3頭だけ「ハイブリッド警察犬」活躍
© 産経新聞 提供 銃器捜索訓練をする警視総監賞受賞のムーンロケット号 (宮川浩和撮影)
卓越した嗅覚を駆使し銃器と薬物など2つ以上を嗅ぎ分ける「ハイブリッド犬」が活躍している。捜査員が過去3回の捜索でも見つけられなかった拳銃と実弾を発見したハイブリッド犬のムーンロケット号(雄、3歳)が28日、警察犬として警視総監賞を受賞。事件現場での犯人捜索の任務が防犯カメラや科学捜査に置き換わる一方で、違法薬物や銃器、行方不明者の捜索など警察犬の出動要請は多様化している。
先月7日、埼玉県坂戸市の暴力団組員の自宅に「拳銃がある」との情報を受け、組織犯罪対策5課の捜査員とともに真っ黒なラブラドルレトリバーのムーンロケット号が捜索に踏み込んだ。“鼻の捜査官”は室内を嗅ぎ回り、台所で床下を見ながら「伏せ」。捜査員が床下収納の下を探すと、ポリ袋に入った拳銃と、別の袋に入れられていた実弾5発を発見した。
この功績でムーンロケット号は28日に担当の佐藤勲警部補とともに警視総監賞を受賞。警察犬の警視総監賞は、昭和46年に京浜安保共闘による銃砲店襲撃の犯人逮捕などでアルフ号が2回受賞したことを含め今回で5回目で、極めて異例だ。
従来、警察犬は容疑者を追跡する足跡追及や、物証と容疑者を臭いで結びつける臭気選別などが主な任務だった。しかし、都市化が進みアスファルトなど臭いが消えやすい場所が増えた上、街頭に設置された防犯カメラが容疑者追跡の役割を担いつつある。
DNA型鑑定など科学捜査の進歩もあり、警察犬にはさまざまな現場での活躍が求められるようになった。
警視庁は多様化するニーズに応えようと、平成26年から2つ以上の技能を持つハイブリッド犬の育成を開始。現在はムーンロケット号を含め3頭が活躍している。
特定の臭いを覚えさせた後、別の技能習得に向けて訓練。最初に覚えた臭いについても反復訓練を繰り返すことが必要で、実戦レベルに達するには難易度が高い。担当者が犬の特性を見抜き、犬に合った訓練を行うことで早期の育成を目指している。
