発想がナナメ上「変な」ロボットたち
© ITmedia NEWS 提供 上野駅に配置されたパンダの姿をしたPepper
2017年、多くのロボットを取材してきた。Pepperが登場した14年から3年が経ち、“第3次ロボットブーム”は徐々に落ち着きをみせている。ロボット業界を見渡せば、「ロボットは本当に普及するのか」「このままでいいのか」と不安の声も聞こえる。
一方で、ソフトバンクの米Boston Dynamics買収や約10年ぶりの「aibo」復活、日米の巨大ロボット対決「クラタス対MegaBots」開催などといった動きもみられる。
そんな17年のロボット動向を踏まえ、ここではあえて“変な”ロボットをまとめる。ロボット業界の過渡期である今、これらのロボットたちが何らかの道を切り開いてくれそうな気がするからだ。
●ただ「拍手するだけ」のロボット
始めに紹介したいのが、ロボットや玩具の製品開発会社バイバイワールドが開発した「ビッグクラッピー」(英語名:Big Clapper)。ただ拍手するだけのロボットだ。人感センサーで人を感知し、100種類以上のせりふをしゃべりながら自動で手をたたく。
このロボットは、バイバイワールドの代表取締役高橋征資氏(「高」は、はしごの高)が学生時代に研究していた「拍手技術」を基礎として開発。周波数特性の比較をし「どうしたら人間らしい温かみのある拍手を再現できるか」などを研究して作ったという。
米国ネバタ州ラスベガスで開催(18年1月9日〜12日)されるCES 2018にも参加予定。JAPAN TECH projectブースを盛り上げる特別応援枠として採用されている。
●足がクサイと気絶する犬型ロボット「はなちゃん」の新型 お尻から消臭剤を噴射
足がクサイと気絶する犬型ロボット「はなちゃん」の新型「Cleaning Dog はなちゃん」(非売品)が、「2017国際ロボット展」(11月29日〜12月2日、東京ビッグサイト)で初展示された。
新型はなちゃんは、においをかぎ「クサイ」と判断すると、片足を上げお尻から消臭剤を噴射する。鼻の先にガスセンサーを搭載し、アミン系、硫黄系の悪臭物質を検知しているという。
開発したのは、ベンチャー企業のNext Technology(福岡県北九州市)。旧型の気絶するはなちゃんは、購入できる。価格は3万5000円から(カラーや毛の種類によって変動)。
●仏像ロボット
はなちゃんと同じく、2017国際ロボット展で展示され話題となった仏像ロボ「黒子ロボット」。このロボットはサーボモーターやリニアモーターの制御を得意とする部品メーカーのマッスル(大阪市中央区)が開発した。
カクカクぬるぬると動き、前に立つと何かまじないをかけられた気分になる。
●ヘタな医療処置には「オェッ」 医療用ロボット
テムザック技術研究所と鳥取大学医学部・医学部付属病院が共同で開発した「mikoto」(みこと)は、ヒトのようなやわらかさや生体反応を再現した医療シミュレーターロボットだ。トレーニングを目的に開発され、気管挿管(経鼻・経口)や内視鏡検査(経鼻・経口)、たん吸引のトレーニングができ、ヘタな医療処置には「オェッ」と言う。
販売は通常上半身のみだが、オプションで下半身を付けることも可能。5年以内に約10億円の売り上げ目標を掲げている。
●人間より主導権を持つロボット「Muu」
「第1回 ロボデックス」(1月18〜20日、東京ビッグサイト)に展示された「仮想的な生き物」をモチーフにしたロボット「Muu」。Muuは、「ニュースを伝える」というミッションを持ち、指定したニュースサイトから情報を引っ張ってくる。
ただし、あくまでも話の主導権を持つのは「ロボット」で、人間が教えてほしいニュースをロボットが教えてくれるわけではない。ロボットが「おもしろいことあったんだよ。聞いてほしいなぁ。聞いて聞いて」と人間に話しかけ、人間が「なになに?」「うんうん」などと相づちを打つと、「自動運転が〜〜〜。それでね〜」などと情報を小出しにしながら、短くやさしい文章でニュースを教えてくれる。
●おどおどしながらティッシュを渡すロボット
小刻みに揺れ、おどおどしながらティッシュやチラシを渡すロボット「iBones」も、ロボデックスに展示されていたロボットだ。筆者の身長(160センチ)の約半分くらいの大きさで、存在感がないわけではないが、動きが少なくあまりにもおどおどしているため、つい通り過ぎてしまう。
開発したのは、豊橋技術科学大学 情報・知能工学系 インタラクションデザイン研究室の学生。物の受け渡しにちょうどいい距離になれば紙を持った手をそっと差し出し、受け取ると控えめなお辞儀をする。
●2016年に話題になった「パンダPepper」
ちなみに、16年には東京メトロが設置した「パンダPepper」が話題となったが、上野動物園のジャイアントパンダ「シャンシャン」の誕生により、再び注目を集めているようだ。
Pepperの配置は16年12月1日から17年3月31日までの期間限定で、残念ながら今は見ることができない。
(太田智美)
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