ドル、対ユーロで約1年ぶりの安値

[ニューヨーク 28日 ロイター] - 28日のニューヨーク外為市場では、ドルが対ユーロで約1年ぶりの安値をつけた。イングランド銀行(英中央銀行、BOE)のカーニー総裁の利上げに関する発言を受け、欧州の金融政策が引き締め方向に転じるとの見方が強まったことが背景。

米議会上院が27日、医療保険制度改革(オバマケア)代替法案の採決延期を決めたことも、引き続きドルの押し下げ要因となった。

ユーロ/ドル(EUR=)は一時0.5%上昇し、1年ぶり高値となる1.1390ドルをつけた。27日にも1.4%上昇していた。

BOEのカーニー総裁は、ポルトガルで開かれた欧州中央銀行(ECB)主催の会議で、英国経済がフル稼働の状態に近づくにつれ、BOEには利上げが必要になる可能性が高いと指摘。「向こう数カ月以内に」BOEは利上げを議論することになると述べた。

前日の27日には、ECBのドラギ総裁が緩和政策の修正の可能性を示唆し、市場ではECBが早ければ9月にも緩和縮小に動くとの観測が強まっている。

ドラギ総裁に近い複数の関係筋は28日、総裁の発言の意図はインフレ動向が弱めの局面を許容するシグナルを発信することであり、すぐさま引き締め政策に転じるわけではないと語った。しかし、アナリストらによると、総裁の発言は引き続きユーロの上昇要因になっているという。

クレディ・スイスのFXストラテジスト、アルビス・マリノ氏は「欧州の金融政策の見通しが、若干タカ派の方向へと傾いてきていることが、市場ではやや懸念されている」と指摘した。

ドル、対ユーロで1年ぶり安値 英中銀総裁の利上げ発言で=NY市場 © REUTERS ドル、対ユーロで1年ぶり安値 英中銀総裁の利上げ発言で=NY市場

ドル/円(JPY=)は、27日に約1カ月ぶりの高値となる112.46円をつけたが、この日はやや値下がりした。

主要6通貨に対するドル指数(.DXY)は一時0.4%安となり、約7カ月ぶりの安値水準である95.967をつけた。

オバマケア代替法案の採決延期発表は、トランプ米大統領が打ち出しているインフラ投資や減税といった成長を後押しする政策の実現性に対する市場の懐疑的な見方を強め、ドル売りにつながっている。

マーク・インベストメンツの最高投資責任者(CIO)、アクセル・マーク氏は「トランプ・トレードは後退している。米国で本格的な改革が行われることはない」と話した。

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