Surface Studio 大画面と利便性に驚き
マイクロソフトが5月26日に発表した新Surfaceラインアップ4機種で唯一のデスクトップモデルSurface Studioの実機を試用できたので、紹介していく.
3対2の28型ディスプレーは
薄くて広くて、とにかく迫力なのである.
Studioは、28型ディスプレイの土台部分にPCが収納された一体型モデルである.もちろん画面の縦横比はほかのSurfaceと同様に3対2.解像度は4500×3000ドットと、通常の4Kディスプレイ(3840×2160ドット)を越える解像度による精細さが最大の魅力.そして、表示部を片手で傾けることができ、ペンやダイヤルを使って巨大タブレットのように使うことができる.
表示部は横が約60センチで縦が約40センチある.3対2比率というのは16に合わせると16対10.7である.数字上の16対9よりすこしだけ四角いのかなと思うと間違いで、ほかのSurfaceシリーズも同じなのだが、16対9に慣れた目でみると、正方形に近くみえるほどだ.
Studioのデモではよく絵を描いているが、この面積と解像度は仕事にも向くのだ.試しにエクセルを起動してみると、画面倍率200%(これが推奨となっている)で、50行、150%なら70行、125%なら80行が表示される.ためしにブラウザーを多数起動してみた.125%なら9面を同時に開いてASCII.jpが表示できる.もちろん字も読めるよもちろんです.巨大な表を毎日扱っているキミたちや、ブラウザーとエディターを複数起動してWEB記事を書いているボクたちにも超便利なマシンなのである.
本体とディスプレイはクローム仕上げの2本のバーでつながっており、内部にはバネが仕込まれていて、カウンターウェイトがかかっており、片手で軽く動かせる.土台側の軸とディスプレイ側の軸は完全に同期するようになっているので、傾けたつもりなのに空中にあるとか、立てるときに持ち上げそこなって机にディスプレイがぶつかるといったダサい状態にはならない.非常に美しい設計なのである.ただし、逆にいうと、ある角度でそのまま上下の高さを変えたいとか、ある高さのまま角度だけ変えたいということはできない.高さと角度が連動しているのである.
マイクロソフトは、寝かせてペンやダイヤルで操作する状態を「スタジオモード」、立ててマウスで使う状態を「デスクトップモード」と呼んでいる.
3タイプでもちろんGTX内蔵
すべてSSD+HDD構成
6月15日から発売されているStudioは3タイプで、日米ともに同じスペックだ.
Core i5+8GBMEM+64GBSSD+1TBHDD
Core i7+16GBMEM+128GBSSD+1TBHDD
Core i7+32GBMEM+128GBSSD+2TBHDD
構成の変更はできず、この中から選ぶことになる.ちなみに最上位モデルはVRAMが4GBだが、下の2機種は2GBという違いもある.
今回試用したStudioは最上位モデルで、CPUはCore i7-6820HQで、4コアで2.7GHz駆動だった.このCPUはモバイル用ではあるが、TDPは45Wの最上位グループである.GPUは泣く子も黙るGTX980M.こちらもモバイル用だが、1つ前のMaxwell世代の最上位モデルだ.
SSDは東芝のTHNSN5128GPU7で、NVMe対応の「XG3」シリーズを搭載.HDDはST2000LM003という2.5インチサイズで回転数は5400RPMである.
外部インターフェイスはすべて背面
SDカードスロットはどうやって使うのか?
土台の部分は250×220×32.2ミリで、AC直結なので、いわゆる電源もここに内蔵している.そのためHDDもモバイル用を使うことになったのだが、SSDとRAIDを組んで高速化を図っている.
背面のインターフェースはUSB3.0×4に、SDカードリーダー、ミニDisplayPort、ヘッドホンジャック、有線LANポートとなる.電源ケーブルは左右にボタンがついていて、ロックとなっており、不用意に抜けないしくみになっている.
インターフェイス類はすべてこの土台部分の背面に並んでいる.ディスプレー側には電源スイッチとボリュームしかない.そのため、USBメモリーやSDカードの抜き差しは手さぐりということになる.せっかく内蔵しているのに少しもったいないのだ.
さて、一体型PCというと、日本の富士通やNECの製品が長いおつきあいなので、テレパソであるわけだが、もちろんStudioはWindowsマシンなので、TVチューナーをつないだり、ブルーレイドライブをつないで、テレパソ化することは可能である.GPUもりっぱなGTX980Mを搭載しているから、心配ないのだ.
