LINE株主が聞き入れないメッセージ
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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2億0300万人のユーザーを抱える日本最大の対話アプリLINEが業績を伸ばしている。その一方で、ユーザー数の伸びは好調とは言い難い。
同社は第3四半期の決算で営業利益が18%増加したと発表。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスがまとめたアナリスト予測平均は営業利益10%減だった。予想外の数字を受けて株価は26日に12%上昇し、1年ぶりの高値を記録した。
予想を上回る業績は、コスト管理の改善が一因だ。しかし売上高が20%近く増えたことは、株主たちも歓迎するべきだろう。中でも商品の購入など具体的な効果が得られた時のみに広告主が広告料を支払う「運用型広告」のサービスは好調だった。この分野の売上高が前年比で倍以上伸びたことを受け、全体の広告収入も41%増えた。同社は来月から動画型広告も手がけるとしており、さらに勢いづく可能性がある。
とはいえ、LINEには課題もある。最も多くの月間アクティブユーザー数(MAU、1カ月間で1回以上ログインしたユーザー数)がいる日本、台湾、タイ、そしてインドネシアの4カ国では、その数が1億6800万人で1年前からほぼ横ばいだ。中国ではサービスが規制され、その他の国は既に別の対話アプリが市場を独占しているため、利用者数が今後どこかで飛躍的に伸びるとは考えにくい。それに加え、大きな絵文字やゲームを販売してきたLINEの古いビジネスモデルは頭打ちだ。
好調な広告事業が成長することでLINE全体の業績が上向きにあることは心強い。しかしそのほとんどがすでに株価に織り込み済みだ。今回の上昇を受け、2018年の予想収益に基づく株価収益率(PER)は66倍に達した。現四半期にはマーケティングへの投資を強化するため、コストも再度上昇するだろう。
LINEに投資している人たちは、これが何を意味するかしっかりと耳を傾けるべきだ。