政令市初、神戸が代執行で空き家撤去

 神戸市は24日、空き家対策特別措置法(2015年施行)に基づき、所有者のいない住宅1棟を2月中旬から代執行で撤去すると発表した。特別措置法による代執行は全国の政令市で初めて。

 市によると、適切な維持管理がされていない市内の空き家は878件(17年末現在)。うち市の指導で状態が改善されたのは3割強にとどまるという。

 今回撤去されるのは、中央区熊内橋通5の木造2階建て住宅(延べ約26平方メートル)。09年に「崩壊の可能性がある」と住民からの通報があり、市は所有者に改善を指導していた。しかし、15年に所有者の民間会社が解散。建物は放置され、昨年10月の台風21号では外壁が倒壊した。このため、市は「近隣住民に危険が及ぶ」と判断して代執行を決めた。

 代執行は建築基準法でも可能だったが、特措法では新たに固定資産税関連の情報を利用して、所有者を特定することなどができるようになった。

 市によると、撤去費用は約160万円。所有者がいないため、市が全額負担する。撤去後の土地には管理者がいないため、現行の制度では不法投棄などに対処できないという新たな問題が発生するという。【栗田亨】

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