歴史映画の恋愛シーンで抗議拡大、印

 【ニューデリー=森浩】インドで25日に公開された歴史映画「パドマーバト」をめぐって、インド各地で激しい抗議活動が起きている。物語にヒンズー教徒の王妃とイスラム教徒の皇帝によるロマンスが盛り込まれているとの噂が広がり、ヒンズー至上主義者が「歴史を歪曲している」と反発したためだ。映画館前に軍が出動。異例の厳戒態勢での封切りとなった。

 映画は13世紀のインド西部ラジャスタンが舞台で、メーワール王国の王妃パドミニの人生が描かれている。

 抗議の発端は作中で、同地に攻め込んだイスラム教徒の皇帝とパドミニとの「恋愛シーンが描かれている」との見方が広まったためだ。原作となった叙事詩で王妃は皇帝からの求婚を拒否して自殺しており、ラジャスタンでは「ヒンズー教徒女性の象徴」として今も人気を集めている。ヒンズー至上主義者にとって、侵略者であるイスラム教徒と“聖女”の恋愛は到底容認できないというわけだ。

 制作者側は映画の内容についての噂を否定し続けたが、撮影時から地元の高位カーストであるラージプートを中心に反発がわき起こり、ヒンズー至上主義団体「カルニ・セナ」などが公開中止を求めるデモを展開した。

 主演の女優ディーピカー・パードゥコーンさんには「鼻を切り落とす」という脅迫まで届いている。インドの中央映画認定委員会は複数箇所に編集を加えたうえで、タイトルの一部を変更するよう決定を下したが、それでも反発は収まらなかった。

 ようやく25日に封切りにこぎ着けたものの、23日夜から抗議活動が激化し、主要都市では軍隊や警察が警備に当たった。インド英字紙タイムズ・オブ・インディアなどによると、公開に反対する人々が自動車に放火したり、高速道路を封鎖したりする騒動が続発し、ニューデリー近郊のハリヤナ州グルガオンではスクールバスが襲撃される事件も起きた。西部グジャラート州では、一連の騒動で250人が身柄を拘束されたという。

 ただ、騒動を経た経緯もあってか映画は注目され、25日だけで国内で100万人以上を動員したという。インターネット上には、映画を見た人からの「2人が愛情を交わす場面はどこだ」「見てから抗議をした方がいいだろう」などと冷静な声が相次いでいる。

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