アイデア満載、メルセデスの秘密兵器
それぞれのチームが新たなF1マシンを発表した時、その基本的なデザインと形状について洞察することはできるが、シーズン開幕を前にどのような計画を立てているか、完全には分からない。
実際、メディアやライバルチームから自分たちの秘密兵器を隠すために、マシン発表時の画像は意図的に編集されている。
しかしある段階で、重要なパーツをマシンに搭載して走行を行わなければならなくなる。そして1回目のバルセロナテストで、多くの興味深いデザインが”デビュー”することになった。
motorsport.comではメルセデスやフェラーリ、レッドブルというビッグ3チームがテストしたアイデアを分析していく。まず、第1回はメルセデスだ。
新車発表当時は、昨年型マシンW08をそのまま持ってきたのではないかとすら思えるほど、変化が少ないように思われたニューマシン、W09 EQ Power+。バルセロナでは、細かいながらもしっかりと変更が加えられており、チームが”プリマドンナ”と評するほど扱いが難しかったW08の特性を改善しようとしていることが見てとれる。
メルセデスは、テスト序盤をW09の評価に充てていた。しかし、テスト3日目が悪天候に見舞われほとんど走行できなかったためか、テスト最終日には新しいフロントウイングとリヤウイングを投入し、新たなシーズンを迎える前のベースライン構築を試みた。またフロントノーズ下の巨大なターニングベイン、”ノーズ・ケープ”の改良バージョンも登場している。
メルセデスのフロントウイングエンドプレート。下段が新バージョン
Photo by: Mark Sutton
新しいフロントウイングは昨年の進化版だ。エンドプレートとその内側のカナードの配置が変更されている。
エンドプレートとカナードは一体化され、より幅の広いフラップを形成。縦に入れられていたスリットも深くなっている。この変更により、フロントタイヤ周辺の気流は一変したはずだ。このセクションが作り出す気流により、マシン後部に生じる空気力学的なダメージを軽減することが狙いだと思われる。
メルセデスW09のノーズ・ケープ。赤線で強調されているのがその前端
Photo by: Mark Sutton
ノーズ・ケープは、昨年スペインGPで導入された大規模アップデートで登場した巨大なヒレ状の空力パーツだ。その前端はこれまでほぼ水平だったが、今回投入された改良版は下向きに大きくカーブを描いている。
スプーン型のリヤウイング前方に搭載されたTウイング(赤矢印)
Photo by: Giorgio Piola
マシン後部には、昨年よりも低い位置にTウイング状のパーツがテストの開始時から搭載されている。昨年限りで巨大なシャークフィンとTウイングは廃止されたが、レギュレーション上このエリアに空力パーツを搭載する余地がわずかに残されているのだ。
また、メルセデスはテスト開始時からメインプレーン中央部が垂れ下がるような形状の”スプーン型”リヤウイングを使用していた。このウイングはあまり多くのダウンフォースを必要としないサーキット用のモノ。エンドプレート付近のセクションでは、ウイングの厚みを薄くし空気抵抗を削減する一方、中央部を厚くすることでダウンフォース不足を補っているのだ。
通常型と見られるリヤウイングにも一工夫を加えているメルセデス
Photo by: Stefano Arcari
しかし最終日、メルセデスはより伝統的な形状の新リヤウイングをテスト。このウイングはメインプレーン中央部が盛り上がっているのが特徴だ。この盛り上がっている部分の幅は、ウイングを支持するピラーについているシンプルな形状のウイングレットとおおよそ同じ幅となっている。
おそらくその下に位置するエキゾーストも含め、お互いに作用し合うことで最高の性能を発揮できるようにデザインされているはずだ。
