近江商人旧宅で「最古の便器」調査

 滋賀県東近江市五個荘竜田町の近江商人旧宅から国内最古級の陶器製水洗便器が発見されたのを受け、便器を製造した日本陶器の流れをくむTOTO(福岡県北九州市)の社員が30日、現地調査に訪れた。調査に当たったTOTOミュージアムの迫下勉企画主査は、便器の他にも周りの洗面台など、関連製品のサイズを測りながらビデオ撮影などで丁寧に記録。小便器については同社の資料写真と見比べ「商標マークや全体的なデザイン以外にも排水口の形など一致する点が多い。TOTOが知る限り、唯一現存する最古の便器であろう」と評価した。【金子裕次郎】

国内最古級の陶器製水洗小便器を調査するTOTOミュージアムの迫下企画主査(左)。右は大便器と、民家を買い受けた廣部住職=滋賀県東近江市で2017年8月30日、金子裕次郎撮影 © 毎日新聞 国内最古級の陶器製水洗小便器を調査するTOTOミュージアムの迫下企画主査(左)。右は大便器と、民家を買い受けた廣部住職=滋賀県東近江市で2017年8月30日、金子裕次郎撮影

 小便器は1914~17年製で高さ約45センチ、幅約40センチ。TOTOの資料によると、16年10月までに1249個が製造されたとされる。同時に見つかった大便器に関しては、製品に付けられた商標マークなど、同社に一致する資料が無いため、製造年代の特定などには至らなかった。調査結果は本社に持ち帰り貴重な資料にするといい、迫下さんは「(5月にTOTOが)創立100周年を迎えた年に、こういう形で記念すべき製品に巡り合えたことに縁を感じる」と話していた。

 便器が発見された近江商人旧宅は、繊維製品などを扱った松居久右衛門の本宅で、大正13(1924)年に天皇陛下の母方の祖父にあたる久邇宮邦彦(くにのみや・くによし)王が家族と共に宿泊した記録も残る。同家でも、この便器はその際に用意された当時の最新設備と伝えられている。同宅を約10年前に買い受けた教林坊住職の廣部光信(ひろべ・こうしん)さん(46)が便器に注目し、TOTOに問い合わせをしていた。

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