トランプ相場、最後の希望ついえる時

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 ドナルド・トランプ大統領と米議会に対する投資家の期待は、大方の市場では今年1月に比べてしぼみつつある。株式市場にはまだ楽観的な見方が残るが、それも失望に変わる可能性がある。

 共和党が採決を目指した医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案は今週、失敗に終わった。このためトランプ氏が大統領選で公約に掲げた減税や財政出動の法案を実現できるか、懐疑的な見方が再び広がっている。ヘルスケア法案を巡る議論によって共和党内の激しい分裂が表面化したばかりか、法案成立を目指す時間が半年も失われた。議会はこれから予算案や債務上限の引き上げに焦点を移さねばならず、中間選挙へ向けた活動で忙しくなる前に税制改革案を通過させる時間はほとんどなくなる。

 減税や財政出動の法案成立への期待が後退したことは、年初からのいわゆるトランプトレードの巻き戻しに反映されている。

 例えばドル相場は、大統領選後に景気支援策への期待から急伸したが、今では11月の水準を下回って推移している。米国債利回りは連邦準備制度理事会(FRB)の今年2回の利上げにもかかわらず年初から低下した。大規模なインフラ開発計画が追い風となる企業の株価も同様に、今年は下落している。建材メーカーのバルカン・マテリアルズや建設請負業者のグラナイト・コンストラクションなどがそうだ。

 だが、株式投資家を沸かせたのは、インフラ計画よりも税制改革の見通しの方だ。例えば、法人税減税の恩恵を最も受けるであろう支払税率の高い企業で構成するストラテガス・リサーチ・パートナーズの指標は、大統領選後、税率の低い企業に比べ大幅に上昇した。ところが今年に入りその上げも失われた。

 もちろん株式相場全体ではこれと対照的に、大統領選後の上昇基調を維持している。このことから、トランプ氏の政策に対する期待より、企業決算の健全さと世界の経済成長が堅調なことの方が株価上昇の大きな手掛かりになっていると結論づけられる。

 ストラテガスの政策アナリスト、ダン・クリフトン氏は「すでに市場は税制改革をほとんどあてにしていないと当社はみている」と述べた。

年初からのいわゆるトランプトレードは巻き戻されている © Provided by The Wall Street Journal.

 ただ、利益の伸び鈍化と米景気の軟調さに直面する中でも株価バリュエーションは高く、やはり政策期待が株高をけん引した面もありそうだ。コーナーストーン・マクロが約1100人のクライアントを対象に先月実施した調査では、2018年の中間選挙前に議会が大型減税法案を成立させるとの予想が過半数に上った。

 コーナーストーンのアンディー・ラペリエール氏は、全ての投資家が減税法案を見限ったら株式相場はどうなるかを問うべきだとしている。恐らく下落する、というのがその答えだ。

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