スキーブーム再来、バブル世代回帰
© 神戸新聞NEXT/神戸新聞社 新設スキー場には家族連れの姿も目立つ=兵庫県神河町上小田
長らく冷え込んできたスキー人気がこの冬、復活の気配を見せている。鍵を握るのは、約30年前に各地のゲレンデを華やかなウエアで埋め尽くしたバブル世代。仕事や子育てで遠ざかっていた人たちが、子や孫と一緒にスキー場に戻ってきているという。(三宅晃貴、小森有喜)
国内14年ぶりの新設スキー場として兵庫県神河町に16日、オープンした「峰山高原リゾート ホワイトピーク」(同町上小田)。関係者が主要なターゲットの一つに設定するのは家族連れだ。町によると、スキーブームの経験者が親や祖父母世代となり、家族と楽しむ傾向があるという。
同スキー場は開業に合わせ、3コースのうちまずファミリー向けを人工降雪機で整備。関西最大級のキッズパークも備え、家族で気軽に楽しめるスキー場としてPRしている。
レジャー白書によると、スキーヤーとスノーボーダーの人口は1990年代に1800万人を超える年もあったが、その後は減少した。今年の発表では580万人。日本のスキーリゾートは増加する外国人客への依存が強くなっているが、ここに来て国内需要への期待も増す。
堺市から来た会社員男性(64)は、80~90年代に娘を連れてスキーを楽しみ、最近は孫と一緒に滑る。「スキー人気がピークの頃は、30分や1時間のリフト待ちもざらだった。当時と比べると、とても快適。孫の特訓中です」
神戸市北区の主婦(46)は「90年代は冬と言えばスキー。毎週ゲレンデに行っていた。映画ももちろん見ました」と声を弾ませ、息子との滑りを堪能した。
神戸市中央区のIBS石井スポーツ神戸三宮店のスキー担当・野々村賢一郎さん(42)は「スキーブーム時にゲレンデを訪れていた世代で、子どもや孫ができたり、仕事をリタイアして時間ができたりして、もう一度やってみようという人が増えている」と話す。
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今年はバブル時代に爆発的なスキーブームを呼んだ映画「私をスキーに連れてって」の公開から30年。人気を再燃させようと、当時子どもだった世代が記念イベントや、映画にヒントを得た企画を展開している。
「私を-」は数々の流行を生んだホイチョイ・プロダクションズが製作。長野や群馬の美しい雪山の映像とポップな登場人物の会話、ユーミンこと松任谷由実さんの涼しげな楽曲に魅了された若者がこぞってスキー場に足を運んだ。
JR東日本は今年、パック商品「SKISKI」の宣伝に、映画のヒロイン優役で主演した原田知世さん(50)のイラストとともに「私を新幹線でスキーに連れてって」のキャッチコピーを打ったポスターを採用。映画を知らない若年層にもPRを展開している。
今月12日には、映画の登場人物たちが履いた架空のスキーブランド「サロット」を復刻生産して展示し、映画製作当時の関係者らがトークを繰り広げるイベントが東京都内で開催された。仕掛け人の俳優・田村幸士さん(40)は「30周年を機に、映画が見せた大人のスキーの楽しみ方を今後の30年に向けて提案していきたい」と情熱を傾ける。