ヨーカ堂新浦安店を買った会社の正体
© 東洋経済オンライン マンションが建ち並ぶ新浦安埋め立て地のど真ん中、「イトーヨーカドー新浦安店」の跡地を買ったのは、誰なのかーー。 地元住民が気にしていたこの土地を142億円で取得したのは、不動産ディベロッパー大手スターツコーポレーションのグループ会社だったことが、東洋経済が調べた登記簿の内容で明らかになった。買ったのはスターツだった この場所は2000年10月からイトーヨーカドー新浦安店が営業。不動産、建物を2004年7月に森トラスト総合リート投資法人に売却し、賃貸借契約を結んで運営していた。 新浦安店は5階建てで建物の床面積が5.7万メートル、1280台収容可能な大型の駐車上を抱えるなど、この地域有数の大型店舗だ。そのうえ、周辺にはホームセンター「ケーヨーデイツー新浦安店」、家電量販店「ケーズデンキ新浦安店」や「トイザらス・ベビーザらス 新浦安店」が立地し、このエリアの中核になっていた商業施設だ。 運営元のセブン&アイ・ホールディングスは、2016年3月に事業構造改革として、収益改善が見込めないイトーヨーカ堂の店舗について今後5年で40店舗を閉鎖すると公表、そのうち20店については2016年度中に閉鎖すると明らかにした。 この流れの中で、新浦安店も建物と不動産を保有する森トラスト総合リート投資法人に昨年7月下旬に解約を申し入れていた。 その後、計画通りに今年5月28日にイトーヨーカドー新浦安店は閉店したが、地元の強い要請を受け、6月28日から規模を縮小した「イトーヨーカドー食品館」として再出店。「いつまで営業するかは未定」(セブン&アイHD)ながら、食料品の専門店として細々と営業を続けている。 こうした閉店のゴタゴタを尻目に、森トラスト総合リート投資法人はこの5月、「7月末に142億円で売却が決まった」と公表。この時点で譲渡先は非公表とされたが、今回登記された内容によりスターツのグループ会社が買収したことが明らかになった。 ただ、スターツはこの件に関して、「思惑だけが先行することで地元に悪影響を与えたくない」(同社広報部)と、コメントを拒否している。 スターツは賃貸住宅の建設と賃貸住宅の仲介管理業務が2本柱。さらに同社は新浦安店の跡地からワンブロック離れた場所で、「タイムレスタウン新浦安プロジェクト」と称した大規模開発を施工中だ。 対象地域は約5万平方メートルという広大なエリアに、総事業費約260億円を投入。現在は液状化対策地盤改良工事を済ませ、2018年3月期にケア・保育などの施設を完成、2019年3月期に分譲マンション170戸と戸建て90戸の引き渡しを開始する予定だ。浦安市は食料品販売の継続を要請するが… スターツは現在、中央区日本橋に本社を置いているが、元々は江戸川区葛西で創業している。 浦安市とは旧江戸川で隔てられた隣町で、市が主催する花火大会に協賛するなど、地元意識は強い。 一方の浦安市としては、イトーヨーカドーを地域の中核のテナントとして開発を進めてきたことから、「今後も日用品や食料品を販売するテナントを誘致してくれるように要望している」(都市計画課)と説明する。 スターツは今後、この地をどう開発するのか。地元に配慮するのであればこそ、しっかりとした説明責任が求められるはずだ。
