北朝鮮のNY攻撃能力、懐疑的な見方

 【ワシントン時事】英国際戦略研究所(IISS)のミサイル専門家マイケル・エレマン氏は29日、北朝鮮が同日発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)について、米本土を攻撃するには核弾頭の小型化が不可欠だと分析した。その上で、北朝鮮が米西海岸を弾道ミサイルで攻撃する能力を持つには1年程度かかると結論付けた。 

エレマン氏は米ジョンズ・ホプキンス大高等国際問題研究大学院の米韓研究所のホームページに掲載された分析記事の中で、北朝鮮が発射したICBM「火星15」は、7月に2回発射した同「火星14」の2段目ブースターのエンジンを2基から4基に増やしたものだったと指摘。通常軌道で発射した場合の最大飛距離が約1万3000キロに伸びたのはこのためだったと分析した。 

ただ、いずれの発射実験でも弾頭部分の重さは実際の核弾頭を搭載した場合よりはるかに軽い約150キロだったとみられる。エレマン氏は、弾頭重量がより一般的な約500キロであれば、射程距離は8500キロにまで落ちると主張。東海岸のニューヨークを攻撃するには核弾頭を350キロ以下にまで小型化する必要があると述べ、「米本土全域を攻撃できる」とする北朝鮮の主張に懐疑的な見方を示した。 

エレマン氏は、北朝鮮が大気圏再突入の際に核弾頭を保護する「再突入体」の開発に成功したかどうかは分からないとしつつも、「北朝鮮がICBMの性能を確立するにはさらに多くの実験が必要で、米本土攻撃能力を持つICBM完成にはまだ1年かかるとの当初の予想に変化はない」と語った。 

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