくるという4年越しのプロジェクトのクライマックスを迎えるタイミング。はやぶさ2は今年の6月か7月にはリュウグウに到着する予定だそうで、JAXAのプロジェクトサイトではやぶさ2の進行状況も確認できます。

どんな結果が地球に送られてくるのでしょうか。いまから楽しみです。

Images: ESO/M. Kornmesser, NASA/JPL-Caltech

Source: Nature, NASA, arXiv, JAXA, YouTube

George Dvorsky - Gizmodo US[原文]

(山田ちとら)

© Engadget 日本版 提供

Engadget 日本版 YouTubeチャンネルより。CP+2018のルミカブースで見つけたのが、水中を360度ライブ映像で体験できるシステム「Bi水族館」です。360度カメラを防水ハウジングに入れて、USBの有線接続でタブレットやVRゴーグルでリアルタイムに観察できるというもの。

ハウジング内にはLEDライトも内蔵されており、水中でもキレイな映像を映し出してくれます。基本セットは防水仕様の360度カメラとケーブルで、本システム用に最適化されたタブレットやVRゴーグルもオプションとして販売予定とのこと。まるっと一式揃えればすぐに楽しむことができます。

© Engadget 日本版 提供

ちょっと残念なのは、防水ハウジングの設計が水の屈折率を考慮しておらず繋ぎ目が目立ってしまうこと。高解像度かも含めて今後の課題と言えそうです。

そもそも子供達の水中観察学習用にと考えられたシステムとのことなので、VRゴーグルの仕様も年齢制限を下げられる一眼タイプでも良いのかもしれません。子供達も魚目線で観察できたら楽しいですよね。

■宇宙新時代 月へ、再び

 月や火星を目指す将来の有人探査では、宇宙飛行士の滞在期間が数カ月~数年に及ぶ可能性がある。現地で居住スペースなどを作るための土木作業や、省電力の通信手段などが必要になる。

 だが、時期が未定の探査のためだけに、新たな技術を開発して維持するのは負担が大きい。2003年に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」のイオンエンジンは、11年後の「はやぶさ2」まで、性能向上や産業化の名目で予算を確保して維持してきた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の国中均・宇宙科学研究所副所長は「こうした仕組みでは、30年先の探査はできない」と話す。

 こうした課題を乗り越えようとJAXAは15年、「宇宙探査イノベーションハブ」を設置した。「ハブ」とは「中核」の意味。探査に必要な技術について、大学や企業から提案を募って共同で開発する。成果は、JAXAが宇宙で探査に使う一方、地上では企業がビジネスにつなげる。これまでに54件の共同研究を行い、宇宙分野に関わりがなかった企業も約50社取り込んできた。

 解体用重機の部品などを開発する、タグチ工業(岡山市)は、JAXAの炭素繊維の技術を応用したショベルカーを開発中だ。軽量化すれば、ロケットに多く積むことができ、月拠点の建設などに役立つ。

 これまでの研究で、従来の約3分の1の重さのアームを試作。一度に掘削できる土の量が多くでき、燃費の向上も期待できる。同社技術本部の岡田康弘さんは「炭素繊維は高価だが、自動車部品などで量産化が進めば、価格が低下し、製品化も検討できる」と話す。

 ソニーやソニーコンピュータサイエンス研究所は、約1ミリで光ディスクを読み取るレーザー技術を使い、4500キロ離れた衛星を結ぶ通信技術に取り組む。電波を使わないため、周波数の割り当てにとらわれず、省エネ性も期待できる。

月面を模したJAXAの実験場に立つ国中均・宇宙科学研究所副所長と探査車=相模原市の宇宙科学研究所 © 朝日新聞 月面を模したJAXAの実験場に立つ国中均・宇宙科学研究所副所長と探査車=相模原市の宇宙科学研究所

 今年度中に、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」に取り付け、地上との通信を試す。将来は、月や火星との通信にも応用できる可能性があるという。

 国中さんは「宇宙でも使えて、地上産業化ができそうな技術開発には、何らかの壁がある。実際にできるのは、千に三つほどかもしれないが、一つでも二つでも実現させないといけない」と話している。(田中誠士)

© atomixmedia,inc 提供 サイバーセキュリティの専門家らは、ウェブ上のプライバシーを守るため様々な対策を呼びかけている。なかでも最も有効な手段とされるのが、パスワードの使い回しをやめることだ。

パスワードを決める際は、自分が過去に使用したものを避けるのはもちろん、他人が過去に使用したものも使うべきではない。なぜなら、サイバー犯罪者らは何億個もの流出済みのパスワードのリストを持っており、それを悪用しているからだ。

犯罪者らは流出済みのパスワードにリストに、同じく流出済みのメールアドレスをマッチングさせることで、あらゆるサービスに忍び込もうとしている。

この状況からユーザーを守ろうと立ちあがったのが、セキュリティ研究家のトロイ・ハントだ。マイクロソフトのMVP賞の受賞歴を持つハントは、かつて自分のメールアドレスがハッキングされているかチェックできるサイト「Have I been pwned?(HIBP)」で有名になった。

そのハントが次にリリースしたのが、特定のパスワードが漏洩していないかを調べられる「Pwned Password」だ。このサイトを訪れ、検索窓に自分が使っている(あるいはこれから使おうと思っている)パスワードを入力すると、過去の漏洩履歴が表示される。

