新卒確保へ新感覚のインターンシップ
来春卒業予定の大学生の採用活動が続く中、早くも大学3年生を対象にした企業のインターンシップ(就業体験)が本格化している。学生に有利な「売り手市場」となっており、人手不足に悩む中堅、中小は認知度を高めるため、工夫を凝らした手法で学生にアピールしている。
先月17日、土曜日。都心のレンタルスペースに約20人の学生が私服姿で集まった。4、5人のグループに分かれて与えられたのは「主催者としてパーティーを大成功に導け」とのミッション。「ヒントは会場内にある」という司会者の言葉でゲームがスタートした。
新古車販売を手がけるトータス(神奈川県大和市、従業員146人)のインターン。遊園地などを舞台に謎を解きながらゴールを目指す若者に人気の「脱出ゲーム」をイメージした。暗号が書かれた紙を手渡され、室内に張られたヒントとつき合わせながら次々に解読していく。制限時間は60分だ。
企業による学生争奪戦は厳しさを増している。就職情報大手のマイナビが全国の3000社を対象に先月実施した調査では28.1%が今年度の採用活動で「予定人数の確保が難しい」と答えた。ユニークなインターンの一番の狙いは志望業界を絞っていない学生に社名を覚えてもらうこと。森塚信之・経営企画室長は「一昨年度は採用目標を達成できず、インターンの内容を見直した」と明かす。
学生たちが暗号を全て解読し、パーティーの主役の好みに合ったケーキを用意するという正解にたどり着くと、司会者は「顧客に合った提案をする」という企業理念の説明へとつなげた。
タクシー会社の互助交通(東京都墨田区、従業員190人)は、街中に設けられたポイントを指示に従ってタクシーで回るゲームをインターンに取り入れた。車内では運転手と話し、会社を知ってもらう。
中堅、中小の採用活動を支援し、両社のインターンを企画したカケハシスカイソリューションズ(東京都新宿区、従業員93人)経営企画室の山田佳那さんは「普通の職場体験だけだと志望者を多く確保できず『出会い』の幅も広がらない」と話す。
自社では学生の確保のため、マージャンに強い「雀士」、自作の動画を動画投稿サイトに発表する「ユーチューバー」を選考で優遇する制度を設けている。マージャンはコミュニケーション力や頭の回転の速さ、ユーチューブへの発表の経験は企画力や発信力を測る尺度になるという。
慶応大でマージャン漬けの生活を送った中森慈元さん(27)もマージャン選考で入社した一人だ。大手広告代理店への就職を狙ったが、社員を含めたマージャンで好成績を収めると、数回の面接が免除されると聞いて志願した。「インターンシップや選考の仕方次第で、学生は目を向けてくれるようになる」と話している。【水戸健一】
