年金機構元職員、情報不正に持ち出す

 年金加入者の個人情報を不正に印刷して盗んだとして、大阪府警捜査2課は29日、窃盗容疑で日本年金機構の元職員葛西康祐(39)=同府熊取町自由が丘=と、元上司の無職松島功(49)=大阪市天王寺区上汐=の両容疑者を逮捕した。同課は認否を明らかにしていない。  少なくとも400人分のデータが持ち出されたとみられ、同課は情報が悪用されていた可能性もあるとみて、使途などを調べている。  逮捕容疑は、共謀して2014年10月~16年2月に計11回、葛西容疑者の勤務先パソコンから20~70代の加入者20人分の年金個人情報を印刷して盗んだ疑い。  同課によると、葛西容疑者は淀川年金事務所に勤務し、指導調査を担当。松島容疑者は葛西容疑者が旧社会保険庁に入った当時の上司でその後辞職していた。葛西容疑者は松島容疑者の求めで自分のIDを使って年金記録にアクセスし、指示された氏名を検索して印刷した資料を渡していたとみられる。資料には加入者の名前や生年月日、住所、基礎年金番号などが載っていたという。   日本年金機構の内部調査で不正が発覚、同機構が2月に府警に告発していた。葛西容疑者は29日付で懲戒解雇された。  同機構は29日夜、記者会見し、「現時点で情報の悪用は確認されていない。(葛西容疑者は)08年ごろから脅されてやらされていたようだ」と説明。「誠に遺憾(いかん)で深くおわびするとともに、再発防止や綱紀粛正に努める」と謝罪した。(了)

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