バカガイ密漁横行、漁師「死活問題」

 すしネタとして人気の高い伊勢湾特産のバカガイ(アオヤギ)の密漁被害が深刻だ。代表的な産地の一つ、津市白塚町の白塚漁港で確認された被害は4月以降、20件ほどに上る。資源保護のためコウナゴ(イカナゴ)漁が2年連続の禁漁となり、漁港の収入の柱として期待されるバカガイ。密漁は「死活問題」と漁業者を悩ませている。【井口慎太郎】

 従来、白塚漁業協同組合(約80人)の主力は年間3億円を売り上げた実績もあるコウナゴだ。だが、稚魚が減り、三河湾と共に2年連続の禁漁となっている。「バカガイで補うしかない」と漁協の若林和久参事は話す。

バカガイなどを水揚げする漁師たち=津市白塚町で9日 © 毎日新聞 バカガイなどを水揚げする漁師たち=津市白塚町で9日

 漁協によると、30キロ当たり3000~5000円で取引され、主に名古屋や東京へ出荷される。今年は、5月末現在の漁獲量約400トンが同漁協の漁獲全体の8割、売り上げ約6500万円も8割を占める。

 しかし、今季は密漁が「かなり増えた」という。4月以降だけで20件程度。一度に大量に取れるため、漁業者以外の使用が禁じられている漁具「じょれん」であさる手口がほとんどという。「豊漁」とのうわさが独り歩きし、比較的漁のしやすい浅瀬だということが周辺での密漁につながっている可能性があるという。

 三重県内の津市以北の水域を管轄する四日市海上保安部の摘発件数も増えた。ハマグリなどの密漁も含む数字だが、今年は6月1日現在で31件に上り、昨年の年間25件を上回った。4月17日には三重県川越町の高松海岸など伊勢湾沿岸でバカガイなどを密漁したとして、県内の男5人の一斉検挙を発表した。

 こうした摘発件数も、被害の実態からすれば「氷山の一角」と漁業関係者は口をそろえる。白塚漁協で貝漁を取り仕切る西川孝史さん(54)は「1人で300キロほど取っていた人もいた。県外ナンバーの車に乗って来ている人も見た。(密漁を)なりわいにしているとしか思えない」という。自主的な見回りを増やしてはいるが、根本的な解決となっておらず、頭を抱えている。

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