ハリルが国内組で探すラストピース
© photograph by J.LEAGUE PHOTOS 中村俊輔に憧れて練習してきたセットプレーも初瀬亮の持ち味。現代表に欠けたプレースキッカー枠になれるか。
NumberWeb担当デスク(以下、デスク)「国内組で臨むEAFF E-1サッカー選手権のメンバーが発表されたけど、クラブワールドカップに出場する浦和の選手を呼べないためか、ハリルホジッチ監督はJリーグの上位チームからごっそり呼んでくる形になったね」
二宮「1位鹿島6人、2位川崎5人、3位セレッソ大阪2人、4位柏2人と23人中15人が1~4位チームから選ばれました。低迷するガンバ大阪から6人も入っていますが、サイドバックの初瀬以外はハリルジャパンで招集されている、または招集経験のあるメンバー。全体的には調子のいいチームの、調子のいい選手を呼んできたなという感想です」
デスク「まず鹿島から話をしていこうか。西、植田、昌子、山本と最終ラインが全員入ったことは面白い」
二宮「ここまで31失点は磐田に続いて2番目に少ない数字。堅い守備力は言うまでもありませんが、西と山本は得点に絡めるサイドバック。また山本は空中戦に滅法強いという特長があります。成熟度の高い“鹿島ライン”をそのまま使うという手もあるかもしれません」
金崎夢生はフィニッシュに課題があるものの。
デスク「ボランチには若い三竿が入ったね」
二宮「大岩監督が起用してきた急成長している選手です。球際の強さやエネルギッシュな運動量を含め、しつこくて精力的な守備はハリル好みと言っていいでしょう。それに縦パスから味方のゴールもいくつか演出しています。小笠原満男、永木亮太を押さえて鹿島のレギュラーを張っているわけですから、遅かれ早かれ代表に入ってきてもおかしくはなかった。181cmと上背もあります」
デスク「井手口と同じ21歳。伸び幅を考えても、パフォーマンスが良ければハリルホジッチ監督のハートをつかむ可能性があるかもね。それと鹿島と言えば、昨年のリーグ戦で交代時に石井監督(当時)との握手を拒否して詰め寄った態度が『受け入れ難い』と招集を見送ったことのある金崎を1年半ぶりに復帰させた」
二宮「ハリルホジッチ監督は会見で『監督と衝突があったから呼んでこなかったわけではない』と語っています。1トップ候補としては現在、国内組では杉本が一番手で、興梠、小林悠の名前も挙げている。金崎の課題として『フィニッシュのクオリティー』を指摘していますが、前線での激しいファイトぶり、アグレッシブぶりは『杉本、興梠、小林も真似てほしい』と絶賛しています。東アジア勢との戦いは、激しい肉弾戦も予想されますから先発のチャンスも十分にあると思います」
ボランチに毛色の違う大島が入った意味は?
デスク「5人選ばれたのが2位の川崎勢。阿部が初招集、大島、小林、谷口が復帰した」
二宮「注目したいのは大島です。ボランチにはここ最近、デュエルに長け、ボール奪取能力に長けたタイプが重点的に呼ばれてきただけに、攻撃の組み立てやリズムを変えられる彼が、縦に速いサッカーを志向するこのチームでどんなかじ取りをしていくか。日本が攻撃のバリエーションを増やしていくためにも、大島には存在感を発揮してもらいたいですね」
デスク「守備のミッションもこなしているし、随分と逞しくなった印象がある」
二宮「広い視野、アクセントをつけたパス、前に出ていくタイミングもいい。スマートなプレーが印象的ですが、当たりにも強いし、負けん気も強い。フロンターレでは中心選手としての自覚を持って、泥臭く働いています。4年前、E-1選手権の前身の東アジアカップでロンドン五輪世代の大迫、山口、齋藤らが代表で台頭してきたように、リオ五輪でチームを引っ張った大島にはこの千載一遇のチャンスをつかめるかどうか注目したいです」
東京五輪世代の初瀬は大抜擢。
デスク「リオ五輪世代と言えば、ほかに鹿島の植田、柏の中村、ガンバ大阪の三浦。3人は継続的に呼ばれてきたなかで、まだ出場はゼロ。さすがに今回はプレーを見たい。そしてもう1人……」
二宮「柏のスピードスター伊東ですね。26日の鹿島戦でも右サイドを突破して、チャンスをつくっていました。クロスもいい。チームの底上げの意味でも、リオ世代の突き上げは絶対に必要だと思います」
デスク「彼らはもう若手の括りとは言えない。下の世代には井手口、三竿がいる。それと東京五輪世代の初瀬が入ったことはちょっとびっくりだったね」
二宮「大抜擢だと思います。ガンバでは10月以降、先発に定着してきて、セットプレーのキッカーも任されています。ハリルホジッチ監督は『右足も左足も使えて、いいキックがある。彼のレベルがどうかを見たい』とまずは手元に置いて、じっくり見てみたいということではないでしょうか」
今大会がラストチャンスになるメンバーも多い。
デスク「先ほど話に出たロンドン五輪世代からは、その中心の清武がやっと戻ってきた」
二宮「ようやくコンディションを戻しつつあります。何でもこなせるその能力は誰もが認めるところだし、清武にとって代表は絶対に戻らなきゃいけない場所」
デスク「23人のメンバー構成を見て、何かほかに感じたことってある?」
二宮「やはり監督はユーティリティータイプを探していますね」
デスク「ほう」
二宮「たとえば今野、谷口、三竿はセンターバック、ボランチ、サイドバックとさまざまなポジションをこなせます。西は左右のサイドのほかにボランチもやる。初瀬についても監督は『中盤でもプレーできる選手』と語っていて、本大会のメンバー23人を考えると、3つぐらいポジションをこなせる選手が欲しいのかなという感じを受けましたね」
デスク「さて、'15年8月に行なわれた前回大会は最下位だった。9日に北朝鮮戦、12日に中国戦、16日に韓国戦という日程だけど、今回はロシアワールドカップに弾みをつけるためにも優勝してほしいよね」
二宮「今回のメンバーの多くがラストチャンスになると言ってもいい。優勝して、このなかからシンデレラボーイが出てくることを期待したいと思います」
デスク「いいね、シンデレラボーイと言えばやっぱり荻野目ちゃんの『ダンシング・ヒーロー』だよね。素敵な夜に、熱いビートを鳴らしてほしい!」