市販の4Kディスプレイの解像度は3840×2160だから約830万ドット.Studioは4500×3000ドットだから1350万ドットだ.約1.6倍の情報量を表示できることになる.5KのiMacはなぜか16対9という画面比率で、5120×2880ドットで1475万ドットである.27型でさらに横長形状なので、計算してみると、横幅はほぼ同じで、縦の長さがiMacのほうが約60ミリ短いことになる.面積でいうとStudioのほうがiMac27より15%広い.
液晶上部にあるカメラは500万画素で1080PのHD映像を撮影可能で、顔認証のためのWindowsHelloセンサーももちろん搭載しており、席に座っただけでPCの認証が終わるあの気持ちよさはもちろん搭載なのだ.
本体に付属するのはペンとキーボード、マウスで、すべてグレーで統一されている.一度Studioを初期化したが、これらの周辺機器の認証は、起動後に各機器の認証ボタンを長押しするだけで、簡単に再登録できた.
キーボードのタッチはなかなかいいが、マウスのほうはちょっと安っぽいので、こだわる人は、より高価な製品を投入したくなるだろう.ペンは新旧モデルともに1024階調となるのがちょっと残念だ.せっかくリッチなStudioモードを持つのだから、アップデートなどで、新ペンの4096段階に対応してほしいのである.
ベンチマークテスト
CPUもGPUもBookの2倍速い
おなじみのベンチ結果だが、CPUの速度をみるCineBenchのCPU値はSurfaceBookのCore i7-6600Uの約2倍の707と出た.2コアと4コアなのでアタリマエなのである.最新第7世代=KebyLakeの4コアCPUのCore i7-7700HQでは740を越えてる値が出ているので、頃合いを見計らって7に上げてほしいものである.
おなじみ3Dグラフィックの速度をみる3DMarkのFireStrikeでは8300と出た.SurfaceBookPerformanceBaseの約2倍の値で、そのあたりを目指して設計されているのかもしれない.とはいえ、最新のGTX1060を搭載したノートとほぼ同じ値である.こちらも,熱問題があるかもしれないが、早めに1080を載せてほしいものだ.
ちなみに、排気は本体(土台部)右側の底面近くからで、3Dベンチマークを走らせていると、けっこう派手に排出され、机が若干熱くなる.ノートアキテクチャーだが、バッテリーの心配がないので、フル回転するのだ.
ドライブのベンチマークもいつもどおりCrystalDiskmarkで測定.SSDとHDDを搭載しているStudioは、シーケンシャルのリードはマルチで2162、通常で1472と高い値が出た.書き込みは658と634と、最新NVMeのSSDに比べると半分くらいの速度だったが、使用していてHDD的な遅さを感じることはなかった.
リッチな巨大液晶と
GTXで3Dゲームもおっけー
巨大タブレットとしてはピボットがほしいと思っていたが、縦のドット数も十分にあるので、縦位置の誌面を見開きで楽に読めるので、回転しなくてもオッケーなのだった.
あとはお値段.別の原稿でも書いたが、今回発表となった全ラインアップの「ドル円換算率」を計算したら、一番割高なのが新SurfaceProのm3モデルで799ドルが日本では10万5800円で1ドル132円である.逆にお買い得なのが同じくProのi5-8GB-256GBモデルで1299ドルが14万6800円で1ドル113円である.
Studioはどうかというと、126~128円で3機種とも変わらない.もし113円換算になってくれれば、38万・44万・53万の3モデルが34万・40万・47万円になる.だいぶ印象が変わると思うので、円高に期待したい.
ちなみに27型の5KディスプレイはDellのUP2715Kが約19万円、LGの27MD5KAは18万円でござる.これらのディスプレイもiMacもペンは使えない.Studioモードでスタイラスで大画面に絵が描けるというのは、ほかにはない大きなアドバンスなのだ.
デスクトップ一体型としては、ノート用のCPU/GPUではなく、デスクトップ用のバリバリものを搭載してほしいというホンネもある.土台部分が2倍くらいの体積になってもいいので、「SurfaceStudioPro」も出してほしいものである.
とはいえ、4コアCPU+GTX980Mの威力があるので、本気で絵やイラストにとりくむために買うのは正解.さらに、単純にデザインに惚れて買うもよし、さらに、大画面でゲームしたい、大画面でエクセルをいじりたい、大画面でWEBのデザインをしたいというキミやボクにもうってつけなのである.とにかく実物をみて触って欲しくなってみてくださいね~~
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