ベトナム、南シナ海の掘削を断念
【シンガポール=吉村英輝】英BBC放送(電子版)は24日、ベトナムが南シナ海の石油・ガス田で始めた掘削作業を中止したと伝えた。中国が、人工島へのミサイル配備などで軍事拠点化した同海スプラトリー(中国名・南沙)諸島から、ベトナムの掘削基地を「攻撃する」と「強烈な脅し」で圧力を強めたためだとしている。
ベトナム政府は南東部の南シナ海の排他的経済水域(EEZ)にかかる鉱区で、開発権益を持つスペインの石油大手に掘削を許可。6月20日頃に海底掘削作業が始まった。だが業界筋によると、中国からの圧力を理由に先週、ベトナムが掘削中止を求めてきたという。
この掘削をめぐっては、中国人民解放軍制服組トップが激高し、訪越日程を切り上げた経緯がある。ベトナムはこうした中国の猛反発を無視し、一旦は掘削を強行したものの、軍事行動をちらつかせる中国の脅しに屈した形だ。
中国は独自の「九段線」を根拠に、南シナ海のほぼ全域で権利を主張。同鉱区と重複する海域でも独自に権益を設定し、中国の共産党幹部が名を連ねる石油会社に2014年、開発権を与えた。ベトナムは中国に配慮し、過去3年間は掘削許可を出してこなかった。
豪ニューサウスウェールズ大のセイヤー名誉教授は、南シナ海で実際にベトナムが中国に攻撃されれば、国内の反中世論が爆発し、ベトナム指導部は政治的権威失墜という「悪夢のシナリオ」に直面するだろうと指摘する。
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