平城宮大宴会のあと 調理場の溝出土

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 奈良市の平城宮跡東院地区で、宮跡で最大級となる奈良時代の井戸跡(8世紀後半)が出土し、奈良文化財研究所が21日、発表した。

 井戸の水を流して調理場にしたとみられる溝もあった。東院では大宴会が催された記録があり、同研究所は「宴会のための実用的な井戸だった」とみている。

 井戸跡は、東西約9・5メートル、南北約9メートル。中心に4メートル四方の井戸枠を据えた跡があり、周囲に石が敷き詰められていた。さらに井戸から西に延びる溝(幅約1メートル、深さ0・2~0・8メートル)を約20メートル分、確認。溝は途中で2本に分かれていた。

 溝を覆う建物の柱跡もあり、食器や調理具の破片が大量に出土したことから、同研究所は「宴会の食膳を用意する調理場として使われた」と推定。同宮跡では、天皇が住んだ内裏跡などでも同規模の井戸跡が出土しているが、溝を備えた実用的なものは例がないという。

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