ハントは5億件に及ぶ流出済みパスワードのリストを持っており、そのリストと照合を行うのだ。例えば、最悪のパスワードとして知られる「123456」を検索してみると、「Oh No !」という文言とともに画面が赤に変わり、2000万回以上の漏洩履歴があることがが分かった。

また、流出履歴のないクリーンなパスワードの場合は、画面が緑色に変わり「Good News」と表示される。

このサイトが興味深いのは、自分で思いついたユニークな文字列だと思っているパスワードを入力してみると、意外にもそのパスワードが流出履歴を持つものだったりすることだ。これは、同じパスワードを思いついた人が他にも存在し、それが流出しているということなのだ。

このような事態を防ぐために有効なアプリが「LastPass」や「1Password」といったものだ。こうしたツールを用い、セキュリティ強度の高いパスワードを自動生成し、管理することでハッキング被害を予防できる。

Image: JacobsSchoolNews/YouTube © ギズモード・ジャパン 提供 Image: JacobsSchoolNews/YouTube

効果的で実用的。しかもレンダリングが10倍速い!

これまでCGで毛を描写するってのは、レンダリング処理がコンピューターを重く遅くする頭の痛い作業でした。ましてや一本ずつの動きや光の反射を再現するだなんて、時間がかかるぶん制作コストもドカンと跳ね上がってしまいます。

そこでカリフォルニア大学サンディエゴ校と、バークレー校のコンピューター科学者たちが、動物の毛並みをリアルに再現する技術を編み出しました。もうちょっと詳しくいうと、毛に当たる光の反射や陰影が、従来よりリアリスティックになるのです。

この方法だと従来の10倍も速く、正確な処理でレンダリングができるのだそうです。研究者のRavi Ramamoorthi氏はこうコメントしています。

私たちが初期に作った、毛並みの反射率モデルが受け入れられました。近く行なわれる演習に利用されることを期待しています

実は調査のために、剥製屋から毛の繊維を集めたという苦労話もあるそうな。そして2017年、タイ王国で開催された「シーグラフ・アジア」というカンファレンスでこの技術を発表したのでした。

これまでのレンダリングでは、毛をたくさんの円筒形として描写し、その表面に光が反射するよう作っていました。ですが本当の毛はもっと粗くなっています。しかも、これまでのCGは、人間の毛髪を想定して作られたシステムばかり。

これを解決するための技術が「サブサーフェイス・スキャッタリング」です。直訳すると「表面下の拡散」となるのですが、その名の通り技術的には、光が毛の表面ではなく毛束の隙間を反射/拡散して通り抜けるようにしたのです。たとえると、Tシャツを被せた懐中電灯から漏れる光が、繊維の隙間から外へバラバラに差すようなイメージ。

アニメーターたちは数学的な数値を操り、光をどんな状況下でどのように拡散させてレンダリングするのか、という方法を心得ています。ですがこの研究はAIにそれらの計算をさせるのです。

この方法はコンピューターで生成される毛並みなら、テレビゲームでもアニメでも実写でも利用することができます。ちなみに『猿の惑星』シリーズは従来の方法で毛並みを再現していましたが、もしこの方法を利用したら、もっとリアリスティックで、なおかつ公開日も早まることでしょうね。

次のステップは、この技術でリアルタイム・レンダリングをするそうです。もしこれが効果的であれば、役者の動きに即興で毛並みを生成してくれることになるでしょう。

Image: YouTube

Source: YouTube via UCSD

Reference: engadget

Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文]

(岡本玄介)

先月行われたSki Robot Challenge(スキーロボット競技大会)には多くのロボット研究者たちが参加した。そのビデオを見ると、スキージャケットを着たロボットたちが一斉にゲートを跳び出し、粉雪の中を転がっていく。Korea Institute for Robot Industry Advancement(韓国ロボット産業振興研究所)が主催したこの競技大会は、同じ時期に同じ国で行われた冬季オリンピック、パラリンピックと並んで、さしずめロボリンピックだった。

IEEE Spectrumによると、そのルールはかなり厳しい:

参加ロボットは必ずヒューマノイド(人型ロボット)で、肘と膝の自由度が15度以上あること。身長(足から肩まで)は50センチメートル以上。必ずスキーとストックの両方を使用し、ロボットが肘を曲げて立っているときはストックが着地していること。競技が行われるスロープは長さ80メートル、幅20メートルで、各チームは赤と青のゲートをスラロームしながら3分以内にゴールすること。ロボットは、ゲートを通過するたびに1点を得る。同点のときは速度を比較する。それでもなお同着なら、身長の高いロボットの勝ちとする。

参加選手の中から、ここではTaekwon Vと、ずんぐりしたSkiroをご覧いただこう。Skiroのモットーは、“ぼくはスキーロボット競技大会のヒーローだ!”、だ:

© TechCrunch Japan 提供 © TechCrunch Japan 提供

ルールとして全員がジャケットを着なければならないから、全員とてもかわいい。優勝したTaekwon Vは、風や雪面の条件が悪い中、ゲートに一回も接触せずにゴールした。全員に、ごほうびとして温かいオイルをあげたいね。

[原文へ]

(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)

© TechCrunch Japan 提供