自宅Wi-Fiの不安をなくす「AiMesh」

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 スマホやPCを数年ごとに買い換えていく人は多いが、ついついずっと使い続けてしまうのがWi-Fiルーターだ。現在主流のWi-Fi規格である“IEEE 802.11ac”は、通信の高速化が期待され、規格が正式に策定されていないドラフト期間から対応ルーターが販売されていた。もしその時にルーターを購入していたとしても、すでに5年以上経っていることになる。

 11ac対応のルーターは、規格自体もブラッシュアップされており、送受信アンテナ数を増やして分散通信するMIMO技術や、帯域幅の増加により徐々に高速化している。さらにデバイスの場所へ効率よく電波を届けるビームフォーミング技術や、複数デバイスと同時通信するMU-MIMO技術の登場など、年々新機能を搭載したルーターが登場。少しずつ進化しているのだ。

↑11acドラフト時代に発売されたASUSのWi-Fiルーター「RT-AC68U」。 © ASCII.JP 提供 ↑11acドラフト時代に発売されたASUSのWi-Fiルーター「RT-AC68U」。

 まだまだ伸びしろのある11acだが、最近は無線通信そのものを取り巻くトレンドも変化しつつある。ここ数年の大きな変化のひとつが、ネットワークに接続する製品の増加だ。近年はタブレットやゲーム機、プリンターのほか、スマートスピーカーやIoTデバイスなど、さまざまな製品がWi-Fiを利用するようになってきた。ルーター自体の性能はもちろんのこと、そういったたくさんのデバイスをどうさばき、家の隅々までWi-Fiが届く環境を構築できるかが、いまWi-Fiルーターを導入するときの重要なポイントと言える。

 そこで注目されているのが、“メッシュネットワーク”と呼ばれる考え方だ。11acで利用される5GHz帯は、2.4GHz帯に比べて遠くまでは届きにくく、壁などがあると減衰率も高い。これを克服するために、より電波の強い製品が次々と出てきているが、当然ながらそれでも限界はある。むしろ2個以上のルーターを相互につなげて網目状のネットワーク環境を構築し、データをルーティングさせることで、離れた場所でも安定した速度で通信するほうが効率的というわけだ。メッシュネットワークの利用には対応製品が必要だが、ここ一年ほどで各社から次々に対応製品がリリースされている。

↑ASUSの「RT-AC86U」。実売価格は2万2000円前後。最新製品で“AiMesh”にも対応するルーターだ © ASCII.JP 提供 ↑ASUSの「RT-AC86U」。実売価格は2万2000円前後。最新製品で“AiMesh”にも対応するルーターだ

 今回紹介するASUSの「RT-AC86U」は、ASUSが今年に入ってから発表した独自のメッシュネットワーク構築技術“AiMesh”に対応する製品の1つだ。AiMeshを利用するメリットは、元々の同社ルーター製品がパワフルなのはもちろん、よくある「対応製品の複数買い」「セット商品の購入」が必ずしも必要ではなく、場合によっては既存のルーターでもファームウェアのアップデートで対応できること。すでに持っているルーターが対応していた場合、ルーターを買い替えても古いルーターを有効活用できる。

 現在は「RT-AC86U」を含め同社製ルーターの4製品がAiMeshに対応しているが、特に人気の高かった「RT-AC68U」も対応しているのがポイント。すでに利用している人なら、新規に「RT-AC86U」だけ購入し、今まで使ってきた「RT-AC68U」をAiMeshの1台として利用すれば、余計な出費もかからずに効率の良いWi-Fi環境を構築できる。この記事では、そんなAiMeshの構築方法や気になる通信速度などをチェックしていこう。

↑今回は「RT-AC86U」(右)をメインルーター、「RT-AC68U」(左)をノード(中継地点)として利用し、“AiMesh”環境を構築する © ASCII.JP 提供 ↑今回は「RT-AC86U」(右)をメインルーター、「RT-AC68U」(左)をノード(中継地点)として利用し、“AiMesh”環境を構築する

自宅Wi-Fi環境の死角ナシ!!

