G山口俊の処分に選手会「重すぎる」
© サンケイスポーツ 提供 球団の処分が発表された8月18日に会見した山口俊。選手会は処分見直しを求めた
労組プロ野球選手会(嶋基宏会長=楽天)は28日、傷害と器物損壊容疑で書類送検(後に起訴猶予)された巨人・山口俊投手(30)が球団から受けた総額約1億円の罰金や減俸処分が重いなどとして、球団に抗議するとともに、処分の再検討を求めたことを明らかにした。これに対し、巨人広報部は「山口俊投手に対する処分は妥当と考えています」とのコメントを発表。18日の山口の謝罪会見で収束したかに見えた一連の騒動が、「処分の重さ」を巡って再燃した形となった。
18日に巨人が処分を下してから10日。労組プロ野球選手会が、山口俊が球団から受けた総額約1億円の罰金や減俸処分が重いなどとして、球団に抗議するとともに処分の再検討を求めたことを、文書で明らかにした。
「巨人軍が、本件を奇貨として不当な解雇を突きつけることで、金銭的な負担を軽くする意図があったのではないかと邪推せざるを得ません」
「奇貨」とは「機会」の意。選手会は、逮捕に至った事案でないことや、被害者と示談が成立していることから、過去の例に照らしても処分が重いと主張。さらに、公表されなかった事実として今季から3年契約だった山口俊に対して「複数年契約の見直しを迫り、同意しなければ契約解除(解雇)するとの条件を提示し続けることにより同意させた」と説明。独占禁止法上でも、優越的地位の濫用(らんよう)に該当する-などと訴えた。「対象選手から事情を聴取し、巨人軍と交渉を行うなどして状況を把握」しているという。
こうしたことを踏まえ、巨人球団に対し抗議、処分の再検討と契約見直しの撤回をするよう要望。さらに、日本野球機構(NPB)の熊崎勝彦コミッショナーとプロ野球実行委員会に調査および、選手会への報告を要請する文書を送った。
これに対し巨人は、球団広報部として「山口俊投手に対する処分は妥当と考えています」とのコメントを発表。また熊崎コミッショナーは「真摯(しんし)に受け止め、9月4日の実行委員会に報告する」と話した。
山口俊は7月11日未明、右手を負傷し、酒に酔った状態で東京都目黒区内の病院を訪れ、警備員に体をぶつけるなどして全治2週間のけがをさせた容疑で書類送検(後に起訴猶予)された。球団は今月18日に制裁金として1億円のほか、今季終了までの出場停止処分を科していた。
19日には老川オーナーが「処分が甘い」との苦情が寄せられていることを明かし「もっと重い処分も考えた。いろんな角度から慎重に検討した結果下した判断」と説明。「来季はやらせるということで。前からの契約をそのまま生かすということではない。言ってみれば執行猶予みたいな、そういう性格の処分」と厳罰を強調していた。
18日の会見で山口俊は「私の軽率な行動により、多くのプロ野球ファンの気持ちを裏切る形になり、誠に反省している。今後、社会人として自分自身を律して参ります」と謝罪の言葉を繰り返していた。処分を受け入れ、練習に合流し、再出発した矢先に選手会が問題提起。「プロ野球界の深刻な問題として看過することはできません」と、その姿勢は強行だけに、今後の巨人、NPBの対応が注目される。
★プロ野球選手会の行動
1985年11月に労組が発足し、ストライキ権を取得。2004年、球団数削減の可能性が出てくるオリックスと近鉄の合併に反対して行動を起こし、交渉が不調だった結果、同年9月17、18日に初めてストライキを敢行した。要求し続けてきたフリーエージェント制度は、1992年オフの施行に至った。最近では、選手の年俸を契約更改交渉の前に事前通知するようNPBに求めるなどしている。
★巨人・山口俊の暴行トラブル経緯
◆7月11日未明 酒に酔った状態で負傷した右手の診察を受けるため病院を訪れ、扉を壊し、男性警備員を負傷させる。
◆同18日 トラブルを起こした疑いが発覚。球団は予告先発と発表していた同日の中日(ナゴヤドーム)の登板を取りやめ、起用を自粛。
◆同19日 出場選手登録を抹消され、練習自粛。
◆8月18日 警視庁目黒署が傷害と器物損壊の容疑で書類送検。山口俊は記者会見で謝罪。球団から今季終了まで出場停止、罰金、減俸(計1億円以上)の処分を受けた。
◆同19日 東京ドームを訪れ、高橋監督や1軍の首脳陣、選手らに謝罪。
◆同20日 ジャイアンツ球場で約1カ月ぶりに練習を再開。
山口 俊(やまぐち・しゅん)
1987(昭和62)年7月11日生まれ、30歳。大分県出身。柳ケ浦高から2006年高校生ドラフト1巡目で横浜(現DeNA)入団。09年に先発から救援に回り、1軍に定着。14年途中に先発再転向。昨季は11勝(5敗)を挙げて球団初のCS進出に貢献した。同オフに巨人へFA移籍。今季成績は4試合に登板し、1勝1敗、防御率6.43。通算成績は371試合に登板し、40勝45敗111セーブ、防御率3.38。1メートル87、97キロ。右投げ右打ち。既婚。背番号42。
労働組合・日本プロ野球選手会
プロ野球12球団に所属する全ての日本人選手(一部の外国人選手を含む)が会員の、労働者としての選手による組合。主にプロ野球選手の地位向上を目的に1946年に設立され、80年に社団法人として法人格を取得。85年に労働組合となった。当時選手会長は中畑清。雇用者である球団との間で待遇改善交渉などを行っている。現会長は楽天・嶋基宏。一般社団法人・日本プロ野球選手会もあり、野球教室などの活動を行っている。
