米国の鉄鋼輸入制限案 中国は反発

 【ワシントン清水憲司、北京・赤間清広】米商務省が中国製などの鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限の実施を勧告したことを受けて、トランプ大統領は鉄鋼について4月11日までに、アルミは同19日までに判断を下す。ただ、標的にされた中国は強く反発しており、米国内にも関連製品の値上がりなどを懸念する慎重論が根強い。トランプ氏がどこまで強硬姿勢を貫くのか、最終判断が注目される。

 「話し合いばかりで、何の提案も出てこない」。ロス商務長官は16日の記者会見で、中国による鉄鋼・アルミ製品の過剰生産問題を協議する多国間会議「グローバル・フォーラム」への不満をあらわにした。フォーラムは昨年11月、過剰生産につながる政府支援の排除や、各国間の情報共有など六つの原則で合意したが、具体的な過剰生産能力の削減計画が欠けているため、米国独自の輸入制限が正当化されるというのがロス氏の論理だ。

 しかし、鉄鋼やアルミの輸入制限の結果、関連製品が値上がりして米国の自動車や資源開発、飲料など幅広い業界に影響を及ぼす恐れがある。トランプ氏が13日に開いた会合でも、与野党議員から「慎重な検討を」「中国に対象を絞るべきだ」との意見が相次いだ。

ウィルバー・ロス商務長官=AP © 毎日新聞 ウィルバー・ロス商務長官=AP

 各国は、米国が通商拡大法232条に基づいて「国家安全保障」を輸入制限の理由にすることに警戒を強めている。中国商務省の王賀軍・貿易救済調査局長は「『国家安全保障』の範囲は定かでなく、安易な乱用を招きかねない」と懸念を示す。

 世界貿易機関(WTO)には「安全保障問題はルールの対象外」とする条項があり、米国の輸入制限は不当として貿易相手国がWTOに提訴しても、米国はこれをたてに反論するとみられる。ただ、こうした措置が容認されると、各国にも同様の動きが広がる恐れがある。米経済団体ビジネス・ラウンドテーブルは16日、「232条を使えば、他国も『安全保障』を理由に米国製品を締め出しかねない。米経済をリスクにさらさない手法を要請する」との声明を出し、輸入制限の発動に反対を表明した。

 過去に232条の輸入制限を発動したのは、1979年の対イラン、82年の対リビアの2件だけで、いずれも原油が対象だった。トランプ氏自身も「(232条は)両刃の剣」と語っており、自国産業への影響などを見極めながら最終判断を下すとみられる。

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