 AiMeshを構築する際は、必ず手元の対応製品でいちばん性能の良い機種をメインルーターとして設定しよう。この記事では前ページで述べたとおりルーター買い替え後の状況を想定し、最新の「RT-AC86U」をメインルーター、「RT-AC68U」をノード(中継地点)として設定していく。

↑RT-AC68Uの設定画面でファームウェアのアップデート。ネットにつながっている段階で作業をしよう © ASCII.JP 提供 ↑RT-AC68Uの設定画面でファームウェアのアップデート。ネットにつながっている段階で作業をしよう

 肝心の構築方法だが、今回の「RT-AC68U」ようにノード側が古いルーターの場合、そのままではAiMesh対応のファームウェアが適用されていないため、あらかじめ設定画面からファームウェアの更新を行っておく必要がある。そのうえで、背面にあるリセットボタンを長押ししていったん工場出荷時の状態に戻しておこう。ノードのファームウェアアップデートが完了したら、メインルーターでインターネット接続設定を完了させれば、下準備は完了だ。

 続いてメッシュネットワーク構築のため、電源を入れた状態のノードをメインルーターの近くに置いておく(LANケーブルなどの接続は必要なし)。Wi-Fiが利用できる状態になっているのをLEDで確認したら、メインルーターの設定画面に入り、AiMeshのアイコンをクリックしよう。その後、右側に表示される「Search」ボタンをクリックすると、AiMeshに対応したルーター(ノード)が表示されるのでそれをクリック。あとは「適用」を押せば、AiMeshの構成が開始される。しばらくして設定が完了したら、あとはノード側のルーターを設置したい場所へ持っていこう。

↑ブラウザーから設定画面にアクセスして、AiMeshアイコンをクリック。右側に現われる「Search」をクリックしてノードとなるルーターを見つけだし登録する。 © ASCII.JP 提供 ↑ブラウザーから設定画面にアクセスして、AiMeshアイコンをクリック。右側に現われる「Search」をクリックしてノードとなるルーターを見つけだし登録する。

 ちなみに以上の方法はPCで設定画面にアクセスした場合の手順で、Androidスマートフォン/iPhone用のアプリ「ASUS Router」を使っての初期設定も可能だ。こちらで設定を行なえば、設置する際にメインルーターとの間の電波強度を確認できるため、Wi-Fiの範囲を広げるような位置を探しやすくオススメ。アプリを起動するとネットワーク接続済みのルーターが自動的に検索され、ログインすると各種情報や設定が行なえる。AiMeshを構築する際は、ホーム画面の右上にある「+」をタップし、「AiMeshノードを追加します」を選択。そのまま「AiMeshを探す」画面になるので、そこで「サーチ」を実行すれば、ノード側のルーターを見つけられるはずだ。あとはさきほどと同様、見つかったノードを選択して、構築を実行するだけ。

↑「ASUS Router」アプリ。ルーターを自動的に検索してアクセスできる。最初は設定画面へのログインが必要

↑「ASUS Router」アプリ。ルーターを自動的に検索してアクセスできる。最初は設定画面へのログインが必要 © ASCII.JP 提供

 ちなみに「RT-AC86U」をメインルーターとして初期設定するときは、2.4GHz帯と5GHz帯で同じSSIDを設定することで、デバイス側での使い分けが不要となり、ルーター任せで最適な通信が行なえるようになる。もちろんAiMeshの利用中であれば、メインルーターからノードへ通信が切り替わったあとも、2.4GHz帯と5GHz帯のどちらか最適なほうが選択される。このため、家の中を移動しながら利用しても、常に最適な電波環境で使い続けられるのだ。

↑初期設定時にSSIDとパスワードを指定する。2.4GHz帯と5GHz帯で別々のSSIDにすることも可能 © ASCII.JP 提供 ↑初期設定時にSSIDとパスワードを指定する。2.4GHz帯と5GHz帯で別々のSSIDにすることも可能

 実際に筆者の自宅(2階建て一軒家)に設置して利用してみた。まずは、メインルーターを2階に、ノードを1階に設置して、ベンチマークアプリ「iperf3」を使ってスループットを計測。「RT-AC86U」はハイエンドルーターだけあり、もともとの電波強度が強いので、AiMeshにしなくてもそこそこの数値は出るものの、AiMeshにしたほうがより速度が出ることがわかる。

↑ベンチマークアプリ「iperf3」でスループットを計測。メインルーター「RT-AC86U」のLANポートに有線接続したVAIO S11(CPU:Core i5-7200U、メモリー:16GB)とiPhone XをWi-Fiで接続している。メインルーターは2階に、ノードとなる「RT-AC68U」は1階のメインルーター直下あたりに設置。計測場所はメインルーターから約13m、ノードから約9m離れた部屋としている © ASCII.JP 提供 ↑ベンチマークアプリ「iperf3」でスループットを計測。メインルーター「RT-AC86U」のLANポートに有線接続したVAIO S11(CPU:Core i5-7200U、メモリー:16GB)とiPhone XをWi-Fiで接続している。メインルーターは2階に、ノードとなる「RT-AC68U」は1階のメインルーター直下あたりに設置。計測場所はメインルーターから約13m、ノードから約9m離れた部屋としている

