再開発も商店街で「差」JR福井駅
2023年春に北陸新幹線が福井に延伸する。五つの商店街が交差するJR福井駅西口(福井市)では、新幹線開業効果を見据えて複数箇所で再開発が進む。ただ、商店街によって再開発の進捗(しんちょく)状況に差が目立ってきた。再開発ビル完成後のテナント確保の難しさを指摘する声も上がっている。【立野将弘】
■順調な「南通り」
駅西口の目の前にそびえ立つ再開発ビル「ハピリン」(地上21階、地下2階建て)。屋根付き広場「ハピテラス」も備え、16年4月に開業以来、駅前の交流拠点としてにぎわい、1年間で約305万人が来場した。
ハピリンと通り一つ隔てた場所に、福井駅前南通り商店街がある。築45年以上の建物が並び、日中でもシャッターが目立つ。ある60代の商店主は「家賃が十分に取れないほど古く、改修となると大がかりな工事になる。生かすも壊すもできなかった」と明かす。
後継者不足も相まってジリ貧の商店街だったが、新幹線延伸を好機ととらえ、4年ほど前から有志で勉強会を開催。先月21日に再開発に向けた準備組合を設立した。関係者によると、区域内の地権者ほぼ全員が加入したという。「健康を楽しむまち」をコンセプトとし、共同住宅やスポーツ、医療などの機能を持った施設を整備する構想だ。「最初に完成するのは南通りだ」と自負ものぞかせる。
■もつれる「三角地帯」
先行きが懸念されるのは「三角地帯」の再開発だ。駅西口正面から延びる中央大通りと駅前電車通りに挟まれた場所に位置する。
ユアーズホテルフクイ建て替えを軸に、マンションやオフィスが入る3棟のビルを建設する構想だが、区域内に改修を終えて間もないビルもある。一部で独自に再開発する構想があったことなどが影響し、地権者がまとまっていない。昨年8月に準備組合が発足した時点で、加入者は地権者の約6割にとどまり、先月でも「数人増えた程度」という。
区域内のある地権者は「事業収益性が甘い」と指摘する。再開発ビル建設後の主な収益は賃料となるが、「ホテル以外の中身がはっきりしていない」として、準備組合への参加を見送っている。
■再開発後の採算
駅西口の再開発で先行したハピリン管理組合の角原馨理事長は「床をどれだけ埋められるかが課題」と話す。ハピリンでも開業に先立ち、有名ファストファッション店や靴販売の全国チェーンと交渉したが、テナントに入らず、商業施設の店舗の確保に苦心したという。結局、市自然史博物館分館(セーレンプラネット)が5階に入ることになった。角原理事長は「金沢が近接する以上、民間だけで床を埋めるのは困難。市の美術館を入れるなど、行政が大なたを振るわないと採算をとるのは難しい」と話す。
駅西口で複数の再開発が進む中、街全体をどのように機能配分し、何を売りとするのか。行政のかじ取りが求められる。
