カタルーニャ、自治権の一部停止

半年以内に州議会選挙へ

 【パリ賀有勇、ブリュッセル八田浩輔】スペイン北東部カタルーニャ自治州の独立問題で、中央政府のラホイ首相は21日、臨時閣議後に記者会見し、憲法の規定に基づき独立の動きをやめない自治州の自治権を一部停止する措置を閣議決定したと明らかにした。「緊急措置」として、プチデモン州首相ら閣僚を解任し、6カ月以内に州議会選挙を実施する方針も決めた。

 プチデモン氏は21日夜(日本時間22日未明)、独立賛成派による中央政府への抗議デモに参加後、住民向けの演説を行う。プチデモン氏は、自治権が停止されれば「州議会が正式に独立宣言を採択する」と述べており、反発するのは必至だ。州議会は23日にも議会運営委員会を開き、日程の調整を行う。

 閣議後会見でラホイ氏は自治州が憲法に反する一方的な独立の動きを見せたことを批判し、「望んではいなかったが、現状では避けられない」と国民に理解を求めた。州議会選の時期については「カタルーニャを正常に戻すため、早期に実施したい」と述べた。自治権停止には中央議会上院の承認が必要だが、ラホイ氏が率いる国民党は上院の過半数を占めており、可決される可能性が高い。承認は27日となる見通し。

 カタルーニャは教育や警察、医療などの分野で広範な自治が認められており、閣議では州警察の指揮権や公営企業の経営権を州政府から中央政府に移譲することも検討したみられる。ラホイ氏は「自治権の停止ではなく、自治州政府の権限を止めるため」と述べるなど、自治権停止が限定的なものであると強調した。

 閣議に先立つ20日には、中央政府と最大野党・社会労働党は、自治権を停止し、来年1月をめどに州議会選を実施する方針で合意したと、同党議員がスペインメディアで明かした。

 独立問題を解決するために選挙を求める反対派も多く、地元紙ペリオディコ(電子版)の世論調査では、回答者の69%が選挙の実施を求めた。

 州議会では、プチデモン州首相率いる独立連合は極左政党(10議席)と連立を組むことで135議席中72議席を占める。だが、独立に伴う混乱への懸念から企業の州外移転の動きが止まらないほか、観光産業にも影響が出始めており、州議会選で独立派が過半数を維持できるかは不透明だ。

 プチデモン氏はこれまで、仲介を交えた中央政府との交渉を求め続けてきたが、独立派の孤立は鮮明になっている。19、20日にブリュッセルで開かれた欧州連合(EU)首脳会議では、トゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)が「EUとして介入の余地はない」と記者会見で述べた。

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