中小メーカーの技、介護事業に活路
もともと持つ技術力を使って、介護用品事業に参入する中小メーカーが相次いでいる。国内では数少ない成長市場で、「大手の下請け」だけではないビジネスチャンスがあるとみるからだ。ただ、チャンスを生かし切るには課題もある。
携帯電話画面の保護フィルムをつくるスミロン(大阪市)は、使用済みのおむつを密封する装置を開発した。機械におむつを入れると、2枚の特殊フィルムで封じ込め、においが漏れない。医療や介護施設で働く職員の負担が減った。
関係者が集まる見本市に積極的に出展し、これまでに約1700台売った。装置とフィルムを合わせた売上高は2016年に約4億円。会社の売上高の1割程度だが、販売部長の中西雅之さんは、「事業の柱に育てていきたい」と話す。
産業用機器製造のアートプラン(滋賀県彦根市)は、下半身が不自由な人の移動を助けるロボット「愛移乗(あいじょう)くん」を開発し、12年から売り始めた。体をゆだねると、歩かずにベッドから簡易トイレに移動できたり、車いすに乗れたりする。
家電メーカーなどから注文を受けて機械などをつくるのが本業だが、発注者の業績に左右されない商品が欲しいと考えた。渡辺正社長(60)は、「さらに改良を重ねて、一人で移動できる高齢者を増やしたい」と意気込む。