日経に黄金時代再来か、今後の投資先

自民党が総選挙で大勝してから21年3ヶ月ぶりに2万2000円という一つの節目を突破し、さらなる上昇への兆しも見え始めている。ちょっと気は早いが過去の本格的なバブル相場で実現していた日経平均株価3万円台も夢ではなくなってきているのかもしれない。

実際、日経平均株価に大きな影響を与える一部企業の業績も好調であり、日経平均株価を押し上げているのも事実だ。個人投資家の期待感は今後もさらに高まり、この上昇に乗り遅れまいと株式投資に真剣な眼差しを向け始める可能性も期待される。

実際は日経平均株価自体はまだまだ上値余地があるものと見ることも十分に可能である。ここでは日経平均株価が今後も上昇していく可能性に触れ、今後の投資先として大型株が選ばれる理由を解説していきたい。

■過熱指標は割高圏だが、PERを見てみると……

日経平均株価が2万2000円を突破。チャート上でこの数値を目視するとどうしてももう上がりすぎだと思いがちである。一般的な過熱指標も株価は割高圏であることを示唆し、一部投資家や専門家の多くもそろそろ下落するかもしれないと思う向きも確かにある。

しかし実際のところ相場はそれほど割高であるとは言えない。実際に過去データを見てみよう。日本取引所が公表している東証一部銘柄の連結加重PERの数値を見るとアベノミクス開始後の最高値数値は2013年12月末の26.6倍であった。しかし、直近公表されている2017年9月末のPER数値は17.8倍といまだ割安水準にある。

この理由としては下記数値が示すように日経平均株価の上昇を上回る勢いで東証一部企業の純利益が伸びていることによる。このことから割安指標の数値はむしろ下がるという現象が起きている。

【日経平均株価】

2013年12月末 16291.31円

2017年9月末 20356.28円

【親会社株主に帰属する当期純利益合計】

2013年12月末 17兆3731億円

2017年9月末 35兆1685億円

(日本取引所ホームページ その他統計資料 規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧より)

■日経平均株価を押し上げる寄与率の高い企業に注目

大台を抜けた日経平均株価は11月1日13:15現在(執筆時点)、数値2万2322円と上値を押し上げている。この上げの背後には「東京エレクトロン」と「ソニー」という2つの値嵩株の業績の影響がある。

日経平均株価を構成する銘柄の中でも特に影響の高い(寄与度の高い)銘柄を値嵩株という。

日経平均株価「黄金時代」の再来か? 本格上昇時は大型株が良い理由(写真=PIXTA) (ZUU online) © ZUU online 日経平均株価「黄金時代」の再来か? 本格上昇時は大型株が良い理由(写真=PIXTA)

代表的な値嵩株は、ファーストリテイリング<9983>、ソフトバンク<9984>、ファナック<6954>、東京エレクトロン<8035>、ソニー<6758>などであり、このような企業の業績の動向によって日経平均株価の数値もそれなりに影響を受ける。

特に東京エレクトロン、ソニーの2社は昨日10月31日に業績の通期業績の上方修正やそれにともなう増配(ソニーのみ)を発表している。

日経平均株価がここにきてさらに300円以上あげる背景には東京エレクトロンで約74円程度、ソニーで約17円程度の株価押し上げの影響があるのだ。

さらに2017年11月は月半ばまでで主要企業の決算が出揃う。今後の日経平均株価の先行きを売らない一つの指標として目が離せない所だ。

■本格的バブル再来のときに大型株がいい理由

全体相場が底上げされる時には活躍するのは資金力のある投資家である。2013年に株価が上昇した際には、外国人投資家の買いが終始優勢だったことは記憶に新しい。そして日本株に資金の向かう場合、業績の良い投資還元率の高い大型の企業へと資金が向かう。

最近では投資効率の高い企業、株主還元の高い企業が好まれる傾向が強い。具体的にはROE数値が高く、配当が増配継続の企業などが特に機関投資家や外国人投資家に好まれるところだ。

また大型株が好まれるもう一つの理由は、その豊富な資金力の問題がある。時価総額の大きな企業でないとその豊富な資金量を満足に投入できないという不都合があるのも事実である(大型株は一般的に発行済株数2億株以上、時価総額1000億円以上と定義される)

業績や増配といった投資効率以外にも需給的要因があるのも事実なのである。

■次の相場を牽引する期待のある業種・銘柄の特徴は?

2013年日経平均株価をけん引したのは証券会社や銀行などの金融業、東京バブルで需要増の建設業といった業種であった。金融株には出遅れの傾向があるものの、今後も内需を中心とした企業の株式や個別で好業績・高還元の企業は株価上昇が期待できる。

2020年東京オリンピックへと向けて建設関連株、インフラ関連を中心とした内需関連企業やインバウンドなどテーマ関連株への投資もまだまだ期待だ。日経平均株価の黄金時代の再来も間近かもしれない。

谷山歩(たにやま あゆみ)

早稲田大学法学部を卒業後、証券会社にてディーリング業務に従事。Yahoo!ファイナンスにてコラムニストとしても活動。日経BP社の「日本の億万投資家名鑑」などでも掲載されるなど個人投資家としても活動中。個人ブログ「インカムライフ.com」。著書に「超優待投資・草食編」がある

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