日馬富士、最後まで異例ずくめ逆転V
© サンケイスポーツ 提供 本割で豪栄道(右)を寄り切り、追いついた日馬富士(撮影・蔵賢斗)
大相撲秋場所千秋楽(24日、両国国技館 観衆=1万816)一人横綱の日馬富士(33)が11勝4敗で並んだ優勝決定戦で大関豪栄道(31)を寄り切り、7場所ぶり9度目の優勝を果たした。首位だった豪栄道を本割で寄り切って追い付いた。11勝で制するのは平成8年九州場所の大関武蔵丸以来で、1場所15日制が定着した昭和24年夏場所以降で3度目の最低成績。千秋楽の直接対決で本割、決定戦ともに勝って逆転優勝したのは今年春場所の横綱稀勢の里以来となった。
一人残った横綱が波乱の秋を締めた。本割で豪栄道に追いつき、優勝決定戦も制した。日馬富士が7場所ぶり9度目の優勝をたぐり寄せた。
「きょうの一番に集中していた。命をかけて、全身全霊で…よかったです。土俵の神様が応援してくれた」
初日から3横綱が休み、2大関も途中休場する99年ぶりの異常事態は、日を追うごとに混迷の度合いを深めた。13日目終了時で5敗までの16人に優勝の可能性が残ったが、その一因は一人横綱の大不振。自身3度目、横綱では初の優勝決定戦でつかんだ大逆転V。だが、心からの笑顔はなかった。
「(一人横綱は)初めてで心技体が合わずにバタついてしまった。でも下がるところはない。前を向いて、明日を見つめて頑張りました」
3日連続で平幕に屈した5日目、本場所総見に訪れた横綱審議委員会の北村正任委員長が「頑張って。横綱が全部休んだら目も当てられない」と異例の懇願。左肘に爆弾を抱え休場を選択してもおかしくない場所で、何とも不思議な盛り上がりを演出してみせた。
10日目終了時で星3つの差を逆転したのは初めて。1場所4個の金星を配給した横綱が優勝するのも史上初という“珍記録”も、異例の場所ならでは。4横綱時代の平成3年夏場所に一人横綱で優勝した経験がある師匠の伊勢ヶ浜親方(元横綱旭富士)は「やれることをやりきった。責任が重かったと思う」。初土俵から100場所目。一度は白旗を上げた横綱が、最後には主役となった。 (臼杵孝志)
八角理事長(元横綱北勝海)「日馬富士は集中力があった。真っすぐにいけば勝てるという自信があった。3連敗もあったが諦めずに辛抱してやってきた。豪栄道には迷いがあった。ただ、この2人はよく持ち直した。よくやってくれた」
日馬富士 公平(はるまふじ・こうへい)
本名・ダワーニャム・ビャンバドルジ。昭和59(1984)年4月14日生まれ、33歳。モンゴル・ゴビアルタイ出身。伊勢ケ浜部屋。平成13年初場所で初土俵。21年初場所で大関に昇進し、安馬から改名。24年九州場所で横綱に昇進。幕内優勝9回、殊勲賞4回、敢闘賞1回、技能賞5回、金星1個。幕内通算712勝370敗73休(77場所)。得意は突き、押し、右四つ、寄り、投げ。1メートル86、137キロ。
