テスラ株主、堪忍袋の緒が切れ始める

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 電気自動車(EV)メーカーの米テスラの株主は、ついに堪忍袋の緒が切れ始めた。スウェーデンのボルボ・カーが5日、2019年以降に発売する自動車を全てEVまたはハイブリッド車にすると発表し、テスラの長期的な見通しが実現する可能性が極めて疑わしくなった。

 テスラ株は5日の取引で前営業日比7.24%安の327.09ドルと急落。今週は4日が祝日で休場、その前日は短縮取引だったため、実質1日半に約10%下落した。

 テスラは自ら設定した期限を何度も守ることができなかったにもかかわらず、投資家はいずれ多額の利益が得られるとの期待から、長年そうしたことを容認してきた。

 最近では、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が今週、12月までに大衆車「モデル3」の生産を1カ月当たり2万台にすると約束した。昨年はアナリストに、17年にはモデル3を少なくとも10万台生産することを目指すと話していた。新たな計画に基づくと8月に100台、9月に1500台余りを生産する必要があるが、以前の見通しを大幅に下回ることになる。

モデル3の生産計画は以前の見通しに比べ後退した © Provided by The Wall Street Journal.

 だが、新たな競争が始まったことで、株主はいつまでも忍耐し続けることはできなくなったようだ。ボルボ以外にも、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)は20年までに新たなEV数車種を投入すると表明している。米ゼネラル・モーターズ(GM)はEV「シボレー・ボルト(Bolt)」を販売している。

 モデル3は、米国での新車販売が急激に鈍化している中で発売されることになる。テスラの高級車2モデルの販売は過去1年、あまり伸びていない。同社は生産上の問題が一因だと説明しているが、過去6四半期の生産台数は販売台数を上回っている。テスラは、今年下半期の「モデルS」と「モデルX」の納入台数は上半期を上回る見通しだとしている。ただ、「世界の経済情勢が著しく悪化しない限り」という条件をつけた。

 アナリストは起こり得る事態に備えているようだ。ファクトセットによると、今年の調整後1株損益のアナリスト予想平均は5.81ドルの赤字。1年前には、2.62ドルの黒字が予想されていた。

 それでもアナリストは、20年には多額の利益を上げると予想しており、1株利益11.93ドルを見込んでいる。ただこの予想も1年前にはこれを大幅に上回る水準だった。テスラの株価は年初に比べて50%余り高く、20年の予想利益をベースにしても株価収益率(PER)は28倍を超えている。競合する各社の株価はこれよりもはるかに低い。

 テスラに対する投資家の期待はあまりにも現実離れしていたため、たとえモデル3の販売が好調で他の2モデルの販売が再び伸びても、テスラ株のパフォーマンスはひどいものになりかねない。

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