仕上がり上々の阪神「唯一の不安」は
© 産経新聞 提供 ブルペンで投球する阪神のランディ・メッセンジャー=沖縄県宜野座村、かりゆしホテルズボールパーク宜野座(水島啓輔撮影)
メッセンジャー不安説の解消こそオープン戦の最重要案件です。阪神は春季キャンプを打ち上げオープン戦に突入。金本知憲監督(49)はキャンプ総括で「これまでのチームでは一番、今が強いと思います」と手応えを表明しました。しかし、チーム内には今季で来日9年目のシーズンを迎えるランディ・メッセンジャー投手(36)への不安説が漂っているのです。キャンプ終盤の右肩の張り、ブルペンでの内容…。4年連続5度目の開幕投手が内定している右腕にもし? があればV候補という前評判も吹っ飛ぶ事態になります。
■当コラム何度も指摘の通り、投も打も「優勝に最接近は阪神」だが
指揮官の言葉が今のタイガースを最も表しているでしょう。2月28日の春季キャンプ打ち上げ。金本監督は1カ月に及ぶキャンプを総括してこう語りました。
「僕は優勝、優勝とあまり軽く言うものではないと思っていますが、本当に、これまでのチームでは一番、今が強いと思います。われわれ監督、コーチがしっかりと選手を見てやりながら優勝に向かってやっていきます」
監督就任後3度目の春季キャンプでした。過去2年と同様に「生え抜きの若手育成」を大きなバックボーンとして臨み、日々激しく厳しい練習に明け暮れたわけです。その結果として金本監督は昨年は「80点」と多少の上げ膳で語った採点を今年は「90〜95点」と“控えめ”に付けたのです。
前回のこのコラムでも書きました。「阪神は優勝に最も近い」と-。あくまでも他球団との比較論で言うと阪神は絶対にAクラスの戦力です。優勝を狙える戦力です。全てのセ・リーグ球団のキャンプ地に足を運んで取材した結論ですね。
打線は新外国人ロサリオが前評判通りの打撃を披露しました。キャンプ終盤の紅白戦では右腕のサイドハンド桑原とも対戦しました。日本で活躍できるかどうかの試金石になる対戦でした。外角低め、外に逃げるスライダーにどう対応するか。3年前まで在籍していたゴメスはバットのヘッドが止まらず、結局は波の大きい打撃でした。しかし、ロサリオはじっくりと球を見極めて四球を選んだのです。左翼方向への迫力満点の放物線だけではなく、右方向にも打てる柔軟性。現時点で4番は当確でしょう。
さらに投手陣も質も量も豊富です。特にリリーフ陣は他球団に比べても層が厚い。ドリス、マテオに藤川球児、高橋聡、桑原。才木やルーキーの馬場や高橋遥も加わってくればリーグ屈指でしょう。指揮官が「今が一番強い」と言い切れるのも理解できますね。
しかし、前評判が高いからこそ、チーム内に漂う不安説は一刻も早く解消しなければなりませんね。前評判自体が根底から覆る事態も想定されるからです。それほどの重要案件、心配の種とは5度目、4年連続の開幕投手が内定しているメッセンジャーの状態です。
キャンプ終盤、メッセは右肩の張りを訴え26日からノースローでした。打ち上げの28日に最長25メートルの距離でキャッチボールを再開しました。3月3日に予定されていたオープン戦(ソフトバンク戦=ヤフオク)登板も延期し、現時点では9日か10日の中日戦(甲子園)に登板する予定になっています。
メッセは「(状態は)グッドだ。良いキャンプを過ごせたよ。まだ(開幕まで)1カ月あるのだから、心配はしていないよ」と余裕シャクシャクです。金本監督も「単なる軽い炎症くらい」と意に介さない反応ですが、チーム内に流れる不安説の核心は今回の右肩の張りのことだけではありません。だから心配なのですね。
メッセは21日の韓国KIA戦に先発登板。1回を1安打無失点で試運転を終えました。その時の直球のMAXは140キロ台前半でした。普通に150キロ超を投げる右腕とすれば球速に物足りなさを感じたのです。
「普通に150キロの真っ直ぐを投げる投手なのにあまりスピードが出ていなかった。わずか1回だし、実戦初登板という割り引かなければならない材料もあるが、それでも球威はなかったと感じた」とはチーム関係者の言葉。そして、実は球威不足の声はキャンプ序盤のブルペンからチーム内で聞こえていたのです。
「ブルペンでメッセンジャーのボールを見ていて“大丈夫かぁ…”と思ったんだ。いつもの年に比べて球威がないような気がした。他の投手と並んで投げるから余計に差が感じられた。まだ調整途中なので不調とは言い切れないけど、もしメッセンジャーに何かあれば大変だよ」とは阪神OBの声です。
気になる点といえば、昨季からの流れです。メッセは昨年8月10日の巨人戦(東京D)で阿倍の打球を受けて右足腓骨(ひこつ)を骨折しました。米国で手術を受けた後に日本に帰ってきてリハビリ。9月27日のウエスタン・リーグ広島戦(甲子園)から実戦に復帰し、10月10日のシーズン最終戦・中日戦(甲子園)で先発。一軍公式戦2カ月ぶりの先発登板を果たすと4回を投げ終えたところでリーグの最終規定投球回数に到達しました。さらに10月13日、CSのファーストステージ第1戦、DeNA戦(甲子園)に先発。先の中日戦からわずか中3日で投げ、6回無失点で勝ち投手になったのです。 この流れがどうして不安説に結びつくのか。つまりは昨季の終盤に無理をした体調が十分に回復せず、ブルペンなどでの球威不足につながっているのでは…という指摘なのです。加えて今年の8月13日には37歳を迎えます。いくら節制しているとはいえ、年齢的な問題も出てくる心配はありますね。
メッセンジャーは今季が終了すればFAの権利を得られ、来季から外国人枠を外れます。阪神とすれば新たに外国人を補充できる、という意味でも大きな存在となりますね。そんな先の話はともかく、もしチーム内に流れる不安説が的中すれば大変な事態です。開幕投手を務め、先発ローテーションの軸でまわるはずの右腕が一転、計算できなくなる事態はどうしても避けなければなりません。阪神に対する戦前の評価も根底から覆ってしまうでしょう。
不安説を一掃する唯一無二の手段はメッセンジャーの投球しかありません。9日にも投げるとすれば、そのマウンドでこのコラムの内容を失笑に伏してもらいたいものですね。なにをケチつけとんのや!! と投球で黙らせてもらいたいものですね。チーム内にある死角? 減点要素を早く打ち消してくれればさらに金本阪神の株は急上昇するでしょう。次回登板の内容はそれほどシーズンにもたらす影響が大きいでしょうね。 =続く(特別記者・植村徹也、毎週日曜に掲載)
植村徹也(うえむら・てつや)
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1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の月〜金曜日午後9時からの「」、土曜日午後6時半からの「」に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。
