ピカソの作品、X線スキャンで新発見
© ギズモード・ジャパン 提供 Image: © Art Gallery of Ontario (AGO)
科学の力で、難解なアートも丸裸に。
パブロ・ピカソの芸術作品に秘められた謎を紐解くべく、X線を用いて分析を行なったのは、ノースウェスタン大学の科学者たち。
この研究結果からいくつか新たに発見されたことがあります。そのひとつは、ピカソの青の時代の「La Misereuse Accroupie」に隠された絵画があったこと。
ピカソが「La Misereuse Accroupie」を描いたのは1902年のことで、現在はカナダのアートギャラリー・オブ・オンタリオに展示されています。
研究者らが絵画の分析のために用いたのは、作品には無害なX線蛍光分光法とよばれる手法。
これにより「La Misereuse Accroupie」の下には、もともと風景画が描かれていたことがわかりました。さらに、この風景画の曲線を用いて女性の姿を描いたことも明らかになっています。左に90度傾けて見ると、なんとなく風景画のようなものが見えます。
またこの画にはもともとは女性の腕が描かれていて、途中で上からマントを描き足されたことも示唆されています。
さらに、同じ手法を用いてピカソの彫刻作品に焦点を当てたのは、ピカソ美術館とノースウェスタン大学NU-ACCESSの研究チーム。
彼らは今まで謎に包まれていた、刻印のない鋳造物はどこのものかを調べるために、5つのブロンズ作品から金属の組成を分析。ピカソのコラボレーターであったEmile Robecchiの西フランスにある鋳造工場のものであることを明らかにしました。
この研究結果から考えさせられることがふたつあります。
ひとつは、一見アートとは対極にありそうな素粒子物理学が、芸術分野に役立つということ。今回の件でいえば、ピカソからしたら自分の作品がこんなかたちで丸裸にされる時代がくるとは思ってもいなかったでしょうに...!
シカゴ美術館で保存科学のエグゼクティブディレクターを務めるFrancesca Casadio氏は「科学の力で芸術の歴史をもっと明らかにできる」と、テキサスで行なわれたAAAS 2018で語っています。またBBCによれば、ルーヴル美術館でさえ粒子加速器を作品分析に活用しているといいます。
もうひとつは、改めて芸術家としてのピカソの人生がいかに興味深いかについて。
ピカソがいかに機転のきく芸術家であったかを指摘するのは、ノースウエスタン大学マコーミック工学院のJulio Ottino学部長。大戦状況下の芸術活動もそうですが、今回の分析によって風景画を女性の姿に変えて描いたことが明らかになり「芸術家たちは制約との向き合い方を知っていて、心の向くままにすべての素材を使うことができる」という視点を共有しています。
Image: © Art Gallery of Ontario (AGO), © Picasso Estate, © Northwestern University/Art Institute of Chicago Center for Scientific Studies in the Arts (NU-ACCESS), (C) Succession Picasso 2018
Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文]
(Rina Fukazu)
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