トヨタ、米より居心地がよい母国

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 ドナルド・トランプ米大統領は日本の自動車メーカーに米国内でより多くの車を製造してほしいのかもしれない。だが世界第2位のトヨタ自動車はより居心地のよい場所を見つけた。母国の日本だ。

 トヨタの上半期決算では、日本市場での好調ぶりが目立った。利益率と販売台数の改善を受け、国内の営業利益は前年同期比で32%増。一方、同社が最も多く車を売っている北米市場では販売が減少し、営業利益は50%減となった。

 全体的に見れば、円安にも助けられて純利益が13%増加した。

a group of people sitting around a car © Provided by The Wall Street Journal.

 トヨタの日本市場での伸びは上向く景況感と歩調を合わせている。景気改善によって日経平均株価は25年ぶりの高値を記録。それに伴う資産効果でレクサスやクラウンといったトヨタの高級車が恩恵を受けた。またライバルの日産自動車やスバル、三菱自動車などが大規模なリコールや燃費不正問題といったトラブルを抱えていることも追い風になっている。

 もうひとつの明るい材料は、トヨタが「中国」と「電気自動車(EV)」という重要な2分野で戦略を改めたことだ。

 同社は長年にわたり代替電源として水素燃料電池の開発に集中してきたが、その努力は実らなかった。今は新たな可能性を秘めた電池を搭載したEVを、2022年までに発売する計画を進めている。7日の決算発表会では、人工知能(AI)やコネクテッドカー(端末としての機能を持つ車)の開発導入計画について幹部が積極的に口にする珍しい場面もあった。

 一方で米国市場の見通しは日本ほど明るくない。今年は乗用車の販売が10%減少している。トヨタは低金利のローンなどさまざまなインセンティブを使い販売努力を続けているが、最も人気のある車種は売れ行きが落ちている。10月の販売台数は「カムリ」が11%、「カローラ」が19%、それぞれ減少した。

 投資家はこれらの情報をどう判断すればいいのか? トヨタの株価は今年4月に底を打ち、その後は日経平均に合わせて上昇を続ける「U字型」の推移を見せている。今は予想株価収益率(PER)の11.6倍で取引され、日本の他の自動車メーカーと比べるとやや割高だ。しかし同社は正しい方向に向かっており、トランプ氏の要望にかかわらず、株価は今後も順調に推移するとみていいだろう。

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