 「WiFi Analyzer」アプリで電波強度も確認したが、やはり「RT-AC86U」の電波が強いため、ノードの近くでも瞬時に通信が切り替わることはなく、少し離れてメインルーターの電波強度が落ちてきたところでネットへアクセスするとノードの方へ切り替わった。2階建て住宅でもこれだけの強度を保てれば、この2台の組み合わせでほとんどの状況はカバーできるはずだ。なお、メインルーターとノード間を有線LANケーブルで接続し、AiMeshを利用することも可能。このため、すでに有線LANが家中に引き回されているならルーター同士を有線接続しておけば、さらに快適な環境を構築できるだろう。

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 実際に使ってみると、普通に使っていてもWi-Fiを意識する必要がないので、とてもラク。2階で使っても1階で使ってもデバイスによってSSIDを変える必要が無いのも非常に便利だ。AiMeshを設置する場所も、スマホアプリで確認しながら考えられるので、それほど迷うこともない。ノードの数としては、目安は1フロアー1つといったところだろうか。もちろん、使っていて電波がちょっと弱いなぁと感じたら、その近くにさらにノードを追加すればより快適になるだろう。こういった拡張性の高さも、メッシュネットワークの大きなメリットと言える。

 AiMeshに対応した製品は、今回使ってみた2製品のほかに、最強スペックの「ROG Rapture GT-AC5300」と上位モデルの「RT-AC88U」を加えた計4製品。各製品の特徴を紹介しよう。

RT-AC86U

↑ゲーミングモデルで採用されている赤色のアクセントが目を引くボディー © ASCII.JP 提供 ↑ゲーミングモデルで採用されている赤色のアクセントが目を引くボディー

 今回メインルーターとした「RT-AC86U」は、「RT-AC68U」と同様の縦型ボディーで、外付けアンテナは3本、内蔵アンテナを1本備える。2.4GHz帯は3×3、5GHz帯は4×4アンテナで、5GHz帯の11acでは最大速度2167Mbps(理論値)、2.4GHz帯の11nでは750Mbps(どちらもNitroQAM)。CPUにBroadcom 4906(1.8GHz、デュアルコア)を採用し、512MBのメモリーを搭載するため、複数のデバイスが同時接続しても、処理がもたつかないパワフルさが特徴。メインルーターとしては申し分のない性能だ。

↑外付けアンテナは3本だが、もう1本のアンテナを本体に内蔵している。アンテナは角度調整が可能だ © ASCII.JP 提供 ↑外付けアンテナは3本だが、もう1本のアンテナを本体に内蔵している。アンテナは角度調整が可能だ ↑ブーストモードは初期設定ではオフになっている © ASCII.JP 提供 ↑ブーストモードは初期設定ではオフになっている

 ゲーミング用ルーターとしての機能も備えており、通信優先度を指定する「Adaptive QoS」機能や、おなじみの「WTFast」機能を搭載。パフォーマンスを極力落とさない工夫がなされている。

 未だ対応機器は少ないが、MU-MIMOにも対応し、対応デバイスなら複数台が接続しても同時に通信が行なえる。また、電波強度を高める「RangeBoost」機能も搭載。より広い範囲での通信を可能にしているという。

↑家族を登録しデバイスを割り当てて、アクセス制限を掛けられる

↑家族を登録しデバイスを割り当てて、アクセス制限を掛けられる © ASCII.JP 提供

 さらに、トレンドマイクロの「Trend Micro Smart Home Network」技術を試用したセキュリティー機能「AiProtection」を搭載。外部からの攻撃やウイルスなどをブロック。ウイルスに感染したデバイスの検出も可能で、その際は外部へ送るデータをブロックすることで、情報漏えいも防げる。また、家族を登録して利用制限を設けるサイトブロック機能も用意されている。

↑LANポートは4つ。USBにはHDDなどを接続して簡易NASとして利用できる © ASCII.JP 提供 ↑LANポートは4つ。USBにはHDDなどを接続して簡易NASとして利用できる

 LANポートは4つ備わっていて、USB2.0が1つ、USB3.1(Gen 1)が1つあるので、プリンターをつなげてプリンターサーバーとして利用したり、外付けHDDを接続すればファイル共有機能なども利用できる。実売価格は2万2000円前後。

