五輪復活も先細り否めない野球の未来

【スポーツ岡目八目】五輪野球もこぢんまり? 先細りが否めない世界野球の今後: 2008年北京五輪以来の復活だが… © 産経新聞 提供 2008年北京五輪以来の復活だが…

 2020年東京五輪で競技が復活する野球・ソフトボールだが、7月に入ってからというもの、出てくる話題は気勢が上がらないものばかり。このままの規模、形式では五輪史上に残るこぢんまりとした競技になりそうだ。これで24年大会以降も存続できるのか。

大物やはり来ず

 東京五輪への一流大リーガーの参加は案の定なさそうだ。MLB(米大リーグ機構)のロブ・マンフレッド・コミッショナーがメジャーのトップ選手を五輪に出場させることに改めて反対の立場を表明したと11日、AP通信が報じた。「一流選手を出場させるためシーズンを中断することなど想像できない」という明確な意思表示だった。

 今年2月には大リーグ選手会幹部が「日程の問題で大リーガーが出場するには相当な努力がいる」とすでに否定的な見解を示していた。マンフレッド・コミッショナーは「われわれにはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)という代案がある」と強調しているが、そのWBCでさえトップ選手がそろっているかといえば印象はほど遠い。五輪のためシーズン真っ盛りの夏に選手を長期間派遣する選択はハナからなかったわけだ。

小規模運営

 五輪野球が最後に行われた08年北京五輪には8チームが出場、優勝した韓国は計9試合を全勝した。総当たりの予選リーグを7試合、上位2チームが進出した準決勝以降で2試合を戦っている。

 それに比べ、東京大会の野球は実にこぢんまりとしている。現段階では日本を含め6カ国・地域が参加。これを3カ国ずつ2つの組に分け、各チーム2試合ずつ、全部で6試合の予選が戦われる。これまで同様、上位2チームによる決勝トーナメントが行われるとすれば、4試合勝てば優勝、競技全体でも計10試合しか行われない計算。参加国の半分がメダルを手にする。

 さすがにこれでは淡泊にすぎると世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のフラッカリ会長は出場6チームによる1次リーグ総当たりとする変更案を国際オリンピック委員会(IOC)に提案。だが、大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は今月14日、予選2組計6試合の方針に「変わりはない」と述べ、受け入れは困難との認識を示した。

「国際大会」の明日

 結論をいうと、五輪での競技形式はこのまま固まってしまう可能性が高い。1万人強にふくれあがったアスリートの数を抑制したいIOCにとって選手数の多い野球・ソフトボールのチーム数を増やせないし、競技日程が延びる総当たり制への変更を認めることは難しいからだ。

 日本ではそれなりに盛り上がるだろうが、国際的な広がりという点からみれば五輪野球の先行きは明るくない。IOCが求める一流選手の参戦は望むべくもなく、日米以外で五輪を開催した場合、野球場を新たに建設する必要が出てくるのもマイナス材料だ。このため米メディアでは「24年大会がロサンゼルスでなくパリなら存続しないのでは」という意見も散見される。

 野球の国際大会にはほかにも、世界ランキング上位12カ国・チームが4年に1度戦うWBSC主催のプレミア12やWBCがあるが、そのうち19年大会を五輪予選にすることでハクをつけようとしているプレミア12は五輪競技自体がこの状態では大会自体いつまで続くのか先行き不透明。

 また、国際大会として定着しつつあるように思えるWBCも、今年3月に行われた第4回大会では米国が初優勝したにもかかわらず主要局で放送はなし。同時期にある全米大学体育協会(NCAA)男子バスケットボール選手権の陰に隠れ認知度の低さは相変わらずで、これからも開催のたびに米メディアから「終了の可能性」を取り沙汰されるだろう。東京五輪を契機に、よりワールドワイドな展開を期待していた野球界だが、今のままでは絵に描いた餅になりかねない。

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