香港、世界最長の海上橋が年内完成へ
【香港・福岡静哉】英国から中国に返還されて7月1日で20年を迎える香港で、中国の広東省珠海市やマカオと結ぶ巨大海上橋「港珠澳(こうじゅおう)大橋」が年内に完成する見通しとなっている。橋は経済の融合を加速させ、本土との一体化の象徴的存在だ。ただ、コンクリート強度偽装事件が起き、安全性への疑念も出ている。
中国国営新華社通信によると、橋の総延長は海底トンネル(約6.7キロ)を含み約55キロで世界最長の海上橋。香港西部の離島、ランタオ島から延び、Y字形に分かれて珠海、マカオに至る。香港側から望むと、橋の形は既にできあがり、トンネル入り口付近では多くのクレーンタワーが作業を進めていた。
1980年代に構想され、2009年着工。総工費は1000億人民元(1兆6300億円)超。陸路で約4時間かかる珠海-香港間が橋で約45分に短縮される。
さらに、中国広東省・広州市と香港を結ぶ高速鉄道も18年に完成する予定だ。中国政府は広東省9市と香港、マカオの経済融合を加速させる構想を推進しており、橋と高速鉄道はそのけん引役を担う。香港メディアによると、習近平国家主席は返還20年に合わせた29日からの香港訪問で橋を視察する。本土と香港の一体化を強く印象づける思惑がある。
ただ、香港当局は5月、同橋のコンクリートを検査した請負業者の21人を検査結果改ざんの疑いで逮捕した。香港市民の間では橋の安全性への懸念も広がっている。
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