米航空の利益 1人2100円でもよい方
次に空の旅をする際、航空会社にチップとして20ドル渡しているのだと想像してみよう。
米航空大手7社(アメリカン、デルタ、ユナイテッド、サウスウエスト、アラスカ、ジェットブルー、スピリット)の過去4年間の利益は、乗客1人当たり19.65ドル(約2100円)だった。各社の決算報告によると、2017年は同17.75ドルだった。
実際、航空会社はチケット代でコストをカバーし、手荷物料金や座席指定料金、予約変更料金などで利益をひねり出しているのが現状だ。
米航空会社は、何年にもわたって多額の赤字を出していた。しかし、現在の利益率(17年は約9%)は健全な水準にある。国際航空運送協会(IATA)のデータによると、乗客1人当たり20ドルという利益は、米国を除く世界の航空会社の約2倍だ。
IATAのチーフエコノミストを務めるブライアン・ピアース氏は「(20ドルは)航空会社の歴史的水準からすると明らかに高い。ただ、米国の他の業界を見渡してみると、高いとは言えない」と話す。
米運輸省の統計によると、米航空会社は17年に手荷物料金で40億ドル以上、予約変更およびキャンセル料金で30億ドルを稼ぐとみられる。この大半はそのまま決算上の利益になる。この2つのカテゴリーは、昨年の各社の純利益の半分以上を占めている。
航空会社の利益は、その他の手数料によって、さらに押し上げられている。座席指定料金、足元が広い座席の料金、優先搭乗料金やペット料金などだ。
1人の乗客から上げる利益が片道20ドル(往復40ドル)だとすれば、航空会社がなぜ機体に多くの座席を詰め込もうとするのかが理解できる。各社は、乗客がスペースのなさを嫌い、トイレが狭くなったり、座席のクッションが薄くなったりしていることに強い不満を持っていることを知っている。にもかかわらず、あえてそうしようとしているのだ。
2017年の米航空大手7社の往復運賃は平均355ドルと、前年の351ドルから増加した。機体1機に座席2列分を増やすことが黒字か赤字かの分岐点になり得るのだ。
言うまでもなく、航空会社にとってはファーストクラスとビジネスクラスの乗客の方がエコノミーの乗客より利益が上がる。しかし、利用頻度の高い旅行者は航空会社の収入、そして利益の大きな比率を占めている。
機内後方に押し込められる低運賃の乗客は、航空会社にとって運送コストさえカバーできないかもしれない。しかし、それでも低料金にしているのは、空席で何も稼げないよりもましだと各社が考えているからだ。
IATAのピアース氏によると、航空会社の昨年の利益は燃料費と人件費の上昇で圧迫された。そして、この傾向は2018年も続くという。昨年のジェット燃料価格は前年比で26%上昇したが、今年はさらに10%程度上昇すると予想されている。
同時に、格安航空会社からの競争が激化しており、それが運賃の引き上げ幅を限定的にさせている。
アメリカン航空のダグ・パーカー最高経営責任者(CEO)は先月、業績に関するアナリストとの電話会議で「石油価格が高い現状で運賃は低過ぎる」とし、「運賃はやがて(引き上げ方向に)調整されるだろう」と語った。
アメリカンの昨年の燃料支出は前年比22%増加。人件費は9%増えた。売上高の伸び率はわずか1%前後で、コスト上昇の結果、利益は7億5700万ドル減少した。パーカーCEOが運賃引き上げを求めているのはこのためだ。
大手航空会社のなかで昨年の純利益率が最大だったのは、16.5%のサウスウエスト。同社は業界の伝統的な慣行に挑戦し続けている。例えば、集客に寄与すると考えて乗客に手荷物手数料を課していない。
アラスカ、ジェットブルー、スピリットの利益率は、アメリカン、デルタ、ユナイテッドを上回った。アメリカンの利益率は4.5%と、大手航空会社で最低だった。
