遺族が抗議、裁判官のツイート受け
東京都江戸川区で2015年に殺害された都立高3年岩瀬加奈さん(当時17歳)の遺族が26日、東京高裁の岡口基一裁判官(51)のツイッターに被害者の尊厳への配慮が全くない投稿をされたとして抗議する文書を高裁に提出した。
高裁は事実関係を調査している。
文書などによると、遺族は15日夕、岡口裁判官のツイッターに「首を絞められて苦しむ女性に性的興奮を覚える性癖を持った男」「そんな男に、無惨にも殺されてしまった17歳の女性」との投稿を発見。岩瀬さん殺害事件の判決を閲覧できる裁判所ウェブサイトのURLも添えられていた。岡口裁判官は、この事件の裁判は担当していなかった。
岩瀬さんが殺害された事件で、東京高裁は今月1日、元コンビニ店員・青木正裕被告(31)(上告中)が乱暴目的で犯行に及んだと認定し、無期懲役を言い渡した。岩瀬さんの母親の裕見子さん(49)が16日午後、このツイッターに「被害者の母親です。非常に不愉快です」などと抗議の投稿を行うと、数分後に削除された。謝罪や説明はなかったという。
遺族側は文書で「被害者の尊厳への配慮が全くないどころか、事件を軽視し茶化(ちゃか)している」として岡口裁判官を厳重に処分するよう求めた。裕見子さんは「判決を委ねる裁判官がこのようなことをするのは信じられない」と話している。
岡口裁判官は1994年に任官し、大阪高裁などを経て2015年4月から東京高裁民事部に勤務。昨年6月には、裸の男性が縄で縛られた画像などを今回と同じツイッターアカウントに投稿し、高裁長官から口頭で厳重注意を受け、「国民の皆様におわびする」とツイート(つぶやき)した。
吉崎佳弥・東京高裁事務局長は「事実関係を確認して適切に対処したい」としている。
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東京高裁は26日、岩瀬さん殺害事件の高裁判決を誤って裁判所ウェブサイトで公開していたとして削除し、岩瀬さん側に謝罪した。
裁判所ウェブサイトで公開される判決文を巡っては最高裁が2月、社会的関心の高い事件などの公開を促す一方、性犯罪や凄惨(せいさん)な殺人事件など、被害者・遺族らにショックを与えるような事件などは公開しないとする掲載基準を示している。