消滅危機だった伝統野菜 学校給食に

 一時は消滅の危機にあった兵庫県尼崎市の伝統野菜「田能のさといも」が27日、同市内9小学校の給食に初めて提供された。約30人の生産者が丁寧に育てた伝統野菜は、かす汁の具に。子どもたちはアツアツのかす汁をすすり、口の中でとろけるような食感を味わっていた。(小谷千穂)

 「田能のさといも」は、市北部の田能地域で栽培される里芋の一種。色が白く粘り気があり、触ってもかゆくなりにくいのが特徴だ。毎年、同じ耕地に同じ作物を育てる「連作」に適さず収穫量が少ないため、市場に流通することはほとんどないという。江戸時代から生産されていたと伝わるが、収穫量の少なさから栽培農家は減少。15年前にはわずか1軒になった。

尼崎の伝統野菜「田能のさといも」を紹介する内田大造さんら(右)=園田北小学校 © 神戸新聞NEXT/神戸新聞社 尼崎の伝統野菜「田能のさといも」を紹介する内田大造さんら(右)=園田北小学校

 地域の自然や文化を次世代に伝える市民団体「自然と文化の森協会」が立ち上がり、栽培農家から芋を譲り受け、市民にも作り方を伝えて今では生産者が約30人になった。

 一方、市では給食に取り入れられないかと5年前、同会に打診。生産量が少なく実現できずにいたが、今年ようやく約100キロを確保することができ、9校の給食に導入が決まった。来年秋には別の小学校にも提供するめどが立った。

 同市猪名寺2の園田北小学校(約380人)には同会の内田大造名誉会長(70)ら3人が訪れ、「田能のさといも」について説明。児童らは箸で持ち上げ、じっくりと見てから味わった。6年の女児(12)は「普通の里芋に似てるけど、口に入れたらとろけた。地元の野菜やし、また給食に出てほしい」と笑った。

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