アフリカ難民の「玄関口」伊に苦境

 【ブリュッセル八田浩輔】北アフリカから欧州を目指す難民・移民の最大の「玄関口」にあたるイタリアの苦境が続いている。国際移住機関(IOM)によると、今年に入って地中海を密航してイタリアにたどり着いた難民・移民は9万3417人(今月25日現在)で、前年同期比で約5000人増。「持続不可能な状態」だとして欧州連合(EU)や近隣国に支援を求めるが、決定的な解決策は見いだせない。

 IOMによると、今年1月以降に地中海経由で欧州に渡航した11万2018人のうち約85%がイタリアへ入国した。出身国別ではナイジェリア、ギニア、コートジボワールなどが多かった。多くの場合は密航業者の整備不十分なゴムボートなどを使うため海難事故も相次ぎ、密航中の死者・行方不明者は2361人に達する。

 イタリア政府は今月、地中海で救助活動にあたる非政府組織(NGO)に、主要な経由国であるリビアの領海で活動しないことなどを求める行動規範の草案を提示。規範に従わない船はイタリアへの入港を認めない方針を打ち出した。救助活動が密航を助長する側面があるとみた対処策だが、NGO側は「人命を危険にさらす」と強く反発している。

鉄道駅周辺で不法移民の緊急取り締まりを行う警察=イタリア北部ミラノで2017年7月26日、AP © 毎日新聞 鉄道駅周辺で不法移民の緊急取り締まりを行う警察=イタリア北部ミラノで2017年7月26日、AP

 一方、EUは今月17日の外相会議で、密航抑止を目指しリビア向けゴムボートや船外機の輸出規制を決めた。リビア側の水際での対応能力を上げるため、国連が支持する統一政府の海軍や沿岸警備隊の訓練も行っているが、成果が出るには一定の時間がかかる。

 ドイツなど主要国は受け入れ制限に転じ、渡航者の多くはイタリアで滞留しているとみられる。イタリアから他国に滞留者があふれ出す「決壊」を懸念する周辺国の圧力も強まってきた。

 伊メディアによると、難民対策でEUと対立するハンガリー、チェコ、スロバキア、ポーランドの4カ国は今月、密航者の大多数は「経済移民」だとしてイタリアに入港を禁じるよう求める書簡を送付。オーストリアはイタリアとの国境に兵士を配備して国境管理を強化する方針を示唆した。同国は10月には前倒し総選挙を控えており、極右躍進への懸念から強硬な難民対応を軟化させる気配はない。イタリアのジェンティローニ首相は「欧州全体がイタリアと行動することを望む」と連帯を求めるが、打開策は当面望めそうもない。

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