中村、広島交渉権獲得に無表情の理由

【球界ここだけの話(1080)】広陵高・中村、広島が交渉権獲得した瞬間に無表情だった理由「自分はここからがスタート」: 広陵高・中村奨成捕手 © サンケイスポーツ 提供 広陵高・中村奨成捕手

 広陵高・中村奨成捕手(18)が10月26日、ドラフト会議で広島に1位で指名された。今夏の甲子園で清原和博(PL学園、5本塁打)を超える1大会個人最多となる6本塁打を放った“怪物”はホッと胸をなで下ろした。

 「寝るときは(カープに)最高の形をイメージしていました。地元のチームに指名していただいて、すごく幸せな気持ちでいっぱいです」

 広陵高で同校の野球部・中井哲之監督とともテレビで見守った。中日と広島の2球団が高校生捕手としてはドラフト史上初となる1回目にD1位で重複指名し、抽選の末に緒方監督が「交渉権確定」のクジを引いてガッツポーズ。カメラマンは中村が喜びを爆発させているシーンを収めようと一斉にフラッシュを浴びせたが…。

 中村は口元を少し動かしたものの、表情は無のまま。ガックリするカメラマンを余所に、本人は「ここで笑っていたら満足していると、周りに思われてしまう。自分はここからがスタート」と心境を語った。

 落ち着きを感じさせる18歳は広島・廿日市市出身。母・啓子さんは鯉党で自身も小学生の頃に近くの大野寮に自転車で通って、当時広島に所属していた栗原健太(現楽天コーチ)からサインをもらったことがあるほど筋金入りだ。

 ドラフト会議後、母に感謝の電話をしたときには「おめでとう。今のままで満足するんじゃないよ」と厳しくも温かいメッセージをもらった。「早く1軍に上がって、1軍で活躍することが最高の恩返しになる」と燃えている。

 優勝した10月上旬の愛媛国体後も、広陵高のグラウンドでトレーニングを継続。木製バットに対応できず、不調に終わった9月のU-18W杯(カナダ)の反省を生かすべく、1日500スイングをメドにバットを振り込んでいる。

 「地元のみなさんに愛される選手になりたいです」と表情を引き締めた中村。広島県民の大きな期待を背負って、プロの一歩を踏み出す。(柏村翔)

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