災害は府の設計ミス、知事に住民訴え

山田啓二知事(右端)に「浸水災害は府の設計ミス」と訴える住民たち=京都府京丹後市網野町浜詰で2017年9月24日正午、塩田敏夫撮影 © 毎日新聞 山田啓二知事(右端)に「浸水災害は府の設計ミス」と訴える住民たち=京都府京丹後市網野町浜詰で2017年9月24日正午、塩田敏夫撮影

「想定外とは言わせない」

 台風18号の豪雨による浸水被害で、京都府京丹後市網野町浜詰地区の住民4人は市消防本部のレスキュー隊によって救助された。浜詰地区住民は24日、現地視察に訪れた山田啓二知事に「災害の原因は府の設計ミス」と訴えた。現場近くに新たに作られた府道が住宅地より高所にあり、府道から一気に濁流が押し寄せたうえ排水設備が不十分だったと主張。「もう少しのところで命を落とすところだった」と根本的な災害防止策を迫った。【塩田敏夫】

 現場は旅館街に近い住宅地。看護助手の西河明子さん(61)によると、台風が接近してきた17日午後10時ごろ、一気に濁流が家の中に入ってきた。道路が激流となって波打っていた。必死に足腰の弱った母よしさん(96)の手を引いて2階に上がり、110番通報した。

 どれくらい時間が経過したかは記憶にない。市消防本部のレスキュー隊が到着し、ロープを投げてくれた。よしさんと一緒にロープにつかまりながら1階の窓から脱出し、ボートで救助された。

 隣の元織物業、東洋子さん(66)宅も1階の高さ1・6メートルまで浸水。室内の水は渦を巻いて上昇した。三男の紘史さん(34)と織物機械の上にあった板にはしごをかけて上った。そして、レスキュー隊のロープにつかまり、救助された。

 西河さんらが「災害の原因」と主張する府道浜詰網野線(1・3キロ)は昨年6月、全通した。府道は住宅地より高い所を通っており、府道から住宅地に通じる道はそれまでになかった勾配ができた。東さんの話では、住民説明会で洪水時の浸水を心配する声を上げたが、府は「安全」と一貫して回答したという。

 東さんの長男和徳さん(41)は「明らかに府の設計ミス。住民がこれだけ心配したのに安全、大丈夫と繰り返した。府の土木事務所と何度も掛け合ったが、話はなかなか進まなかった。想定外とは言わせない」と府の責任を追及した。

 これに対し、山田知事は「何が原因かしっかりと調査し、対応する」と述べた。

 山田知事はこのほか、同市網野町木津加茂川や同市丹後町久僧、伊根町本庄の筒川などを視察した。木津加茂川地区の副区長、吉岡純一さん(53)は深刻な被害の実態を訴え、「この30年で私たちの地域は3度も同じような災害が起きており、今回は想定外の災害ではない」と訴えた。

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