2畳に施錠閉じ込め 障害者施設で虐待
入所者への虐待が相次ぎ、昨年3月と11月に職員2人が逮捕された兵庫県加古川市の障害者支援施設「ハピネスさつま」で、同年9月にも入所者がいたキッチンを職員が施錠する閉じ込め事案があり、同施設を運営する社会福祉法人「博由社(はくゆうしゃ)」(同県明石市)が兵庫県や加古川市に虐待として報告していたことが25日、関係者への取材で分かった。入所者の閉じ込めが常態化しているとして、2013年にも県が博由社に改善を求め勧告していた。(広岡磨璃)
県は昨年12月までに、同一法人には異例となる計3回の勧告を出した。虐待の多発を踏まえ、理事の責任の明確化と体制の刷新を求めている。
関係者や県、市によると、昨年9月中旬、同施設で、知的障害がある女性入所者の落ち着きがなくなったため、女性職員が女性棟にある広さ2畳程度のキッチンに誘導後、ドアを閉め、外側から鍵を使って施錠。約5分間、施錠したままだった。別の職員が解錠し、入所者はしばらくして出てきたという。キッチンのドアは内側からつまみで開錠でき、施錠した職員は入所者が開錠できると思っていたと説明したという。法人は県と市に虐待として報告。県は文書で指導した。
同施設では12年から1年余り、入所者がいる居室などを施錠する虐待が常態化し、県が勧告。昨年3月には入所者への暴行容疑で職員が、同11月には同じ入所者への傷害容疑で別の職員がそれぞれ逮捕され、県は再び勧告を出した。同12月の3度目の勧告では、体制の刷新を要求。法人に今月末までに改善報告書の提出を求めている。
法人は取材に対し、「詳しくお答えできる状況にない」としている。
博由社は1982年設立。加古川、明石などで障害者や介護の施設計7カ所を運営し、職員約400人。ハピネスさつまは2005年に開所し、定員55人で通所サービスも手掛けている。