甘すぎる処分に耳を疑う白鵬の本音
元横綱日馬富士(33)が幕内貴ノ岩(27)を暴行した事件で、日本相撲協会は20日、臨時理事会で事件現場にいた白鵬(32)、鶴竜(32)両横綱に来年1月の給与不支給などの処分を下した。白鵬は、事件に発展する説教の口火を切り、元日馬富士と“共犯”とも指摘されるなど厳しい声が飛んでいる。さぞ神妙な面持ちかと思いきや、危ぶんでいた1月の初場所出場停止を回避でき喜んでいるという。まったく懲りていないようなのだ。
白鵬はこの日の夜、千葉県内の高級ホテルで開かれる民間企業の忘年会パーティーに出席するはずだったが、処分が下った日だけに、さすがにドタキャンした。
同企業のトップは白鵬の有力な支援者で、溜会(たまりかい)の会長。溜会は、会員制の団体でメンバーは「砂かぶり」と呼ばれる最も土俵に近い座席で観戦することができる。
同企業とこの会の力の強さを示すように会場には、大臣経験者や衆院議員をはじめ政財界の大物、地元関係者ら実に約490人が顔をつらね、あふれかえった。
その中の1人で出席した60代の男性を直撃すると、「忘年会冒頭は主催者の謝罪から始まった」という。「主催者のもとに白鵬から『申し訳ありません』と連絡があったそうで、今日の今日だから自主的に謹慎したのだろう。忘年会は1カ月前に白鵬が『この日ならいけます』として決めたもの。白鵬目当てで来た人もいたはずだ」とため息を漏らした。
ただ、聞いて驚いたのは次の言葉。「もともと出場停止という噂がささやかれていたから、厳重注意(=給与不支給)となって、白鵬は喜んでいると(関係者から)聞いた」というのだ。
相撲協会から下った処分は確かに大甘だ。1月の給与不支給に加え、2月給与50%減額のみ。1カ月の給与は282万円と高額なものの、初場所に出場できるため、優勝すれば賞金1000万円、300本超とも言われる懸賞を加えれば、1700万円を超える大金を得られることになる。
相撲協会は貴ノ岩による聴取で、最初に説教を始めたのは白鵬だったと認定した。1人の横綱が引退する事態になった事件とこの騒動の重大さ、自身の責任をどう認識しているのか。ここまでくると相撲ファンならずとも力士としての品格を問いたくなる。