「全部やった」ボルト現役続行を否定
【AFP=時事】陸上男子短距離のスーパースター、ウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)は、陸上界がドーピングや汚職スキャンダルを抱えている中、「感慨深い」今シーズンを最後にその輝かしいキャリアに幕を閉じると強調している。
通算8個の五輪メダルと通算11個の世界選手権(IAAF World Championships in Athletics)タイトルに輝くボルトだが、最も特筆すべきは、社交的で風格に満ちたキャラクターで知られるように、常に前向きな話題を提供する世界的アスリートとして陸上界が頼りにできる存在であることだ。
今季終了後に現役続行する可能性があるか問われたボルトは「いや、それは考えていない!」と否定し、「素晴らしいキャリアを過ごしてきた。浮き沈みも、これまで経験したり味わってきたりしたことも、喜びも悲しみもすべて楽しんできた。最高のキャリアだったし、やりたいことは全部やってきた。終わりが近づいていても大丈夫だ」と話した。
現役最後のシーズンに挑むボルトは、すでに母国キングストン(Kingston)のレースを終え、今後はオストラバ大会とダイヤモンドリーグ2017(IAAF Diamond League 2017)第11戦モナコ大会(Herculis EBS)を挟み、第16回世界陸上ロンドン大会(16th IAAF World Championships in Athletics London)に出場する予定となっている。
28日にチェコ・オストラバ(Ostrava)北東部の都市で開催される第56回オストラバ・ゴールデン・スパイク(56th Ostrava Golden Spike)を控えた会見でボルトは、「感慨深いシーズンだ。レースでは最後を楽しみにしてくれているファンに喜んでもらえるショーにしたい。個人的には現在、シーズンを戦うことに集中している。とにかく観客に楽しんでもらいたい。全力を尽くしながら、一瞬一瞬を存分に楽しむつもりだ。スタジアムではじっとしているつもりはないよ」と語った。
「これが最後なのは確かだから、感慨深いものになるだろう。見たり感じたり、関係者や選手と一緒にいたり、メダルルームでみんなと過ごしたり、昔のことをふざけたり笑ったりして、感情を揺さぶられるだろうね」
■ライバルとのラストラン、そして陸上界の未来
現在30歳のボルトは、英ロンドン(London)での世界陸上では200メートルに出場するつもりはないと話す一方で、フィナーレの舞台として別の大会に出場する可能性を示唆した。
ボルトは世界陸上について、「200メートルで走らないことは確かだ。ずっと聞かれているけど、そのつもりはない」とコメント。ロンドン大会後にレースに出場する可能性に話が及ぶと、「どうすべきかコーチ(グレン・ミルズ<Glen Mills>氏)と話し合っているところだ。世界陸上でシーズンを終了するかどうかについては、まだどうすべきか完全には決心していないんだ」と答えた。
「様子をみていくよ。世界陸上か、少なくとも開幕が近づくまでは、そのことについて考えるつもりはない」
ロンドンでボルトのライバル候補の一人とみられているのは、かつてドーピング違反が発覚したジャスティン・ガトリン(Justin Gatlin、米国)だ。35歳のガトリンは前週の全米選手権(2017 USATF Outdoor Championships)で男子100メートルを制すなど、キャリア終盤に花を咲かせている。
ボルトは「彼が勝ったことに衝撃を受けた。若手選手も素晴らしい速さをみせていたからね。陸上界のベテラン選手として、自分たちは多くの経験とラウンドごとの勝ち抜き方を知っている。だけど、彼の優勝には本当に驚かされた。これでジャスティン・ガトリンが強力なライバルであることが示され、年を重ねるごとに侮れない存在になっていると分かった。彼とのレースはいつも楽しみにしている」と語った。
競技を去る寂しさはあるものの、ボルトは国際陸上競技連盟(IAAF)のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長をリーダーとして、陸上界のドーピング問題が解決に向かうことを確信している。
「この数年間、陸上界はたくさんの問題に直面している。しかし、最悪の時期を過ごしながら最高の時代に向かっていかなければならないと思う。コー会長は良くやっているし、全力で陸上界の透明性確保を目指している。独立したドーピングシステムも駆使しているから、今後はもっと検査がスムーズになるだろう」
「競技ももっと盛り上がっていくよ。若手選手が台頭してきているから、本当に抱えている問題はドーピングだけだ。この問題を規制できれば、陸上界はその分野で正しい方向に向かい、前進していくことができるはずだ。陸上界が安定した信頼感を得られれば、良い方向に向かっていけるし、他のスポーツとも対抗していける。時間をかけて改善されていくだろう」
【翻訳編集】AFPBB News
