黒田総裁、デジタル通貨「計画ない」

 日銀の黒田東彦総裁は4日、日銀本店で開かれた国際決済銀行(BIS)の会合で講演し、将来の「中央銀行デジタル通貨」発行の可能性について言及した。「現時点で具体的な計画はない」としながらも、関連する新技術の研究と理解が必要との認識を示した。

 中央銀行デジタル通貨は中銀が発行する電子通貨で現在スウェーデンや中国などで導入が検討されている。民間銀行を通さずに預金者と直接決済情報をやりとりする仕組みで、中央銀行にとって通貨流通量の管理が容易になり、金融政策がやりやすくなるメリットがある。ネットワーク上の複数のコンピューターが分散して取引データを監視する「ブロックチェーン」の技術を利用することで、大規模な中央管理システムを設けず低コストでの運営も可能とされる。

 一方、預金者と直接つながることで中央銀行の業務が膨大になるほか、民間銀行の業務を奪うことになり、民業を圧迫するとの指摘もある。

日銀の黒田東彦総裁=丸山博撮影 © 毎日新聞 日銀の黒田東彦総裁=丸山博撮影

 黒田総裁は講演で、日銀による導入の可能性について「純粋な調査・研究の視点から数々の興味深い論点を含む」と語り、「将来的に新しい技術を(日銀)自らのインフラ改善に役立てていく余地がないのか、不断の研究を重ねていくことが求められる」と述べた。

 日銀は欧州中央銀行(ECB)と、デジタル通貨発行にもつながるブロックチェーンの共同研究を進めており、9月には、実証実験の結果を公表した。黒田総裁は「世界の主要中央銀行が共同で作業を行うのは、現時点では世界で唯一の試みで、大きな意義がある」と自賛した。【宮川裕章】

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