親しい友人同士、脳の働きに類似性
【AFP=時事】親しい友人同士が実生活上の体験に対して薄気味悪いほど類似した神経反応を示すことを明らかにした研究論文が30日、発表された。出会い系サイトは相性の基準の一つに「脳活動」を追加するのが得策かもしれない。
論文の筆頭執筆者で、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)計算論的社会神経科学研究所(Computational Social Neuroscience Lab)の所長を務めるキャロリン・パーキンソン(Carolyn Parkinson)氏は、「今回の研究結果は、友人同士は自分の周りの世界を非常に似通った方法で処理していることを示唆している」と話す。
ボランティアの被験者42人を対象とする今回の実験では、ニュース、音楽、コメディー、ドキュメンタリーのそれぞれ短い映像を被験者に見せ、その間に脳のどの部位に変化が現れるかを比較するために磁気共鳴画像装置(MRI)を使用した。その結果、研究チームは被験者の中で友人関係にある人々を特定することに成功した。
友人同士の仲が良いほど、情緒反応、高レベルの論理的思考、注意を集中させる能力などをつかさどる脳部位の神経パターンの類似性が高かった。
被験者に見せた短い抜粋映像の内容には、当時のバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が演説にユーモアを交えるべきかどうかをめぐるジャーナリストらの議論、身体的な特徴で社会からのけ者にされた人を描く感傷的なミュージックビデオ、コスタリカのナマケモノの赤ちゃんを扱ったドキュメンタリー、同性愛者の結婚式のシーンなどが含まれていた。
人の付き合いの輪に関しては「類は友を呼ぶ」で、年齢、外見、民族的背景や他の人口統計学的カテゴリーが同じ人同士の方が引かれ合いやすいことは、科学者らの間でかなり以前から理解されていた。
■ネット上の「エコーチェンバー」
英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された論文によると、この傾向がソーシャルネットワーク(SNS)にも及んでいるという。
進化心理学者らは、適者生存のダーウィン主義の観点から「似た者同士が集まる」原則により社会的一体性、共感、摩擦のない集団行動などが促進されると主張している。
自分とは明らかに異なる「同じ種族でない」人との間に築かれる関係は実用的、仕事本位で長続きしない傾向にあることが過去の研究で示されていた。
だが、論文の主執筆者で、米ダートマス大学(Dartmouth College)のタリア・ウィートリー(Thalia Wheatley)教授(心理学・脳科学)によると、「似た者同士」を追い求めることに伴うマイナス要素がデジタル時代において増幅されるという。
ウィートリー教授は、AFPの取材に「考え方が似通った人だけを自分の取り巻きにすることで、同じような意見ばかりが反響し合う空間(エコーチェンバー)が形成され、偏りが生じる」と語る。
「こうした現象は、人々がすでに持っている考えを裏づけるだけの情報を常に提供し続けるインターネット上のコミュニティーによって増幅される恐れがある」
ウィートリー教授はまた、「人は社会性動物であり、他の人々とのつながりの中で生活している」と指摘し、「人の脳の働きを理解したければ、他人とのつながりの中で脳がどのように機能するか──精神がどのようにしてお互いを形作っているかを理解する必要がある」と述べた。
【翻訳編集】AFPBB News
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