天然で希少、ブランド杉を伐採休止

 高知県東部の馬路村魚梁瀬地区で、国有林にある銘木「魚梁瀬杉」の伐採が今秋を最後に休止される。16世紀、豊臣秀吉が京都に建てた大仏殿に使われたとされ、高級建材として人気があった「ブランド杉」だが、伐採などで減少。林野庁四国森林管理局は「希少な天然杉を保全する必要がある」と判断した。  

魚梁瀬杉は、大きいもので直径1メートル超、樹齢300年以上。樹脂の含有量が多く湿気に強いため、戦後の復興期には建物の土台などに多く使われた。成長が遅いため年輪が細かく、高級天井板としても人気があった。  

だが、1978~82年度に伐採された魚梁瀬杉が計11万8879立方メートルだったのに対し、2008~12年度は4417立方メートルまで減少した。和室がある住宅の減少で需要が減ったこともあるが、県立牧野植物園(高知市)の鴻上泰解説員(68)は「切り過ぎたのだろう。伐採を続けるのはまずい」と危機感を示す。  

四国森林管理局は有識者を集め検討。神社仏閣の修繕など特別な場合を除き、18年度から伐採を休止すると14年度に決定していた。  

一方、28年ごろからは、魚梁瀬地区に植林されて成長した樹齢130年以上の杉の供給が可能になる見通し。天然杉ではないが、高知県木材協会の小川康夫会長(73)は「材質はほとんど変わらない。『魚梁瀬杉2代目』の付加価値を高め、有効に活用すべきだ」と話している。 (了)

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