プチ整形機器、輸入後に転売野放しも
国内未承認の米国製美容医療機器「サーマクール」を巡り、販売会社社長らが25日に逮捕された事件。同機器は「切らないリフトアップ」「日帰り治療」を宣伝文句にしており、短時間の施術でメスを使わない「プチ整形」の一つとして、近年ブームが続いている。美容医療の広がりに伴い、未承認の医療機器の医師による個人輸入は増える一方、輸入後の管理などについて国の対応が追いついていない現状がある。
東京都の女性(39)は、2~3年前から口周りのたるみが気になり始め、今月上旬、都内の美容外科でサーマクールを初めて試した。20歳の頃からさまざまな美容医療を受けてきた。顔全体に1時間ほど施術を受けて約10万円。決して安くはないが、「やっぱりきれいになりたい」。直接メスを入れないため劇的な変化はないが、皮膚が引き締まったように感じるという。
関係者によると、サーマクールは患者が施術費の全額を支払う自由診療で、1回の施術料の相場は20万円程度とされる。1台あたり約1000万円かかる機器本体の元を取るため患者を多く集める必要があり、医療機関の間で価格競争は激化しているという。2人で施術を受ければ数万円ずつ割引を受けられる「ペア割」などでPRする例もある。
やけど被害が明らかになったチップの使い回しは、こうした値下げ競争の中で横行した。ある医療機器販売会社の幹部は「美容医療関係者の間ではコスト削減策として広まっていた」と証言する。一方、採算が取れないため機器本体を同業者に転売するケースもあるという。
厚生労働省によると、医師による未承認の医療機器や医薬品の個人輸入は2010年度の3万9331件から15年度には6万3036件に増加した。輸入する際、譲渡や転売をしないよう医師から誓約書を取っているが、輸入後に実際にどう管理されているかを確認する方法はないという。厚労省の担当者は「他人に譲り渡したり貸したりする行為も違法だと注意喚起していきたい」と話している。【宮嶋梓帆、伊藤遥】