ROG Rapture GT-AC5300

↑アンテナ8本がそそり立つ、かなりゴツい見た目の「ROG Rapture GT-AC5300」。実売価格4万5000円前後 © ASCII.JP 提供 ↑アンテナ8本がそそり立つ、かなりゴツい見た目の「ROG Rapture GT-AC5300」。実売価格4万5000円前後

 トライバンドに対応したゲーミングルーターとして、11acの最大速度理論値が2167Mbps、2.4GHz帯の11nで1000Mbps(どちらもNitroQAM)。本体から伸びる外付けアンテナは全部で8本あり、2.4GHzと5GHzの2つのバンドそれぞれ4×4アンテナを採用。CPUはBroadcom 4908(1.8GHz、クアッドコア)を搭載し、メモリーは1GB。各種設定や詳細情報は、ゲーミングでおなじみのROGインターフェースを採用し、グラフィカルでわかりやすいUIとなっている。

 8基のギガビットLANポートを搭載し、2基のLANポートを1つにまとめて2Gbpsにするリンクアグリゲーションにも対応。USB3.0ポートは2つあり、こちらもプリンターや外付けHDDの接続が可能だ。トレンドマイクロのセキュリティー技術を採用した「Game IPS」や、最短経路で通信する「WTFast」など、最高レベルのゲーミング環境を提供するハイエンドルーターといえる。実売価格は4万5000円前後。

RT-AC88U

↑5GHzも2.4GHzも4×4アンテナの「RT-AC88U」。実売価格2万6000円前後 © ASCII.JP 提供 ↑5GHzも2.4GHzも4×4アンテナの「RT-AC88U」。実売価格2万6000円前後

 「RT-AC86U」と同じデュアルバンドゲーミングルーター。外付けアンテナを4本搭載し、2.4GHz帯、5GHz帯どちらも4×4アンテナを採用。11acの最大速度理論値は2167Mbps、2.4GHz帯の11nで1000Mbps(どちらもNitroQAM)。通信速度はGT-AC5300とスペック上は同じだが、CPUがBroadcom BCM4709C0(1.4GHz、デュアルコア)、メモリーは512MBと若干性能が抑えられている。とはいえ、ギガビットLANポートを8基備え、2つをまとめて通信するリンクアグリケーションにも対応。トレンドマイクロのセキュリティーや「WTfast」にも対応しており、メインルーターとして導入するといいだろう。実売価格は2万6000円前後。

↑LANポートが8基と余裕の仕様。リンクアグリゲーションにも対応 © ASCII.JP 提供 ↑LANポートが8基と余裕の仕様。リンクアグリゲーションにも対応

RT-AC68U

↑11acルーターのレジェンド「RT-AC68U」。最新技術は搭載されていないが、十分速いのでノードとして利用するのはあり © ASCII.JP 提供 ↑11acルーターのレジェンド「RT-AC68U」。最新技術は搭載されていないが、十分速いのでノードとして利用するのはあり

 2014年に登場した、当時は高速ルーターと騒がれたデュアルバンドルーター。後継機の「RT-AC86U」と外観は似ているが、アンテナは外付け3本のみで、11acの最大速度理論値は1300Mbps、11nが600Mbps。CPUはCortex-A9(800MHz、デュアルコア)を採用しメモリーは256MB。通信優先度を高める「Adaptive QoS」やトレンドマイクロの技術を使ったセキュリティー機能は搭載するが、「MU-MIMO」や「WTfast」には対応していない。当時購入して使っていた人は、新規に上位モデルを購入し、この製品をノードとして使うのがオススメだ。

↑背面は「RT-AC86U」とほぼ変わらない © ASCII.JP 提供 ↑背面は「RT-AC86U」とほぼ変わらない

家じゅう充実したネットワークを使いたいなら超オススメ!

 以上が、現時点でファームウェアのアップデートでAiMeshに対応した製品だ。今回は昨年11月に発売された「RT-AC86U」をメインルーターとして紹介したが、さらなる充実した環境を目指すなら、最上位モデルの「ROG Rapture GT-AC5300」をメインルーターとして備え付けたいところ。というのも、AiMesh対応ルーターのなかで唯一トリプルバンドに対応していて、ノードとの通信とデバイスとの通信で、同時に5GHz帯を利用できるからだ。ただし価格を考えると、「RT-AC86U」が実売価格2万2000円前後で、上位モデルよりは安く、機能的にも十分揃っている。ルーターを複数利用してAiMeshのシステムを組み、家中どこでも快適なネット環境を構築しよう。

提供:ASUS

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