冷凍チャーハン、生産うなぎのぼり

 冷凍チャーハンのテレビCMをよく目にします。レンジでチンするか、フライパンでサッと炒めるだけで、専門店さながらのパラパラチャーハンが食べられます。生産量も増えていて、メーカー各社も商品開発に力を入れています。

 大阪市淀川区のスーパー「ライフ セントラルスクエア西宮原店」で最近、よく売れているのが600グラムや720グラムで「大容量」をうたう冷凍チャーハンだ。「がっつり食べたいと買う男性が増えている」と広報担当者。単価が上がり、売り上げも伸びているという。

 日本冷凍食品協会によると、2016年のチャーハンの生産量は前年より24%増えた。品目別の順位は一つ上がって3位になった。1位のコロッケ、2位のうどんには及ばなかったが、5年間3位の座にあったハンバーグを抜いた。協会広報の末次(すえつぎ)公太郎さんは「3年ほど前から各メーカーが競って商品を出し、『チャーハン戦争』と言われるほどになっている」と話す。

 各社とも「個性」を出そうとしている。具材に牛バラ肉を使ったり、干しエビなどでつくるXO(エックスオー)醬や焦がしにんにくのマー油を加えたりと工夫している。どれも電子レンジで5分ほど温めればできるが、フライパンで炒めて作ると香ばしさが引き立つ。

スーパーの冷凍チャーハン売り場では、量が多い商品が増えている=大阪市のライフ セントラルスクエア西宮原店 © 朝日新聞 スーパーの冷凍チャーハン売り場では、量が多い商品が増えている=大阪市のライフ セントラルスクエア西宮原店

 昔の冷凍チャーハンは、実はコメを中華調味料で炊き込んでつくった「中華風ピラフ」だった。チャーハンは炒める時に強い火力が必要で、機械で大量に調理するのが難しかったからだ。それが01年ごろから、製造工程に炒める作業が加わり、その技術も進化した。

 ニチレイフーズは15年春、千葉県の船橋工場に30億円を投じ、コメに高温の熱風を吹きつける製造ラインをつくった。マルハニチロも16年8月、山形県の工場のラインを増設し、火力を細かく調整できるようにした。各社、プロの料理人が作ったような「パラパラ感」を追い求めている。(笠井哲也)

■電子レンジで香ばしく

 ニチレイフーズの「本格炒め炒飯」はご飯と卵を炒めた後で、250度以上の熱風にあて、さらに具材と炒めている。電子レンジで温めるだけでもパラッと香ばしく仕上がるようにした。自社工場でつくった焼き豚やネギ油を使っている。450gで310円前後。

■五目XO醬 中華の極み

 マルハニチロの「炒飯の極み[えび五目XO醬]」は独自の製法で、コメをパラッとさせ、香ばしさを前面に出す。具材にはエビ、タケノコ、小松菜、豚ひき肉などを使い、XO醬とエビの香味油、ラードで本格的な中華の味に近づけた。600gで500円前後。

■香りたつ焦がしにんにく

 味の素冷凍食品の「ザ★チャーハン」は、炒めた香りや風味が楽しめる商品をめざした。焦がしにんにくの油やネギ油を使い、香ばしさが口に広がるようにした。具材は焼き豚と卵、ネギとシンプル。独自のコクが出る調味料なども加えた。600gで410円前後。

■牛バラでボリューム感

 イートアンドが今年8月に発売した「大阪王将 牛バラ炒飯」は牛バラ肉を使い、ボリューム感を出した。小松菜や卵で彩りにし、コチュジャンとテンメンジャンで甘辛風味に仕立てた。マンゴーピューレの甘みで味に奥行きを持たせた。400gで320円前後。

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主なメーカーのおすすめ品から選びました。価格は目安で税込み。スーパーの店頭などで調べました

■冷凍チャーハンの売れ筋ランキング

(1)ザ★チャーハン(味の素冷凍食品)

(2)本格炒め炒飯(ニチレイフーズ)

(3)石焼風ビビンバ炒飯(マルハニチロ)

(4)あおり炒めの焼豚炒飯(マルハニチロ)

(5)炒飯の極み[えび五目XO醬](マルハニチロ)

※ライフコーポレーションまとめ。2017年9~12月の関西の店舗での売り上げ(きりとりトレンド)

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