イスラム強硬派、ジョコ政権に反発

 【ジャカルタ=吉村英輝】世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシアで、イスラム強硬派が影響力を増している。インドネシアは植民地時代を経て1945年に独立して以降、多様性を認めた社会正義などの原則を国是としてきた。だが、“不寛容”の牙はイスラム教徒が国民の9割を占める同国で、初の「庶民派」として慕われイスラム教徒でもあるジョコ大統領にも向かっている。

 「弾圧的かつ独裁主義だ」。ジャカルタ中心部の独立記念塔広場で28日、ジョコ氏を糾弾する大規模集会が開かれた。金曜礼拝の後に孫を連れ参加したという企業経営者の男性(55)は、「ジョコ政権の“宗教弾圧”はひどくなるばかりだ」と批判した。

 主催者は、イスラム学者会議・国家ファトワ保護運動(GNPF-MUI)。イスラム教を侮辱した宗教冒涜罪で今年5月に禁錮2年の実刑判決が確定したバスキ・ジャカルタ特別州前知事に対し、昨年、大規模抗議デモを立ち上げた組織だ。バスキ氏は、同知事だったジョコ氏を副知事として支えた「盟友」でもある。

 今回の集会の訴えは、デモの中心を担った強硬派「ヒズブアッタハリル・インドネシア」が、非合法化されたことへの抗議だ。大統領が解散命令に署名したが、「法的手続きなどを無視している」と怒りをあらわにしている。

 同派は、80年代から大学生らを中心に支持層を広げた。メンバーは約4万人とされ、カリフ(預言者ムハンマドの後継者)を頂点とするイスラム国家の樹立やイスラム法(シャリア)による統治を主張している。インドネシア法務・人権省は19日、「(インドネシアの統一などを定めた国是の建国5原則)『パンチャシラ』に反している」と認定した。大衆団体の非合法化は、スハルト長期独裁政権が崩壊した98年以降初という。

 2019年の次期大統領選で再選を狙うジョコ氏は、他の主要政党と連立を組み、現状では安定政権を維持している。だが、前回大統領選で敗れた雪辱を誓うグリンドラ党のプラボウォ党首は、民主党のユドヨノ前大統領などと接近し、イスラム政党の取り込みに熱心だ。ジョコ氏には、国の統治と、強硬派への圧力に慎重にならざるを得ないジレンマを突きつけられている。

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